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「完全なる証明」マーシャ・ガッセン

2010/05/13公開 更新
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完全なる証明―100万ドルを拒否した天才数学者 (文春文庫)


【私の評価】★★★☆☆(77点)


■1億円もの懸賞金のかかった数学の難問、
 「ポアンカレ予想」を証明した
 ペレルマンの人生です。


 彼を育てた旧ソ連という不合理な国家の状況を、
 同じく旧ソ連で数学教育を受けた著者が、
 描き出していきます。


■ユダヤ人だったペレルマンは、
 旧ソ連では弾圧される側でしたが、
 彼の才能を知る多くの人に助けられ、
 数学者として成長しました。


 ペレルマン自身は変わった人物で、
 いつも同じ服を着て、爪を切らない、
 必要なこと以外は何もしない人間だったようです。


 合理的といえば合理的な人だったのでしょう。


・当時ペレルマンはこんなふうに言っていたそうだ。
 「自分は頭がいいってことを他人にわからせるために
 時間を使うぐらいなら、問題を解いたほうがいいよ(p107)


■この本が面白いのは、
 頭の良いユダヤ人はこうした考え方をしているんだ、
 ということが、
 見えてくるということです。


 著者のインタビューに出てくる人も
 ユダヤ人が多いからでしょうか。


・グロモフはペレルマンをアイザック・ニュートンにたとえたが、
 すぐにそれを訂正してこう言った。
 「いや、ニュートンはずいぶん悪いやつだったが、
 ペレルマンはずっといいやつだ。(p160)


■旧ソ連の体制の劣悪さと、ユダヤ人の頭の良さが
 伝わってきました。

 マーシャさん、よい本をありがとうございます。


━━━━━━━━━━━

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・結局、ペレルマンが両予想を証明したと
 明言できるまでには、
 少なくとも四人の一流数学者が、
 二年あまりもの歳月をかけて、
 この論文の読解に
 取り組まなくてはならなかった(p216)


・(汝の道を歩め、そして人びとの語るにまかせよ)
 [マルクス『資本論』序文にダンテの言葉として
 置かれているもの]。(p135)


・彼は考えてみますと答えた。
 だが結局、彼は何もやらなかったよ。・・・
 映画の『アマデウス』は見たことがあるかね?」・・・
 皇帝が、みごとな作品だが完璧ではない、
 音符が多すぎると言う。
 「音符が多すぎると仰せですか?」
 モーツアルトは答える。
 「いったい、どの音符が余分だと
 思われるのでしょうか?」(p170)


完全なる証明
マーシャ・ガッセン
文藝春秋
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【私の評価】★★★☆☆(77点)



■著者経歴・・・マーシャ・ガッセン

 1967年モスクワ生まれ。主人公であるペレルマンと同じようにユダヤ人であるにもかかわらず数学専門学校で学ぶ。1981年アメリカ移住。ジャーナリスト。


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