「ヤバい経済学」スティーヴン・D・レヴィット、スティーヴン・J・ダブナー
2006/07/05公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(79点)
要約と感想レビュー
「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」というベストセラーがありました。この本は、だれもが知っているようで、意外と知らない事実を教えてくれるという点で注目を集めたのだと思いますが、今日の「ヤバい経済学」は、「さおだけ屋・・」のアメリカ編といえるものです。
トピックも細かいものも入れると10個以上あり、非常に充実しています。例えば、家に本がたくさんある子は優秀な理由は、本があるからではなく、本を買う親だからこそ子供が優秀であると結論付けています。
・家に本がたくさんある子は、実際、試験の成績もいい・・・本は本当は、知恵をくれるものじゃなくて知恵を写すものなのだ。・・・あなたが賢くてよく働いてよく勉強してお給料も高くて、同じくらいよくできた人と結婚したなら、あなたのお子さんも成功する可能性が高いでしょう(p222)
また、「風が吹けば桶屋が儲かる」ではないですが、キリスト教の影響が大きく中絶をしてはならないという考えが浸透しているアメリカにおいて、「中絶が合法化されれば犯罪が減る」ということは、意外な発見でした。
中絶が合法化されると、10年以上してから犯罪率が下がりはじめたということは、望まない子どもが生まれなくなったことで、不幸な親と子どもが減り、犯罪を犯す人が減ったのでしょう。因果関係は複雑ですが、想像してみれはありえそうな結論です。
・アメリカでは中絶の合法化がさまざまな結果を招いた。子殺しが劇的に減った。できちゃった結婚も減ったし、養子に出される赤ん坊の数も減った。妊娠は30%近く増え、一方出産のほうは6%減った。・・・最初の世代が10代後半になるころ・・・犯罪発生率が下がり始めた(p175)
世の中には、思ったより意外な事実があるということがわかります。常識を疑うきっかけを与えてくれる一冊でした。★3つとしました。
この本で私が共感した名言
・ヤクの売人がそんなに稼いでるんなら、どうしてママと住んでいるの?・・・元締めでない限りそんなに稼いじゃいないから、ということになる。(p128)
・医者の商売でいうと、出生率が低下している地域の産婦人科医は出生率が上昇している地域の産婦人科医より帝王切開を行う可能性がずっと高い。商売が厳しいとき、医者はアガリの大きい処置を取ろうとするみたいだ。(p9)
・1990年代の終わり、定期生命保険の価格が大幅に下がり、不思議な現象と言われた。・・・インターネットだ。1996年の春、クウォートスミス・ドットコムが他に先駆けて、さまざまな会社がそれぞれ扱っている定期生命保険の価格をほんの数秒で比較できるサービスを始めた(p80)
▼引用は、この本からです。
東洋経済新報社
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【私の評価】★★★☆☆(79点)
目次
序章 経済学が「ヤバい」とは
第1章 立ちんぼやってる売春婦、デパートのサンタとどうしておんなじ?
第2章 自爆テロやるなら生命保険に入ったほうがいいのはどうして?
第3章 身勝手と思いやりの信じられない話
第4章 お悩み解決いたします―安く簡単に
第5章 アル・ゴアとかけてピナトゥボ火山と解く。そのこころは?
終章 サルだってひとだもの
著者経歴
スティーヴン・D・レヴィット・・・シカゴ大学経済学教授。2003年、2年に1度40歳未満で最も優れた経済学者に送られるジョン・ゲイツ・クラーク・メダルを受賞。
スティーヴン・J・ダブナー・・・ニューヨーク市在住の作家・ジャーナリスト。
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