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「歴史と名将―戦史に見るリーダーシップの条件」山梨 勝之進

2010/10/12公開 更新
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歴史と名将―戦史に見るリーダーシップの条件 (1981年)


【私の評価】★★★☆☆(76点)


要約と感想レビュー

 海軍大将をも務めた山梨さんが、海上自衛隊幹部学校で行った講話集です。若き自衛官に対し、戦争の歴史というものを紹介し、そこから得られる教訓を講義しています。「欧米日の戦史から学ぶ」といった感じでしょうか。


 歴史から得られるのは、国際社会という世界では、結局は「力」というものが大きくモノを言ってきたということです。フランス革命からナポレオンの勃興、そして、第一次世界大戦、第二次世界大戦までの軍人から見た歴史を見れば、力を持った国が最後には力で相手を屈服させているのです。


・相手国がどのような無礼なことをしても、わが国は決して戦争はしない国であると相手国にみくびられるほど、戦備を怠ることは絶対に許されない。やむを得ない場合には、わが国は決然と立つ国であることを、相手国に認識させる程度の戦備は専門家に任しておく必要がある」ということです(p277)


 平和ボケといわれる昨今ですが、本当に平和ボケなのかもしれません。歴史を学ぶ楽しさと、軍事の大切さがわかりました。山梨さん、良い講義をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・私は中立ぐらい力がいるものはなく、力がなければ中立はできないと思う。ところが中立というのは、骨を折らないで力がなくてもいいのではないかと、考え違いをしているのではないでしょうか。(p212)


・海軍雑誌があって・・・「ロシアはどうしても北海道を取らねばならない。それはきまったことである。しかしそれにはオードブル(前菜)がある。それが対馬である。本物は北海道である」という論文がのっているというのです(p80)


・ナポレオンやロシア皇帝の部下を買収するためには、どれほど多くの金が使われたかはわかりませんが、このような奥の手がイギリス外交にはあるということを心得ていなければなりません。(p269)


・ジョミニの言葉なんですが、「ひとことで言えば、戦争は、学(science)ではなくて、術(art)である。笛を吹いたり、相撲をとったり、テニスをやったりする『わざ』と同じである」と、くどく行っております。(p385)


歴史と名将―戦史に見るリーダーシップの条件 (1981年)
山梨 勝之進
毎日新聞社
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【私の評価】★★★☆☆(76点)


目次

序章 凡将が名将に変わる戦術の魔力―戦闘についての基礎知識
第1章 古代の名戦術を完全マスターする―古代ペルシャからローマ帝国までの古戦史
第2章 体感!帝国の名将vs.王朝の英雄―ローマ帝国滅亡から地中海戦争までの中世戦史
第3章 巨大な軍を統率して勝つ方法―三〇年戦争から南北戦争まで近代戦のはじまり
終章 戦術は思考の新たな扉を開く―考える力を広げて活用するために



著者経歴

 山梨 勝之進(やまなし-かつのしん)・・・明治-昭和時代の軍人。1877(明治10)年7月26日生まれ。海軍次官に就任し,昭和5年ロンドン海軍軍縮会議で条約締結に尽力する。昭和7年海軍大将。昭和14年学習院院長となり,戦後昭和天皇の「人間宣言」の文案作成にかかわった。のち水交会会長,仙台育英会会長。昭和42年12月17日死去。90歳。宮城県出身。海軍大学校卒。


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