「元ドイツ情報局員が明かす心に入り込む技術」レオ・マルティン
2013/01/11公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(92点)
要約と感想レビュー
ドイツ情報局員が明かす情報提供者のスカウト方法です。実際に情報提供者との接触から獲得まで実例を通じて学んでいきます。まず、驚いたのは、スカウトは脅しではなく、信頼から始まるということです。情報員は状況を演出することによって、親密感や信頼を意識的につくるのです。情報提供者は、自らの意志で情報を提供するように情報機関によって導かれるのです。
情報提供者と親密になるのは、普通の人間関係と同じです。相手のことを知る。相手の良い面を見る。相手のことを質問する。約束を守る。
つまり、人は誰しも安心感、愛情、称賛を求めており、情報員はこの基本的な欲求を与えるのです。例えば、定期的に行う儀式をアレンジすることによって、共通の体験を持つようにすれば、短期間で親密さが生まれるのです。こうした小さいことを積み重ねることが、相手の信頼を獲得するための道なのです。これは人間の性質として共通のことなのでしょう。
・相手のよい面を少なくとも一つ見つけることに慣れてしまえば、自然にいつもするようになる・・・これが、よい関係の前提だ。・・・優秀な情報員ほどよい面をたくさん見つけることができる(p29)
同時に、情報提供者をテストします。信頼に値する人間かどうか試すのです。これは普通の人間関係でもやっていることかもしれません。信頼関係を築きながら、相手がどうすればこちらの目標、つまり情報提供に協力してくれるか考えます。金がほしいのか。子どもを幸せにしたいのか。ときには、相手の拒絶、緊張関係になることもあります。しかし、情報局員はそうした緊張さえも信頼強化に利用するのです。
情報員は、摩擦があったとき自信を持って行動するという。ピンチはチャンス。緊張関係は、自分に向けられた信頼を強める最高のチャンスなのです。
中国上海の総領事館の通信担当者が「国を売ることはできない」と自殺したことがありました。このように、情報提供者を作るためには、弱みを握り、脅すことが常識と私は考えていました。そうした方法もあるのでしょうが、信頼関係を高めてスパイを獲得する方法もあるのですね。ドキドキしながら最後まで読むことができましたので、★5とします。マルティンさん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・『人は服装によって作られる』・・・服装や外見によって、周囲があなたを見る目や扱う態度が違ってくる(p48)
・話し相手の態度を注意深く観察するのと同じように、自分の態度も観察したい・・・頭に入れておいて欲しいのは、相手や相手の決定にあなたの人生が左右されることはない、ということだ。あなたには重要な目標がある。(p151)
・あなたが想像することは、そのとおりになる。だから次のような文を使いたい。「私は必ず目標を達成する」「私は・・・(p69)
・目標を立てるとき、期限を決めること。また、目標をいくつかのステップに分けること。そうすれば、正しい道を進んでいるかどうか、随時チェックすることができる(p41)
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【私の評価】★★★★★(92点)
目次
1 入口を通過するための暗号を知ろう
2 特徴を明確にする段階
3 育成段階
4 ここからは安全地帯--ただし、極秘
著者経歴
レオ・マルティン(Leo Martin)・・・1976年生まれ。法律行政専門大学で犯罪学を学んだのち、1998年から2008年までドイツ連邦情報局に勤務し、犯罪組織の解明に従事する。最短時間で見ず知らずの人の心に入り込み、信頼関係を構築する独自の技術は最高レベルと評される。現在、有名コンサルティング会社に勤務し、人格形成と成功、コミュニケーション、人を楽しませるコツとユーモアをテーマに講演やセミナーで活躍。ミュンヘン在住
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