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「ぐっちーさん 日本経済ここだけの話」山口正洋

2013/08/08公開 更新
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ぐっちーさん 日本経済ここだけの話


【私の評価】★★★★☆(82点)


要約と感想レビュー

 丸紅からモルガン・スタンレー、ベアー・スターンズ等、欧米の金融機関で働いてきた著者の教える「本当は凄い日本の経済」です。最初に「大新聞の三大嘘」として、円高悪玉論、財政問題、格差拡大を指摘しています。


 まず円高悪玉論については、日本のGDPに対する輸出依存度は本当に低く、円高のほうが輸入の価格が安くなって国内的にはよいとしています。また、財政問題については日本だけが、短期債を入れて政府債務985兆円と発表しており、さらに普通の国は、政府保有財産の現在価値を差し引いて政府債務額を発表しているので詐欺に近いとしています。格差については、日本ほどだれにでもチャンスのある国は少ないとしています。


 朝日新聞出版から出版されている本に、「大新聞の三大嘘」と書いてあるのは面白いですね。


・「大新聞の三大嘘」というのがあります。まず円高悪玉論・・・二つ目はこれもよく取り上げられる財政問題。・・三つ目は格差拡大。・・学歴がなくても、起業で成功すれば数百億円の上場益が手に入る世の中です。これは格差ではなく、やる気の問題です。(p27)


 そして、消費税増税には反対の立場です。だいたい、税収が増えるとは限りません。過去の例では逆に税収が減っているのです。デフレと言われ、やっと調子が良くなってきたのにこのタイミングで増税した愚かな国はこれまでにないとまで言い切っています。


 ただ、ここまで来たら自民党でも止められないかも・・実際、止めることによる信用低下のデメリットも大きい、ということのようです。


・消費税率を上げて肝心の税収が増えるかどうかは、その後の消費動向に左右されます。しかし、失業率が高く、15年以上も給料が下がり続け、かつ不動産も含めてほぼすべての物価が下落している経済状況のもとで消費税率を上げるという「暴挙」を押し通した「アホな国」が過去にはなく、こればかりはやってみないとわかりません(p154)


 格差についても、民主党が社会主義的な政策を進めたことにより、経済崩壊に向かっていたとしています。日本は努力した人がむくわれる社会。格差社会とは、努力の格差なのでしょう。「メディアも評論家もウソつきだらけ」というところが面白いですね。だれかが情報操作しているのでしょうか。山口さん、良い本をありがとうございました。


要約と感想レビュー

・「子ども手当」が所得に関係なく支給されます。そして夫婦別姓、配偶者控除の廃止、さらには高速道路(公共交通)の無料化。同じことをやった国が世界にひとつだけあるんですよね。ソビエト社会主義共和国連邦です。・・・そう見ると、亀井静香金融相がモラトリアムなんていう政策を掲げたことも理解できますね。・・・社会主義政策によって国の経済が崩壊していったことはソ連が証明しているわけです(p147)


GDPの80%以上を内需が占める我が国においては、その内需を増やせばいい、ということです。その意味で消費増税は真逆の政策。(p51)


・シンガポールは日本をお手本にしてきたのです。「官僚組織を除いてね」とよく冗談を言われますが。そのシンガポール、法人税率は17%が最高。個人の所得税率は20%が最高で相続税はありません(p184)


・人はだませ、だまされたほうが悪い。弱い者?弱いんだから、そいつにたかれ。そういう文化を持った国が世界にはいっぱいあるということを、皆さん、忘れないでください。そういう国と仕事をするんだったら、その覚悟でやってください(p76)


ぐっちーさん 日本経済ここだけの話
ぐっちーさん 日本経済ここだけの話
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山口正洋
朝日新聞出版 (2013-07-05)
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【私の評価】★★★★☆(82点)


目次

第1章 メディアも評論家もウソつきだらけ
特別対談1アベノミクスとメディア陰謀論―池上彰×ぐっちー
第2章 「強い通貨」を持ってはいけない?
特別対談2通貨があんまり安くなるとまずいぞ―榊原英資×ぐっちー
第3章 日本の財政に増税は必要ない
第4章 アジア経済を読み解くコツ
特別対談3これから先、何に投資すればいいの? ―押切もえ×ぐっちー
第5章 日本企業が生き残る道
第6章 日本再生=地方再生 これが処方箋だ



著者経歴

 山口正洋(やまぐち まさひろ)・・・1960年、東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。丸紅に勤務した後、86年からモルガン・スタンレー、ABNアムロ、ベアー・スターンズなど欧米の金融機関を経て、ブティックの投資銀行を開設。M&Aから民事再生、地方再生まで幅広く手がける一方、「ぐっちーさん」のペンネームでブログなどを執筆、2007年にアルファブロガー・アワードを受賞


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