「御社のトヨタ生産方式は、なぜ、うまくいかないのか?」若井 吉樹
2008/03/31公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(91点)
要約と感想レビュー
現場の壁は厚い
トヨタ生産方式を実際に導入している企業は、数多くあると思います。しかし、導入した企業では、なかなか成果が出ない、改善が定着しないなどの問題が起きている場合が多いようです。この本では、これまであまり解説されてこなかったトヨタ生産方式の導入に伴う問題と原因、解決例を示した一冊です。
例えば、在庫削減のコツは、小まめに部品を作り、小まめに運ぶ必要があります。しかし生産現場には「まとめてつくる、まとめて運ぶ」という習慣が根強くあり、この壁を打ち破るのは難しいのです。実はこうした現場の壁の解決こそがコンサルタントの出番であり、これまで解説されてこなかった理由なのかもしれません。
「やってみたけどうまくいかない!」のは当たり前、「失敗した」と思っても慌てない(p194)
トヨタ生産方式はモノづくり宗教改革
著者は実際にコンサルティングして経験した事例から、トヨタ生産方式とは、モノづくり宗教改革であり、小手先の改善では定着しないと断言します。つくる単位は、まとめてつくる→小まめにつくる。指示のしかたは、前工程から押し込む→後工程からの引き取る。改善の取り組みは、部分最適→全体最適とすべてが正反対なのです。
これは経営者のリーダーシップが求められるほどの、作り方の思考の一大改革となる覚悟が必要です。現場で働く人、一人ひとりの思考をひっくり返すのですから、必ず抵抗者が出て来ることを想定しないといけないわけです。
「トヨタ方式」はモノづくりの新しい宗教
トヨタ生産方式はモノづくり宗教改革
トヨタ生産方式は、普通のやる気のない人にとっては、「そんなのできないよ」と言いやすい改善活動です。できそうもない目標を設定し、今やっている方法を変えていくのですから、難しいのは当たり前だとわかりました。
トヨタ生産方式を導入した現場ではどうなるのか、わかりやすく解説してありましたので、本の評価は★5つとしました。
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この本で私が共感した名言
・トヨタ方式の導入は、コンピュータを利用せずに始めるべき(p192)
・一時間かかった金型の段取り替えを、急に10分以内にやれと言われても簡単にはできません。・・・しかし、まずはできるところから少しずつやってみるのです。・・・こうして片っ端からやれることをやると、思った以上の時間短縮は実点できるものです。・・・こうして容赦なく改善を進めると、不可能に見えた10分以内の段取り替えはできてしまう(p196)
▼引用は、この本からです。
技術評論社
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【私の評価】★★★★★(91点)
目次
第1章 「かんばん」に偽りあり
第2章 本当にわかるトヨタ方式
第3章 やっぱり大事な「かんばん方式」
第4章 セル生産もかんばんも、全体最適がないと不幸になる
第5章 トップマネジメント不在が招く部門間の「仁義なき戦い」
第6章 本当のトヨタ方式の進め方
著者経歴
若井吉樹(わかい よしき)・・・名古屋生まれ。名古屋工業大学を卒業。日本電気株式会社に入社し、システムエンジニアとして数多くの製造業の在庫削減プロジェクトに参画。リーダーとして担当した3つの大型案件で、自社事業に貢献したとして「功績賞」を受賞。その後、お客様のさらなる成果を追い求めて自社工場の現場改善に転身。トヨタグループOBコンサルタントのもと、3000億円の在庫削減に関わる。現在は在庫削減を中心に、コンサルティング活動をおこなっている
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