【書評】「ピーターの法則 創造的無能のすすめ 」ローレンス・ピーター、レイモンド・ハル
2005/04/13公開 更新

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【私の評価】★★★☆☆(79点)
要約と感想レビュー
人は無能になるまで昇進する
私が「ピーターの法則」を知ったのは30歳くらいのときでしょうか。少し会社の組織が分かりかけたときで、「なるほどね」と納得したものです。
つまり、組織の中で人は無能になるまで昇進するので、組織的にはすべて無能の人で占められるということです。そして、成果を出すのは、まだ無能レベルに達していない人によって行われるのです。
「ピーターの法則」階層社会では、すべての人は昇進を重ね、おのおのの無能レベルに到達する(p26)
出世しないほうが幸せ
確かに組織のなかで生きていると、有能な人はバリバリ仕事をして出世するわけですが、そうした人が必ずしも出世した後に、今までどおり良い仕事をしているか?といえば、そうでもないのです。
そういう人にとっては実は出世しないほうが幸せだったわけです。
その先で無能レベルが口を開けて待っているというのに、頂上有能者は決まってこう言います。「もうこの仕事には刺激がない」(p126)
無能なのにやる気がある不幸
それなら、無能な人を出世させれば、仕事のじゃまがいなくなっていいかといえば、そうでもないのです。無能で無気力な人ならいいのですが、無能なのに権限を振りかざす人もいるわけで、ますます迷惑することもあります。
このように階層組織の人事は、ケースバイケースで答えが違うということになりますが、そうしたなかで、いかに無能レベルの人を減らし、活力ある組織にするかというのが人事の難しさなのでしょう。
33年ぶりの新訳「ピーターの法則」となる本書は、組織学の基本です。ついでに、クスッと笑えるので組織で働く人間として押さえておきたい一冊だと思います。
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この本で私が共感した名言
・ピラミッドの下半分では、身分境界線があるおかげで、多くの人々が無能レベルまで昇進することはありません。(支配階級のある組織)(p92)
・昇進の話を持ちかけられないように工夫する・・・創造的無能(p182)
・仕事は、まだ無能レベルに達していない者によって行われている(p28)
【私の評価】★★★☆☆(79点)
目次
世界には無能がはびこっているーピーターの法則
ピーターの法則に支配される社会ー"検証"ピーターの法則
ついに例外は発見されなかったー擬似昇進の研究
能力によらない昇進ー引きと昇進
がむしゃらな昇進の追求ー押しと昇進
服従する者と指導する者ー昇進のパラドックス
政治家と役人はなぜ無能なのか?-階層社会学と政治
無能を発見した人々-先駆的研究の紹介
なぜ人は無能へと突き進むのか?-階層社会の心理学
無能が無能を生むーピーターの悪循環
あなたの病気の本当の原因は?-成功の病理学
無能ゆえの奇妙な行動ーピーターの人間観察
無能レベルでの健康と幸福ーすりかえの術
創造的無能のすすめー知恵と戦略
ピーターの法則が世界を救うー進化論的応用
著者経歴
ローレンス・J・ピーター(Laurence J. Peter)・・・1919年、カナダ生まれ。教育学博士。南カリフォルニア大学教授。同校で規範教育研究所ディレクター、情緒障害児支援プログラムコーディネーターを歴任。教師、スクールカウンセラー、刑務官指導員、コンサルタント、大学教授などの幅広い経験から「階層社会学」を提起。著書多数。1990年没。
レイモンド・ハル(Raymond Hull)・・・カナダ生まれ。小説家、ノンフィクション作家。1985年没。
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