「日本人はなぜ日本を愛せないのか」鈴木孝夫
2006/12/14公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(76点)
要約と感想レビュー
どこの国の人でも歴史を学ぶと思いますが、日本ほど、誇りを持って歴史を学ぶことのできる国はないのではないでしょうか。単一国家として1000年以上の脈々とつながる歴史を持ち、国民のレベルが高く、治安も良い。
さらに、先の大戦で焼け野原になりながらも、たった半世紀で日本はGDP世界二位の経済大国となりました。明治維新においても、短期間に世界の凶暴なヨーロッパ諸国と対等に渡り合える国家に変貌しています。(そのために叩きつぶされましたが・・・)
・「黄色いチビ猿」と軽蔑していた日本人が、開国するや短時日のあいだに急速に力をつけて、当時ヨーロッパ最大最強の軍事大国ロシアを日露戦争で(辛くも)打ち破るという予想もしなかった強さを見せると、今度は欧米各国が手を結んで日本の膨張を抑えにかかったのが二十世紀前半のアジアの動乱なのです。(p134)
この本では、そうした素晴らしい国家が、なぜ、自信なく謝り続けているのか。なぜ、多額の経済援助を行いながら、感謝されるどころか非難されなくてはならないのか、歴史・文化の面から分析しています。
この地球という惑星は、聖人君子の住む場所ではなく、国益という自己の利益になるのであれば、何てもするという考え方が主流なのです。正義とか真実など関係ないのです。
・欧米人や中国人そして韓国朝鮮人をも含めたユーラシア文明に属する人々は、その時その時の都合で、前に自分たちがした醜いことなどすっかり棚に上げ、平然と相手を非難攻撃することをなんとも思わないということです。(p141)
確かに、マスコミを利用した戦勝国アメリカの占領政策、共産国家の浸透活動などいろいろな要素はあるのでしょうが、日本は悪い国だ、侵略をした国家などと教える時間と同じくらい、日本は素晴らしい国であると教えてほしいものです。
そういった意味で、これからの世界で日本が何かをできるのではないかと思わせてくれる一冊でした。歴史、日本の文化を再度見直してみましょう。
自信と誇りを持って、日本史を学びたくなる一冊です。日本人として★3つとしました。
この本で私が共感した名言
・かつてローマ法王ヨハネ・パウロ二世が、あらゆる宗教の平和的 共存を呼びかけた演説を行いましたが、日本人はそれに感心などする前に、自分たちの国日本はそれを口で言うだけでなく、とっくに実行していることを、自分たち自身がはっきりと自覚しなければ駄目です。(p114)
・アラブの世界には「海の向こうから良いものが来たためしがない」といった意味の諺があります。ところが、日本人はまさにこれとは正反対の「良いものはいつも海の向こうから来る」という外国観をもつことができたのです。(p32)
・よくキリスト教は特定の民族を超える普遍性を持った「愛の宗教」だなどと言われますが、本当にそうでしょうか。世界の歴史を調べてみると、キリスト教ほど神の名において人を殺し、異端者や異教徒と目される人間を残酷無比に扱った宗教はないと思います(p118)
・近世の十六世紀初頭から、ヨーロッパ諸国が競って突入したいわゆる大航海時代とは、その実態を良く見るとこれはヨーロッパ人による残酷無比を極めた、非白人人種に対する世界規模の大侵略時代に他ならないのです。(p124)
【私の評価】★★★☆☆(76点)
目次
第一章 素晴らしいものは、海の向こうからやってくる
第二章 外国の醜いところが全く見えない!?
第三章 魚介か家畜か
第四章 外国は、「話せば分かる」か?
第五章 部品交換型文明の光と影
第六章 日本人の自信回復のために
第七章 「地救原理」と日本の生き残り戦略
著者経歴
鈴木孝夫(すずき たかお)・・・1926(大正15)年、東京生まれ。慶応大学文学部英文科卒。慶応大学名誉教授。専攻は言語社会学。英語と日本人、日本人の外国語観などについて文化論を提起している。
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