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「マティーニ・イズム」毛利 隆雄

2007/09/18公開 更新
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MARTINI-ISM  マティーニ・イズム

【私の評価】★★★★★(91点)


■銀座に「MORI BAR」という店があります。


 オーナーは天才と呼ばれる毛利 隆雄さん。


 毛利さんのステアで作られるマティーニは
 日本一美味いらしいのです。


 このお店が作るのは、
 カクテルだけではありません。


 お客様一人ひとりを大切にするという接客を、
 店の味にして、人を集めているのです。


 ・お客様の心の声に耳を澄ませること・・・
  お客様のかなでは、忙しくても
  自分をいつも気にかけてくれているバーテンダーか、
  忙しくなると自分のことで手一杯になるバーテンダーか、
  まったく正反対に認識されてしまうからだ。(p264)


■この本からは、お客様への「感謝」が溢れてくるような
 錯覚に陥りました。


 お客様のために、美味しいお酒を作る。


 お客様のために、感謝の気持ちで心を読む。


 そこには一切のブレがありません。


 ・お客様の心を誰よりもつかむ"最高の一杯"を
  お出しするためだけに、
  不器用ながらも一歩ずつ歩みを続けてきた。(p26)


■さらに、長年のバーテンダー生活での
 事件がこの本に華を咲かせています。


 早朝まで騒ぐお客様もいるし、
 自殺を決意しているお客様もいる。


 そうした人との出会いが
 バーテンダーという仕事なのでしょう。


 ・アメリカでは、
  「自ら命を絶とうとする人が、
  最後に会いにいく相手がバーテンダー」

  という話がある。
  ある雨の日にずぶ濡れの姿で現れた彼女も、
  そのひとりだった。(p304)


■バーテンダーの本に感動するとは
 思いませんでした。


 毛利さんの体験に、カクテルのレシピ付き。


 さらに良い紙を使った重厚な装丁で
 1500円は安すぎます。


 この本の作りにも、お客様のことを
 考える心を見つけました。
 ★5つとします。


─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・「上手な人は、好きな人にはかなわない。
  好きな人は、楽しむ人にかなわない」
  という言葉がある。
  僕は、いつの間にかバーテンダーという仕事が
  楽しくて仕方がなくなっていた。(p201)


 ・僕が弟子を怒鳴りつけているときは、
  たいてい何度いっても同じミスを繰り返しているとき。・・・
  いわれたこともちゃんとできないのに、
  いわれたこと以上のことはなかなかできるものではない。(p48)


 ・研修生・・・お客様に出すことはないが、オーダーを受けたら
  僕の隣で同じものをつくってもらい、そこでお酒の配合、
  ステアやシェイキングの仕方を見ながら指導する。
  自分がつくったものと、
  僕がつくったものの残りを飲み比べてもらい・・・(p327)


▼引用は、この本からです。
MARTINI-ISM  マティーニ・イズム
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毛利 隆雄
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【私の評価】★★★★★(91点)



■著者経歴・・・毛利 隆雄(もうり たかお)

 1947年生まれ。MORI BARオーナー。
 83年カクテル・コンペ2位。
 84年、85年全日本1位。
 87年日本代表として世界大会に出場し、
 味部門・技術部門でともに最高点を獲得。(総合4位)
 「技術は神様、人柄は仏様」といわれる。


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