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「なぜナイスショットは練習場でしか出ないのか」市村 操一

2008/12/09公開 更新
本のソムリエ
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なぜナイスショットは練習場でしか出ないのか―本番に強いゴルフの心理学 (幻冬舎新書)


【私の評価】★★★★☆(82点)


要約と感想レビュー

 先日の、女子プロゴルフツアー最終戦リコーカップでは、あの精密機械のような不動裕理が、1.5メートルを2パットして、優勝を逃しました。「へー、あの不動でも緊張するんだ・・・」と思いましたが、ちょうどこの本を読んでいたので、ご紹介します。この本は、プロがどのように考えているのかを教えてくれる一冊だからです。


 まず、いつも同じリズムと動作でプレーをすることが大切です。大リーグのイチローが打席に入る前にやっている動作(ルーチン)のようなものです。同じ動作をすることで、同じ結果を生むことができるのです。


・準備動作を、「いつも同じ順序で、同じリズムで実行すること」が確率の高いショットにつながることは実験でも確かめられている。(p59)


 そして、自分独自の肯定的なセルフトークを持つことが大切です。特にうまくいかなかったとき、どう気持ちを切り替えれば、その影響を次に残らないか知っておく必要があるのです。


 悪いことがあると、誰でも落ち込みます。その落ち込みをリセットする方法を知っているか、知らないかで差ができるのです。


・青木功プロの若いときの口癖だった「しゃんめー(仕方がないだろう)」は、自分を罰しない「代替思考」の傑作だったのではないだろうか。(p92)


 スウィングについては、アマチュアは、グリップやトップや、フェースの開きや、足の動きなどいろいろな点を気にしている人が多いようです。しかし、プロは、スウィングは最初だけチェックして、あとはイメージで打っているようです。


 結局、頭で考えていると、体に悪影響を与えて、いつもの動作ができないのでしょう。頭で考えることは最小限として、後はいつものとおり体が覚えているように動けばよいのです。


・「トップができたら、あとはボールをしっかり打つ」・・・ゲーリー・プレーヤーも、「バックスイングの最初の30センチがうまく引けたら、あとは打つことだけしか考えない」と書いていた(p110)


 それ以外にも、ボールを打ったところに目線を残す、クラブの重さを感じながら打つなど技術的な紹介もありますが、やはり、心理的なところから工夫してみることで、短期間に効果が実感できるのではないでしょうか。


 ゴルフだけでなく、あらゆるスポーツに適用できるうまくやるコツが入っている本だと思いましたので、★4つとしました。


この本で私が共感した名言

・アイカメラを使って、プロとアマチュアのパッティングのときの目の焦点を調べたことがあった。プロの目線は、ボールを打った後でもボールのあった位置に残されていた(p32)


・セルフトークは単純な肯定文のほうがよいとされている。「このパットをしっかり打つ」とか「カップの右から入れる」というような言葉遣いがよいと考えられている。(p101)


・上級者は「これから打とうとするボールの着地点」に注意を向けるが、初心者は「入れてはいけない池やブッシュ」に注意を向ける。(p117)


・クラブヘッドの重さを感じとる(p183)


▼引用は、この本からです。
なぜナイスショットは練習場でしか出ないのか―本番に強いゴルフの心理学 (幻冬舎新書)


【私の評価】★★★★☆(82点)



著者経歴

 市村 操一(いちむら そういち)・・・1939年生まれ。教育学博士。筑波大学名誉教授。東京成徳大学臨床心理学科教授。元日本オリンピック委員会スポーツカウンセラー。


目次

第1章 プレッシャーの原因を探り、上手に克服せよ
第2章 心の「雑念」を停止するとっておきの方法
第3章 ゾーンの中でプレーする
第4章 なぜ練習場のように打てないのか
第5章 技術習得をより効果的にするヒント


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