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【書評】「教養としての空き家」丸岡智幸

2026/07/28公開 更新
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「教養としての空き家」丸岡智幸


【私の評価】★★★★★(92点)


要約と感想レビュー


日本の中古住宅は売れにくい

青森県の実家が空き家になりそうなので、手にした一冊です。


日本では中古住宅がなかなか売れません。中古住宅の流通割合はわずか16%。一方、アメリカは約7割、イギリスは約8割、フランスも約7割と、日本と大きな差があります。


その背景には、日本の「新築至上主義」があります。木造住宅の法定耐用年数は22年とされ、築年数が古い住宅は査定価格がゼロ、よくても100万~200万円というケースが少なくありません。


そのため、まだ住める家でも資産価値がほとんど認められず、放置される空き家が増えているというのです。


2040年・・・人口は1億1138万人(約1147万人減)、高齢化率は約35%に達します。空き家率は約25%へ上昇し、空き家の数は1861万戸と倍増(p127)

なぜ空き家が増えるのか

古い家を売ろうとしても価格はせいぜい100万~200万円です。そのため、「売っても意味がない」と放置され、日本では住宅の約7戸に1戸が空き家となっています。


買い手から見ても、新築住宅のほうが魅力的であり、新築した場合、3年間固定資産税が半額(長期優良住宅なら5年間)になる優遇措置があります。一方、中古住宅にはこうした減税措置はないのです。


不動産会社にとっても空き家は手間のかかる案件です。所有者の調査や相続人との交渉など手間が数倍かかる一方、売買価格が数分の一のため利益はわずかです。


2024年7月の法改正で、800万円以下の物件は最大30万円まで仲介手数料を受け取れるようになりました。しかし、それでも採算が合わないケースが多いというのです。


建物を解体して土地だけを売る方法もありますが、木造住宅の解体費は坪3~5万円が目安です。庭木や基礎の撤去、整地費用まで含めると、30坪の住宅でも90万~150万円程度かかり、簡単には決断できる金額でもないのです。


空き家ビジネスは儲かりません・・・手間は通常の数倍、収益は数分の一(p23)

著者の空き家活用法の提案

では、どうすればよいのでしょうか。著者の提案は、安価な空き家を地域の資源として活用することです。


例えば、廃校となった小学校をイタリアンレストランへ再生する。空き家でキクラゲを栽培する。養蜂の拠点として利用する。空き家を新たな価値を生み出す資産として活用するのです。


また、空き家を賃貸で借りて二拠点生活を楽しむ人もいます。利用していない期間は民泊やレンタルスペースとして貸し出せば、収入源にもなります。


多拠点生活・・賃貸として借りる方法もあります・・・月に数万円どころか、1万円程度で借りられる物件も珍しくありません(p173)

日本の不動産業界を変える

著者は、共有名義や再建築不可などの「訳あり物件」を買い取る事業を行っています。売主が査定価格に納得できない場合には、自社の不動産売買サイト「URI・KAI」に掲載し、購入希望者を広く募る仕組みも提供しています。


最初は、「訳あり物件」を安く買い叩くビジネスという印象を持ちました。しかし読み進めるうちに、その背景には「空き家を地域の資源として生かしたい」という著者の思いがあることが伝わってきました。


また、実家の相続手続きから家財整理、訳あり物件の買い取りまでを一括で引き受ける「ワンストップ実家じまい」という構想も紹介されています。空き家問題の本質を理解し、仕組みで解決しようとする発想が好感を持ちました。


日本でも海外のように中古住宅が当たり前に流通し、空き家が地域の価値を生み出す資産として生まれ変わる社会になってほしいものです。


丸岡さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・売主にとって不利な情報は、契約直前の「重要事項説明」まで明かされないことが少なくありません(p94)


・国土交通省の推計によると、2016年時点で、日本の国土の約20.3%が所有者不明土地に該当する・・・その面積は九州を上回る広大さです(p102)


▼引用は、この本からです
「教養としての空き家」丸岡智幸
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丸岡智幸 (著)、ブックダム


【私の評価】★★★★★(92点)


目次


第1章 空き家が映し出す日本社会の現実
第2章 「所有」へのこだわりが、日本を縛る
第3章 何もしない未来
第4章 「売りたくても売れない」不動産
第5章 空き家は、次の時代の資源になる
第6章 ステークホルダー連携による地域再生モデル
第7章 空き家は、こうして蘇る


著者経歴


丸岡智幸(るおか ともゆき)・・・株式会社ネクスウィル代表取締役。1983年、茨城県生まれ。
高校卒業後、東京電力に約10年間勤務。その後、不動産業界へ転じ、投資用不動産の販売などに従事。2019年に独立し、株式会社ネクスウィルを創業。再建築不可物件や権利関係が複雑な不動産など、「訳あり不動産」に特化した買取事業を開始。また、空き家や訳あり不動産を個人間で売買できるオンラインプラットフォーム「空き家のURI・KAI」を立ち上げる。


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