「なぜうつ病の人が増えたのか」冨高 辰一郎

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■最近、職場ではメンタルヘルスということが
 よく言われ、何か悩みがあれば、
 相談しなさい、ということになっています。


 この本では、
 ほとんど全ての国において、
 「SSRI」という抗うつ薬が販売されてから、
 うつ病患者が激増していること、

 そして
 うつ病患者が増えると同時に、
 メンタル休職者が増えていることを
 教えてくれます。


 この事実は、
 精神科医である著者にとっても
 驚きだったようです。


・現在のうつ病診療の基本方針は、「薬」と「休養」である。
 うつ病患者が病院を受診すれば、抗うつ薬を処方され、
 休養を勧められる。したがって、うつ病患者が増えれば、
 抗うつ薬の売り上げが伸び、メンタル休職者が増える(p40)


■さらに、
 抗うつ薬は、うつに効果が少ない
 というデータがあり、

 さらに、軽度のうつ病では、
 データ上は効果がわからないということ。


 それでも日本では、
 軽度のうつ病患者にもすべて
 抗うつ薬が処方されているのです。


・一般向けのうつ病啓蒙書には「抗うつ薬を飲むと、
 六週間で約六割の人は改善します」といった説明が
 書かれている・・・しかし、抗うつ薬を飲まずプラセボ
 (偽薬)を飲んだ人でも六週間で五割の人は改善する

 聞かされると、抗うつ薬に対する見方が変わってくる(p191)


■数百人の職場では、
 何人かは精神的に問題を持っている人が
 いるものです。


 そうした人へのサポートは大切ですが、
 マクロ的に見て、薬を売るために
 病気かどうかわからないような人にまで 
 抗うつ薬を飲ませるというのは、
 どうなのかと感じました。


 人はだれでも金儲けになると
 判断を間違うことがあるようです。


 原子力の安全神話にも通じるような
 会社の利益ばかり考えてしまう組織の危うさを
 抗うつ薬にも感じました。


 冨高先生、良い本をありがとうございました。


━━━━━━━━━━━━━━━━━


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・昔の精神医学は、重症うつ病が診療対象の中心だった。
 重症うつ病とは、抑うつ気分が非常に強く、平常心を喪失しており、
 自宅で療養するのが難しいレベルのうつ病である(p26)


・高い薬はよく売れる・・・
 TCA(三環系抗うつ薬)の価格と比較して、
 SSRIの薬価が二~十倍高いことがわかる。(p68)


・現在米国では、過剰なまでも小児躁うつ病の啓発活動を
 進める製薬会社と、積極的に子供を躁うつ病と診断し
 薬物を投与する精神科医に対して批判が起きている(p82)


抗うつ薬の普及が進んだ米仏ではうつ病が多い
 同じ先進国で、経済レベルはそれほど変わらないのに、
 抗うつ薬の普及が遅れた国の方が、うつ病が少ない・・・
 抗うつ薬が普及している国は、うつ病にかかる人が減るはずだ(p153)


軽症うつ病には抗うつ薬がほとんど効果がない
 という臨床試験の結果を重視して、軽症うつ病には
 最初から抗うつ薬を使わないよう勧めている国もある・・・
 日本ではほとんどの精神科医は軽いうつ病患者にも、
 例外なく薬物療法から始めている(p204)


・約二万人の臨床試験参加者の結果を調査したところ、
 抗うつ薬服用群の方がプラセボ投与群よりも、
 自殺者の比率が1.8倍と高かったのである。
 統計的な有意差はなかったが、予想外の結果だった
 ・・当時製薬会社は、自殺予防を全面に押し立てて、
 うつ病の啓発活動を行なっていたからである(p215)


・なぜ日本の精神科医は同じ作用の薬を何種類も併用する
 ・・・複数の抗うつ薬が処方されることが多い。
 しかも抗うつ薬だけでなく、抗不安薬、睡眠薬、抗精神病薬、
 気分安定薬と多岐にわたって、それぞれ複数処方される
 ケースが多い。(p233)


・医療において、専門家の間で意見が異なる問題に関しては、
 枚挙に暇がない。高血圧はどこまで降圧すべきか、高コレステロール
 血症はどのレベルから薬物治療を開始すべきか、未破裂の
 脳動脈瘤はどの大きさから予防的に手術すべきか、等々(p134)


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