「台湾人と日本精神(リップンチェンシン)―日本人よ胸をはりなさい」蔡 焜燦
2006/05/18公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(91点)
●私はこの本を読んで、
ドラえもんの場面をイメージしました。
のび太は、スネ夫とジャイアンにいじめられます。
「50年前、お前のおじいさんと親父に、
家族がいじめられたんだ
謝れ!金よこせ!謝り方がなってない!」
そこにドラえもんがやってきて、のび太に言うのです。
「確かに50年前、のび太は、ジャイアン家を支配していた。
そして確かにジャイアンの家族を差別したところはあった。
でも、お金を使って、家を修理したり、
奨学金を出して良いこともしたんだよ。
他の家では、そこに住む人からお金を
取れるだけ取る所有者もいたんだ」
それまで、そんなことを言われたことのなかったのび太は
号泣するのです・・・
●著者は、台湾で日本の教育を受け、
日本人として戦争を戦った世代です。
著者によれば、確かに日本人と現地人の
差別はあったようです。
しかし、それ以上に、他の欧米諸国とは違い、
搾取する対象としてではなく、
あくまでも日本国の一部と考え、
日本と同じレベルまで引き揚げるため多くの
投資を行ったのは事実のようです。
・台湾の上下水道はこの時代に整備され、
その結果、世界有数の伝染病根源地だった台湾から、
マラリア、ペストをはじめ、あらゆる伝染病が消えていった。(p58)
●日本が引き揚げてからの台湾には、
中華民国政府がやってきましたが、
その人間性の低さにはひどいものがありました。
・中華民国政府による台湾統治が全島にゆき届きはじめ、
それと同時に役人や警察がその権力を傘に威張り散らし、
日本統治時代には考えられなかった不正がはびこり、
賄賂が横行しはじめていた。(p152)
●著者は、体育教師であったこともあり、
賄賂により成績も、進級もどうにでもなる
中国人の思考にガマンがならなかったようです。
・中国の教育というのは"商売"でしかなかった。彼らは、
生徒を進級させるにも、よい成績を取らせるためにも、あらゆる
場面で父兄に賄賂を要求し、教育など二の次だったのである。
"雲泥の差"とはまさしくこのことをいうのだろう。(p83)
●さらには、虐殺も発生しており、
中国人の支配する国家では、
そのようなことが普通に起こることに
私は恐怖を覚えました。
・蒋介石はためらわなかった。
彼は、「格殺無論(皆殺しだ)・・・と返電した。・・・
陳儀は「清郷工作」を断行する。・・・
医師、弁護士、学者、教師などの知識層が無実のまま次々と逮捕され、
そして裁判もなく虫けらのように処刑されていったのである。(p178)
●台湾においても中華民国政府は反日教育を行っていましたが、
著者のように「それは間違っている」と主張してくれる人が
いるからこそ、台湾では親日家が多いのでしょう。
・私は、台湾にやってくる日本人に説く。
「自分の国を愛しなさい」と。
自分の国をも愛せない人が、
どうして他人や他の国の人々を愛せるだろうか。(p261)
●今、ジャイアンは、ドラえもんの家は
自分のものであると主張しています。
また、「反国家分裂法」という武力で、
ドラえもんの家を奪うことのできる法律も作りました。
台湾の次は日本か・・・、と
恐ろしく思うのは私だけでしょうか。
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・日本統治時代の輝かしい業績でも、
とりわけ私が評価したいのは「教育」である。(p80)
・台湾では、いまでも「日本精神」=リップンチェンシンという
言葉が、「勤勉で正直で約束を守る」という褒め言葉として
使われている。
まさしくそれは日本統治時代の教育の成果である。(p86)
・現代の日本人は、日本がかつて植民地で
皇民化教育を行っていたことを非難するが、
それは、「内地でやっていた教育を、
同じ日本領土である台湾でもやっていた」
だけのことだと私は納得している。(p93)
・中国人は、なにをするにも現金を要求し、
現金を差し出さなければ動こうとはしない。
これを日本人と中国人の国民性の違いと片付ける
にはあまりに大きな格差である。
否、これこそが、「近代国家」と
「前近代国家」の違いだったのだろう(p165)
・人々は、「犬(日本人)が去って豚(中国人)来たり」と吐いた。
犬はうるさいが守ってくれる、しかし豚は働かずにただむさぼる
だけだという喩えだ(p167)
小学館
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せめて日本人は
全日本人必読の書
会う人に配りたいくらいの本
台湾の人が教えてくれる、日本人というもの
【私の評価】★★★★★(91点)
■著者経歴・・・蔡 焜燦(さい こんさん)
1927年台湾生まれ。台中州立彰化商業学校卒業。
45年岐阜陸軍整備学校奈良教育隊入校。
終戦後、台湾で体育教師となるが、後に起業。
現在、半導体デザイン会社「偉詮電子」会長。
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