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「命のカウンセリング」長谷川 泰三

2010/08/12公開 更新
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命のカウンセリング


【私の評価】★★★★★(94点)


要約と感想レビュー

 岡山へ向かう新幹線の中で、号泣してしまいました。


 著者の体験は強烈です。一家離散、暴走族、そして交通事故で車いす生活。激痛の後遺症と無気力で自殺志願。そうした著者が、自殺をしようと海に行こうとすると、人から助けてもらって笑顔でいる自分がいることに気づきました。


 それでも自殺しようと考えていた著者は、平準司さんのグループセラピーと出会うことになるのです。そのグループセラピーで著者は、自分と同じように苦しむ人を客観的に観察する機会を得るのです。


・後々考えてみると、私は「助けて」とは滅多に口にしない子どもでした。自分から助けを求めることはなく、助けてもらったら「ごめんなさい」と言っていました。(p123)


 グループセラピーには、父を自殺で亡くした人が参加していました。セラピーのワークの中で、著者は参加者の父親役で対話をすることになったのです。「お父さん、どうして死んだの?私が悪かったの?」「違うよ、違うよ。お前は悪くないよ」著者は、残された人がどんなに苦しむか、ということに気づいたのです。


 自殺しようとしていた著者は、実は自殺とは自分が現実から逃げるためであり、そして、自殺が周囲の人にいかに罪悪感や無力感を与えているのか気づいたのです。


・「近しい人が自殺した」というショックは、両親、兄弟姉妹、子ども、親戚、友人と広がっていきます・・・周囲の人は自分を責め、無力感を感じます。あたかも見殺しにしたような気持ちです(p211)


 それから著者は、カウンセラーとして活動しています。自分が死にたいと思っていたから、相談にくる人の気持ちがわかるのです。だからこそ、著者の言葉が相手の気持ちに届くのでしょう。


 著者は、「心理学界のブラックジャック」とも言われているそうです。長谷川さん、良い本とカウンセリングをありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・本当に苦しいときは「助けて」と言ってみてください。そして、助けてもらったら「ありがとう」と心からの気持ちを込めて伝えましょう(p22)


・長時間正座をしていて足がしびれて、感覚がなくなったとします。そのとき、あなたはそうしますか?足をパンパンと叩いたりしますよね。それは感覚を取り戻すために行っているのです。リストカットも同じことです。今を生きている実感がないから、自分を傷つけることで確認しているのです(p25)


・脊髄損傷患者・・・10人部屋では7人の方が亡くなられました。自分の息子のようにかわいがってくれた方たち。亡くなる間際に私がよく呼ばれました。「まじめに生きろよ」「がんばれよ」どの方にも、そう言われました。(p96)


命のカウンセリング
長谷川 泰三
あさ出版
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【私の評価】★★★★★(94点)


目次

第1章 心の感覚の麻痺と向き合う
第2章 出生のトラウマ(心的外傷)と向き合う
第3章 私がいちばんの問題を抱えていた
第4章 自殺未遂と再起
第5章 私がカウンセラーになるまで
第6章 命のカウンセリング
第7章 苦しむすべての人へ



著者経歴

 長谷川泰三(はせがわ やすぞう)・・・ブイリターン総合心理研究所所長。心理分析士。プロカウンセラー。1966年、大阪生まれ。4歳で一家離散し、中学生で暴走族の仲間入りをする。15歳のとき、脊髄を損傷し、車イスの生活に。プロカウンセラー歴は20年を数え、現在、「自殺の予防」をスローガンに全国各地にてカウンセリング、心理学ワークショップ、講演を行っている


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