「生物と無生物のあいだ」福岡 伸一
2008/01/20|

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【私の評価】★★★★☆(89点)
■米国ハーバード大学医学部の研究員として、
著者は細胞内部でのタンパク質の
流れについて研究しました。
細胞を研究してきて分かったことは、
生物というものがいかに精巧であり、
偉大な適用力を持ったものということです。
遺伝子の中に含まれた情報をもとに、
外部から栄養を吸収し、
絶えず死滅・生成を繰り返し、
生物としての営みを続けているのです。
・私達は遺伝子をひとつ失ったマウスに何事も起こらなかったことに落胆するのではなく、何事も起こらなかったことに驚愕するべきなのである。動的な平衡がもつ、やわらかな適応力となめらかな復元力の大きさにこそ感嘆すべきなのだ。(p272)
■こうした、人間の生物学的な偉大さを
教えてくれるだけでなく、
研究者の世界の実像もリアルに教えてくれます。
1000円札の肖像となっている
野口英世の評価などは、
ちょっとしたトリビアでした。
・イザベル・R・プレセットによる"Noguchi and His Prtrons"・・・によれば、彼(野口英世)の業績で今日意味のあるものはほとんどない。・・・ウイルスは微小すぎて、彼の使っていた顕微鏡の視野の中に実像を結ぶことはなかったのである。(p23)
■司馬遼太郎が生物学者になって、
生物学の世界を語っているような
感覚になるほどの筆力でした。
小説としても読めるサイエンスということで、
★4つとします。
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・もし生命を「自己複製するもの」と定義するなら、ウイルスはまぎれもなく生命体である・・・しかし、ウイルス粒子単体を眺めれば、それは無機的で、硬質の機械的オブジェにすぎず、そこには生命の律動はない(p37)
・一見、固定的な構造に見える骨や歯ですらもその内部では絶え間のない分解と合成が繰り返されている(p161)
▼引用は、この本からです。
講談社
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【私の評価】★★★★☆(89点)
■著者紹介・・・福岡 伸一(ふくおか しんいち)
1959年生まれ。京都大学卒。ハーバード大学医学部研究員。京都大学助教授を経て、青山学院大学教授。分子生物学。著書多数。
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