「米国株なんて買うな! インデックス投資も今はやめとけ! グローバル割安株投資」日野 秀規
2024/12/04公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(81点)
要約と感想レビュー
米国株はバブル
この本は2022年6月に発行されたものですが、米国株がバブルに近い割高水準にあると指摘しています。特に、最近の米国株価上昇の背景には、2008年のリーマンショック後に実施された米国の金融緩和政策があり、ドル供給量の増加が影響していると考察しています。
この2年間で、ウォーレン・バフェットは保有すする一部株式を売却し、現金や米国短期国債の保有率を3倍に増やし、全資産の28%になったと報道されています。本書が発刊された2年前に0.25%であった米国の政策金利は、2022年以降の利上げにより現在4.75%になっており、バフェットは、株式よりも米国債のほうが有利になっていると判断しているわけです。
バフェット指数:米国株式市場全体の時価総額を米国のGDPで割った数値をグラフに描くと、過去のバブルの時期ははっきりとグラフが上の方に突出(p61)
米国株の比率を下げる
著者は、米国株のバブル化を懸念し、その割合を減らすことを提案しています。その代替えとしては、日本や新興国の割安株式を推奨しています。現在人気の「オルカン(世界株式インデックスファンド)」は、米国株が全体の6割を占めており、分散不足なのです。
これから購入するのであれば、米国株の比率を抑えた全世界株式(3地域均等型)などであれば、日本株が3分の1で、米国株が23%程度に抑えられており、購入の選択肢に入るという。
そういえば、バフェットも日本の五大商社の株式を5%以上を保有していることから、日本株が割安と評価され、五大商社が選ばれたということなのでしょう。
これから投入する資金は、少なくとも米国株のバブルが崩壊するまで他の資産に退避させましょう(p8)
過去のバブル崩壊
過去のバブル崩壊を見れば、金利上昇がバブル崩壊のきっかけとなっています。だとすれば、今回も金利を上げた米国株式はいずれ暴落し、その回復には10年は必要という結論になります。
ただ、20年、30年といった長期的視点で見れば、株式投資が最も儲かる投資先であることに間違いはありません。問題は、暴落後の回復に要する10年もの株価低迷期の間も、コツコツと積立を継続できるのか?という投資家の心理の問題なのです。
上がったものは、必ず下がる。下がったものは、必ず上がる。適正価格を中心に上下するのが、株式市場の特性なのです。
2012年~2022年の10年間で、米国株インデックスは5.3倍、米国成長株インデックスは7.8倍・・新興国インデックスは1.7倍、日本株インデックスは2.3倍(p16)
長期投資の視点
私も58歳となり、退職金をもらったら運用をどうしようかと考えるタイミングになってきました。
ちなみに、私は定年からの給付を考えているので確定拠出年金は「日本株式」から「定期預金」に振り替えました。つみたてNISAは、あと10年以上は続けるつもりなので「日本株式」のままです。
米国株が暴落し、円高になったら、分散させる意味でオルカンも悪くないかもしれませんね。日野さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・実は2013年~2019年の間はおおむね、米国企業より日本企業の方が利益成長率は高かったのです。米国株の上昇は、必ずしも経済合理的なものとは言えない(p15)
・長期投資・・・10年、20年計画でコツコツ積立投資・・相場のことは気にせず、買ったら放置、売るのは将来使う必要が生じたとき(p7)
・米国株バブルは、日本の平成バブルとも共通点・・株式と不動産の両方で価格が急激に上昇していること(p74)
【私の評価】★★★★☆(81点)
目次
第1章 「米国成長株投資は最高!日本株は最悪」だったこの10年
第2章 米国経済と米国企業の「強さ」が、圧倒的な株価上昇につながった...その通説、ホントですか?
第3章 米国株・成長株が上昇した「本当のメカニズム」とは
第4章 米国株は「歴史上最大のバブル」だ!
第5章 米国株バブルに日本人投資家を巻き込む投資商品とは?
第6章 米国株バブルを避けて買うべき資産とは?
第7章 米国株の崩壊を見抜く方法とは?
著者紹介
日野 秀規(ひの ひでき)・・・個人投資ジャーナリスト・ファイナンシャルプランナー。投資先進国米国の最新情報をベースとした一般個人の長期資産形成と、特に仕事や賃金にフォーカスした実体経済に関する企画編集・執筆が専門。賃金停滞の時代では、株式投資は一般庶民にとって必須の「生涯保険」であると考えており、資産運用を広く普及させるために活動している。
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