「調理師という人生を目指す君に」上神田 梅雄


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【私の評価】★★★★★(96点)
要約と感想レビュー
料理人として40年間修業を続けた上神田さんの一冊です。現在は、新宿学園・新宿調理師専門学校の校長の立場で後輩の育成に携わっています。
料理人のスタートは、洗い場から始まります。著者は洗い場で日本一になろうと、志を立てました。
・自分は「見習い・洗い方の日本一」を目指そうと思いました・・・10個近くあったごみバケツの洗浄に磨きをかけました(p170)
料理人とは、その長時間労働、低賃金と職業としてはお勧めできないと著者は言います。しかし、料理人とは、食卓に笑顔の花を咲かせる尊い職業でもあり、究めるに値する仕事でもある。
そして、技を究めたときに、天から素晴らしいプレゼントが返ってくるという。道を究めた人にしか、感じることのできない境地だと思いました。
・「よし、これでいい。今できるベストを尽くした」という思いがしました。もし仮に、ここに師匠がいて観ていただいたならきっと「上神田、良い出来だな・・。ご苦労さん」と言っていただけるかもしれないと、なぜか確信できました(p130)
もちろん、業界には、道を究めようという人ばかりではありません。才能だけで、人間的レベルの低い人もいます。
そうした人たちと出会うことで、物事を深く考えることがでるようになった、自分の弱さを知ることができた、他人を許す気持ちを持てるようになったというのです。
・「おい、お前一人だけ良い格好するなよ、俺たちが困るだろう」と、先輩にあたる特待生七人に詰め寄られる・・・「一日怠けたら、一日遅れる」の気概で働き抜きました(p93)
料理人として一流というだけでなく、人間としても一流の世界を見せてくれる一冊です。お母様の教えも素晴らしい。
上神田さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・若い時には、勝っても、負けても、思いっきり泣けるくらいに、真剣に取り組んでみてほしいと助言したいです(p87)
・憧れて描いた「夢」を手に入れるための努力を始めてこそ、夢は価値を持ち得ます(p145)
・困難に遭って初めて人間の真価が問われる(p110)
・関西勢から起用された、脇鍋の若い料理人など、最初から喧嘩腰できます・・・「誰に口利いとんのや・・・わざわざ大阪から、教えにやってきてくれた彼らから、可能な限り、関西に伝わる調理技術を盗もう、教わろう、と考えるようにしました。相手を尊重して六分に、自分たちは遜(へりくだ)って四分の気持ちで・・・(p116)
・才走った者は・・・「俺は凄いだろう!」という思い上がりが、人間の成長を止めてしまい、「真の粋」をはき違えた料理人たちは遊興三昧に走りがちです(p148)
・母が常々言っていた「小言」。・・・「梅雄やい、他人の眼は誤魔化せても、神様が見てるんだが。それよりも何よりも自分の心は絶対に誤魔化せないんだが・・」(p59)
・私の母は「梅雄やい、偉そうにすんでない。偉そうってことは、偉くないってことなんだが・・。本当に偉い人は、偉そうにする必要がないんだが」(p60)
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【私の評価】★★★★★(96点)
目次
「料理は魂が食べているのである」
第一章 「人としての心を育てる」
第二章 「立志を促したもの」
第三章 「この仕事を天職にしよう」
第四章 「この仕事を天職としよう」
第五章 「天知る地知る 吾知る子知る」
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