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「日本一のクレーマー地帯で働く日本一の支配人―怒鳴られたら、やさしさを一つでも多く返すんです!」三輪 康子

2011/08/02公開 更新
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日本一のクレーマー地帯で働く日本一の支配人―怒鳴られたら、やさしさを一つでも多く返すんです!―

【私の評価】★★★★★(91点)


■歌舞伎町の暴力団ご用達ホテルから
 暴力団を排除してしまった 
 女性支配人の一冊です。


 彼女の武器は、
 原則を貫くこと。


 ひたすら何時間でも
 支配人自らクレーマーと
 対話を続けるのです。


 最後には、
 相手もいいかげんあきらめて
 帰っていく。


・「なんだとー!死にてえのかよ、コラァァーーッ!」
 「いいえ、死にたくはございませんっ!」
 大勢のヤクザに囲まれて、いまにも危害を加えられそうに
 なりながら数時間
。恐怖に身を硬くしながらも、
 私はテコでもそこを動きませんでした。(p59)


■もちろん、こうした原則の対応で、
 つぶされた会社はたくさんあります。


 彼女は、運がいいのかわかりませんが、
 警察の隠れた協力もあって
 命を失うことはなかったのです。


 もし運が悪ければ、
 この本を書くことはなかったのでしょう。


・いつのまにか警察に見守られ、危ないときには
 助けてもらっていました。歌舞伎町にも中途半端な対応で、
 店をつぶされてしまったところはいくつもあります。
 私が生き残ってこられたのは、陰で支えてくれた
 人がいたからでした。(p86)


■彼女の強さはどこから来るんだろうと
 思って読み進めると、
 やはり医師であった父親の影響があったようです。


 患者の病気を見るのではなく、
 一人の人間として人の心を見る、
 という真面目な父親の血が
 そうさせたのでしょうか。


 青森県八戸市は、昔でいえば南部藩。


 おとなしい人が多いのですが、
 地道にコツコツと仕事をする人が
 多い印象です。


 そうしたおとなしい中に、
 秘めた本当の強さが宿るのかもしれません。


 たった一人の行動で
 ホテルを再生した三輪さんに出会えたことに
 感謝したいと思います。


 良い本をありがとうございました。


━━━━━━━━━━━━━━━━━


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


困っている人を見たら手を貸してあげればいいし、
 間違っていることをしている人がいれば、
 「間違っている」と指摘しよう(p6)


・ヤクザが占有するホテルからスタッフを守りたい!
 安心して勤められる職場にしたい(p64)


・「お宅のガイジンが部屋のものを盗んだ!」
 そう吹っかけられることがありました。・・・
 「・・・そっちのガイジンと客とどっちを信じるんだ?」
 即座に、こうお答えします。
 「もちろん、スタッフです。お客様」(p88)


・この人は怒鳴り込んできたから泊める。
 でも、別の人は泊めない。
 それでは通りません。
 一度でも例外をつくったら、怒鳴り込んできた
 ヤクザはすべてお泊めしなければならないように
 なってしまいます。(p94)


・怒りの原因をすべて出し切ってもらう。
 それがクレーム対応なのです。
 一度でも、怒鳴り声に圧倒されて、
 金銭を渡したとしましょう。
 その人はまた確実にやってきます
。(p96)


・「謝れ!」と怒鳴り込まれたら、
 「謝る私ってカッコいい!」と思えるか、
 「そんなに怒鳴らなくてもいいでしょ!」と思うか。
 視点の置き方の違いでまったく結果は違ってきます(p135)


・「ごきげんとり」
 「いい子ちゃんぶって」
 そう言われるのは、小学校も大人の社会も
 変わりありません。・・・
 誰かに、どう思われるかを考えて、
 いちいちブレていたら、
 誰もついていきたくないと思うのです。(p194)


・「症状ではなく人の顔を見る」
 私にも、きちんと父の信念が
 息づいています。(p222)



【私の評価】★★★★★(91点)



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