人生を変えるほど感動する本を紹介するサイトです
本ナビ > 書評一覧 >

「CM化するニッポン―なぜテレビが面白くなくなったのか」谷村 智康

2006/04/03公開 更新
本のソムリエ
本のソムリエ メルマガ登録[PR]

CM化するニッポン―なぜテレビが面白くなくなったのか


【私の評価】★★★☆☆(75点)


要約と感想レビュー

 テレビなどのマスメディアと広告業界の裏側を教えてくれる一冊です。読者の方の多くは気づいていると思いますが、テレビ局とは、単に広告で収入を得ている会社なのです。


 ですからテレビ局はスポンサーに弱い。視聴率で広告料が決まるので、視聴率さえ上げれば良いのです。番組の内容などどうでもよいわけです。


・テレビ局はCMを流すにあたって、スポンサーと「量」で契約します。たとえば「合計視聴率100%で1億円」といった具合に。(p17)


 私も、本を紹介することでアフィリエイト収入を得ており、広告業界に関係している立場にあります。そういう意味で、スポンサーや自分の収入ばかりを気にしているテレビ局などのメディアの気持ちはよくわかります。


 しかし、やはり良いものを良いと紹介したい。テレビ番組のように何でも「美味しい!」と放送することは私にはできません。


 ただ、私の場合は、書籍代くらいが出ればいいかという片手間作業なので、自分の感じたままに本を評価していますが、これで生きていこうとすれば、また違ったスタンスになるかもしれません。


・テレビ局に「良い番組を作ろう」という気概は、もうありません。製作者にそう主張する人はいますが、営利法人としてのテレビ局は利益の方を優先します(p192)


 この本では、業界の裏話を暴露することで、より健全な業界になってほしい、それがムリなら、一般の人々に現実を知って欲しいという著者の思いが伝わってきます。


 確かに儲かれば良いのですが、人生それだけではないでしょう。なぜ、テレビ局が存在するのか、テレビ局の使命は何なのか、考えてほしいのです。


・NHKは、W杯やオリンピックの放送に、テーマソングをつけるようになりました・・・その実態は、NHK(の子会社)が楽曲の原盤権を一部所有し、CDが売れるごとにキックバックを受け取る利権ビジネスです。(p58)


 この本は、私に良い本だけを紹介していこうという決心させてくれました。業界の裏話だけでも面白い一冊です。★3つとしました。


この本で私が共感した名言

・あなたは気がつきました。『お台場冒険王2005』のCMや番組での紹介を見ても、それがフジテレビの自社イベントで、自分たちが儲けるためにやっているのだと(p200)


・アニメ『魔法使いサリー』のヒロインは、原作のマンガでは「サニーちゃん」でした。その名前は、番組提供会社のライバル商品なので「サリーちゃん」に変えられました。(p21)


・今では、CMに出演する際には、ライバル会社の提供する番組には出ないのはもちろん、競合するCMに出演するタレントと共演しないというような契約が結ばれていることが多い(p30)


・試しに、PR会社を使って国際世論を買ってみましょう・・・全米のPR産業全体の売り上げは約1000億円です・・・この程度の金額で買い占めることができるのです(p127)


・日本中にくまなくデジタルテレビ放送をするならCS(通信衛星)を使って配信する方が簡単で安上がりです・・・では、なぜ光ファイバーなりCSに切り替えないかというと、キー局とローカル局による全国放送という今までのシステムを手放したくないからです(p176)


CM化するニッポン―なぜテレビが面白くなくなったのか


【私の評価】★★★☆☆(75点)


目次

第1章 テレビでブームはつくられる
第2章 マーケティングがあなたを狙っている
第3章 テレビをほんとうに面白くするために


著者経歴

 谷村 智康・・・1963年生まれ。大学卒業後、ケーブルテレビ局勤務などを経て、博報堂で大手自動車会社などを担当。その後、外資系コンサルティング会社で、テレビ局や広告代理店のコンサルティングに参加。現在、仙台市産業振興事業団のプロジェクトマネージャーとして地元企業を指導。


読んでいただきありがとうございました!

この記事が参考になった方は、クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓ 
人気ブログランキングに投票する
人気ブログランキングへblogrankings.png


メルマガ「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』」
25,000名が読んでいる定番書評メルマガです。購読して読書好きになった人が続出中。
>>バックナンバー
もちろん登録は無料!!
        配信には『まぐまぐ』を使用しております。


お気に入りに追加
本のソムリエ公式サイト発行者の日記

<< 前の記事 | 次の記事 >>

この記事が気に入ったらいいね!

この記事が気に入ったらシェアをお願いします

この著者の本


コメントする


同じカテゴリーの書籍: