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「最強のコーチング」清宮 克幸

2006/04/06公開 更新
本のソムリエ
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最強のコーチング (講談社プラスアルファ新書)

【私の評価】★★★★☆(83点)


●「一頭のライオンに率いられた百匹の羊は、
 一匹の羊に率いられた百頭のライオンに勝る」
 というコトバがありますが、
 一人の傑出したリーダーによって、
 組織が急に強くなることがあります。


 最近、最強を誇る早稲田ラグビーにも
 何か秘密があるはず、という視点で
 この本を読んでみました。


●私の印象に残ったのは、
 目つきの怖い元不良の清宮監督の情熱と、
 意外なまでの合理的な考え方です。


 最初にやったのは、選手への早稲田ラグビーの
 強み、弱みについてのアンケートです。


 これで、選手に考えさせることで、
 自己を認識させ、目的を浮かび上がらせます。


 ・監督就任にあたり、私はまず選手たちの
  現状をつかもうとした。・・・
  「早稲田ラグビーの強みと弱みを書きなさい」
  「ライバルチーム(関東学院)の強み、
  弱みを分析しなさい」というアンケートを取った(p65)


●そして、練習初日は体力測定。


 現在、選手の体のコンディションは、
 ストレングス(筋力トレ)担当コーチ、
 リハビリ担当コーチ、理学療法士が管理しています。


 大学スポーツというと「根性」という
 イメージしか浮かびませんが、
 早稲田ラグビー部には、
 合理性という言葉しかないようです。


 ・サントリーでの仕事は営業。・・・
  私がいつも口にしていたのは「要領」だった。
  すなわち、いかに時間をかけないで仕事をして、
  しかも結果を出すか、である。
  早稲田の監督になってまず変えたのも、
  長かった練習時間を「二時間練習」に
  変えることだった。(p17)


●合理的な考え方は、
 人事にも反映されています。


 早稲田大学のチームは、
 レギュラーのAからEまでの
 五チームに分かれていますが、
 プレーによって頻繁に入れ替えを
 行っているということでした。


 ・どんな監督も抱いている感想だと思うが、
  「選手は使ってみなければわからない」。
  こうした現実があるので、
  選手の入れ替えには大きな意味がある(p115)


●実際には、そのチームに入ってみなくては
 わからないのでしょうが、
 早稲田ラグビーの強さの一端を見ることのできる良書として、
 ★4つとしました。


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・要するに、監督業とは繰り返しなのである。
  だから、「こうあるべきだ」
  「こうするべきだ」と、
  指導者はつねにいい続けなければならない。(p23)


 ・新しい人間が入ってくると、変化の過程や
  「なぜ」という部分を見ることなく、
  形やスタイルだけを真似するようになる。
  そこに大きな落とし穴があるのだ。(p32)


最強のコーチング (講談社プラスアルファ新書)
清宮 克幸
講談社
売り上げランキング: 29833
おすすめ度の平均: 3.0
3 指導者的立場の人にオススメ!
1 乗せられちゃった?
2 「都合」で出版された本
4 早稲田ラグビー復活の秘密
4 ラグビー好きのビジネスマンなら

(私の評価:★★★★☆:買いましょう。素晴らしい本です)



■著者経歴・・・清宮 克幸

 1967年生まれ。高校日本代表。
 早稲田大学ラグビー部で1年生より
 レギュラーとして活躍。
 卒業後、サントリーに入社。
 2001年現役を引退し、
 早稲田大学ラグビー部監督に就任。
 2005年、2006年大学選手権連覇。


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