「調理師という人生を目指す君に」上神田 梅雄
2014/04/30公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(96点)
要約と感想レビュー
志を立てる
料理人として40年間修業を続けた上神田さんの一冊です。現在は、新宿学園・新宿調理師専門学校の校長の立場で後輩の育成に携わっています。
料理人のスタートは、洗い場から始まります。著者は洗い場で日本一になろうと、志を立てました。
著者のおススメは、勝っても、負けても、泣けるくらいに、真剣に取り組んでみることです。人の眼は誤魔化せても、自分の心は絶対に誤魔化せないからです。他人から評価されなくても、自分で自分を評価すればいいということなのでしょう。
自分は「見習い・洗い方の日本一」を目指そうと思いました・・・10個近くあったごみバケツの洗浄に磨きをかけました(p170)
道を究めた人しか見ることのできない境地がある
料理人とは、その長時間労働、低賃金と職業としてはお勧めできないと著者は言います。しかし、料理人とは、食卓に笑顔の花を咲かせる尊い職業でもあり、究めるに値する仕事でもある。
そして、技を究めたときに、天から素晴らしいプレゼントが返ってくるという。道を究めた人にしか、感じることのできない境地だと思いました。
もちろん道を究めるまでには、困難と出会います。その困難に遭って初めて人間の真価が問われるというのです。
「よし、これでいい。今できるベストを尽くした」という思いがしました。もし仮に、ここに師匠がいて観ていただいたならきっと「上神田、良い出来だな・・。ご苦労さん」と言っていただけるかもしれないと、なぜか確信できました(p130)
人の弱さを知る
もちろん、業界には、道を究めようという人ばかりではありません。才能だけで、人間的レベルの低い人もいます。
実際に、技術が高くても「俺は凄いだろう!」と思い上がって、遊んでばかりいる料理人がいるというのです。人間的成長はなく、真の一流をはき違えた料理人たちが実際にいるのです。
そうした人たちと出会うことで、物事を深く考えることがでるようになった、自分の弱さを知ることができた、他人を許す気持ちを持てるようになったというのです。
「おい、お前一人だけ良い格好するなよ、俺たちが困るだろう」と、先輩にあたる特待生七人に詰め寄られる・・・「一日怠けたら、一日遅れる」の気概で働き抜きました(p93)
人間としても一流になる
多くの経験の中から、仕事の一流、人間としての一流というものがあるいう。また地域によって人の性格も異なります。例えば、関西の若い料理人など、「誰に口利いとんのや」などと最初から喧嘩腰でくるという。
著者は大阪から、教えにやってきてくれた彼らに可能な限り尊重しつつ、関西に伝わる調理技術を盗もう、教わろう、と考えたという。料理人として一流というだけでなく、人間としても一流の世界を見せてくれる一冊です。お母様の教えも素晴らしい。
上神田さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・憧れて描いた「夢」を手に入れるための努力を始めてこそ、夢は価値を持ち得ます(p145)
・母が常々言っていた「小言」。・・・「梅雄やい、他人の眼は誤魔化せても、神様が見てるんだが。それよりも何よりも自分の心は絶対に誤魔化せないんだが・・」(p59)
・私の母は「梅雄やい、偉そうにすんでない。偉そうってことは、偉くないってことなんだが・・。本当に偉い人は、偉そうにする必要がないんだが」(p60)
ダイヤモンド社
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【私の評価】★★★★★(96点)
目次
「料理は魂が食べているのである」
第一章 「人としての心を育てる」
第二章 「立志を促したもの」
第三章 「この仕事を天職にしよう」
第四章 「この仕事を天職としよう」
第五章 「天知る地知る 吾知る子知る」
著者経歴
上神田梅雄(かみかんだ うめお)・・・1953年、上神田家10人兄弟の7番目として、岩手県普代村に生まれる。1971年、岩手県立久慈高等学校卒業、実家の家計を助ける為、製綿業・雑穀業に従事。1973年、上京し、新宿調理師専門学校・夜間部に入学、「学僕」として学ぶ。1975年、卒業と同時に、和の料理人、故・西宮利晃氏に師事し、12年間・11店補の厨房にて修業を積む。1987年、銀座「会席料理・阿伽免」にて料理長となり、その後24年間・5企業にて総料理長として腕を振るう。
2011年、(学)新宿学園 新宿調理師専門学校・校長に就任、現在に至る。
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