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渋川春海の貞享暦「天地明察」冲方 丁

2010/06/08公開 更新
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天地明察


【私の評価】★★★★☆(86点)


要約と感想レビュー

歴を変えることは革命

江戸時代に、日本独自のカレンダー(貞享暦(じょうきょう))を作った人が、囲碁打ち衆の渋川春海です。別名は安井算哲。当時の日本は、中国から入ってきた宣明暦を使っていましたが、800年間使っているうちに2日(たった?!)のずれが生まれていました


800年使われてきた歴を変えることは、一つの革命です。既得権を守るために、反対する人は大勢います。囲碁打ちを職業とする渋川春海が、天体観測、算術を学びながら、多くの人とのかかわり合いの中で、日本独自のカレンダー(貞享暦)を作り、公布することができたのです。


革新だけでは置いて行かれる人々の怨みが政道の障りとなり、保守だけでは新たな世を求める人々の鬱憤を招く(p338)

より正確な授時暦を参考とする

渋川春海は中国元朝の授時(じゅじ)暦を参考に、実測データに基づき「大和暦(やまとれき)」を作りました。この授時暦は、一年の長さを365.2425日としており、現在の太陽暦年と同じ値だったのです。


より正確な歴を参考としたこと、江戸幕府内で政治力を持っていたことが、渋川春海に歴を変えさせる力を与えたのでしょう。詳細は、この本を読んで楽しんでください。冲方(うぶかた)さん、よい本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・坐相というのは、武士や僧や公家を問わず、一生の大事であり、日々の修養の賜物である。座ったときの姿勢作りに、品格や人徳までもおのずからにじみ出る(p268)


・天照大神が世を治めたもうた要領は、次の三つのほかない。まず己を治め正しくし、私をなくすこと。仁恵を重んじて民に施し、民を安じること。多くを好んで問い、下情(世情)を精しく知ること(p343)


天地明察
天地明察
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冲方 丁
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【私の評価】★★★★☆(86点)



著者経歴

冲方 丁(うぶかた とう)・・・1996年大学在学中に「黒い季節」でデビュー。2003年「マルドゥック・スクランブル」で日本SF大賞。本書では、吉川英治文学新人賞、本屋大賞1位。


渋川春海関連書籍

「天地明察」冲方 丁
「江戸の天文学 渋川春海と江戸時代の科学者たち」中村 士


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