「若き獅子」池波 正太郎
2003/02/06公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(73点)
要約と感想レビュー
幕末をテーマにした短編集です。幕末とは不思議な時代です。
混乱と戦乱の中で、新しい日本を作ろうとする人たちが戦い、明治政府ができました。武力を持っていた薩摩と長州は対立していましたが、幕府を倒すということで合意し、幕藩体制を終わらせました。
この時期、ちょっとした差で、日本の未来は大きく変わったことでしょう。仮に、幕府が倒れずに日本が二分されたかもしれないし、幕府の支配が続いたかもしれない。歴史では仮説が難しいのですが、考えてしまいます。
池波さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・こうなれば、おれの絵がうまくなるよりほかに浮かび上がる道はねえのだ。石に齧りついてもうまい絵が描けるようにならなくてはいけねえ・・・この決心が - 金や名声や人気の誘惑を徹底的にはねつけ、ただ一心に、九十余歳の生涯を終えるまで絵筆へしがみついて離れなかった後年の葛飾北斎を生むに至ったのである(p40)
・高杉晋作が吉田松陰の門下となった安政四年から、勤王運動は全国に燃え上がった・・吉田松陰は、こういっている。「・・いずれは国をひらき、外国文明の実体にふれ、わが国の富国強兵の大策をたてねばならぬ・・・」(p59)
・会津藩の抗戦については、それだけで一冊の書物になるほどの悲痛な挿話にみちている。老人も、小供も、女性も戦った。・・将軍と大名、大名と家臣という旧幕体制の中で、上下一致した「義」の発揮がなされたわけで、おそらく現代人の眼から見れば、ばかばかしいことであろう(p137)
・徳川慶喜は、我から進んで「政権」を朝廷に返上したのである・・・しかるに勤王派は、あくまでも徳川の息の根をとめてしまおうとした・・・北海道も、翌明治2年5月18日 - 官軍の手に帰した(p158)
・小栗は四十歳で、勘定奉行(兼)海軍奉行に就任した。・・・小栗には賄賂もきかない・・・あの当時、幕府があれだけの財源をどうして確保していたのか、いま考えても不思議でならぬ。小栗上野介の財政家としての手腕がなかったら・・・(p179)
▼引用は下記の書籍からです。
【私の評価】★★★☆☆(73点)
著者経歴
池波 正太郎(いけなみ しょうたろう)・・・1923年生まれ-1990年没。時代小説・歴史小説作家。戦国・江戸時代を舞台にした時代小説を発表する傍ら、美食家・映画評論家としても著名であった。
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