「感性思考 デザインスクールで学ぶMBAより論理思考より大切なスキル」佐々木 康裕
2020/06/16公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(84点)
要約と感想レビュー
感性思考とは、創造的なアイデアを出すための方法論です。MBAならぬMFA(Master of Fine Arts)美術学修士が取れるデザインスクールで感性思考が教えられているという。
感性思考では、計測された数よりも顧客の心の奥を重要視するようです。感性思考とは方法というより感覚に近いのかもしれません。私には、とりあえるやってみるアジャイル開発とアイデア発想術を組み合わせたもののように感じられました。
・デザイン思考では、ターゲットユーザーや潜在顧客に、1対1で1時間ほど深く話を聞くデプスインタビューが大事・・・人の無意識を「解読」しないと、人に選ばれる製品を生み出せないのだと考えられます(p41)
実務の世界では、新規事業の担当になったら潜在顧客数、売上予測、確実性、裕度などの説明を求められます。感性思考とは、こうした「前例はあるのか?」とか「ほんとうにうまくいくのか?」などと口を出す官僚を黙らせるための仕組みのように思えました。
なぜなら、新しいサービスはやってみて、ダメなら変えてみて、そこから生まれるのですから。とにかく手を動かして形にすること、ダンボールで作ったり、紙に書いたりイメージを広げていくことを推奨しています。
・画期的なビジネスに計画通りできたものなどない・・・位置情報共有アプリがありました・・・ユーザーは位置情報を共有したいのではない、写真を共有したいのだ」という気づきを得ます・・そして、そのアプリはInstagramという名の、誰もが知るサービスとなりました・・・Uberも・・・当初は高級リムジンの配車サービスでした・・その後・・ほかのグレードの車種が増え、UberXという一般人が運転する自家用車にタクシー感覚で乗れるサービスが生まれ急速に広まりました(p46)
MFAに注目してもらうために芸術をビジネスにつなげてしまったように感じました。仕事においてはMBAもMFAも必須ではありませんが、仕事には創造性が必要なのは間違いありません。そしてそれ以上に必要なのは新しいアイデアに対して社内組織の了解を得る技量と信頼が必要なのでしょう。
佐々木さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・他の人にも面白いと思ってもらう・・・そのために必要なのが3つのS、「structuralize(構造化する)」、「sinplify(単純化する)」、「storytelling(ストーリー化する)」です(p126)
・チリテーブル・・手巻きずしにニュアンスが近いかもしれません・・新しい乗り物を考える・・変数1:顧客セグメント・・変数2:乗り物・・変数3:場所・・ランダムにつないでいく・・否定せずに考えてみるのが大事です(p71)
・ブレインライティング・・・4つのマスをつくります・・・アイデアを自分の紙の1マスに書き込みます。制限時間は3分ぐらい・・次の人に回す・・前の人のアイデアをブラッシュアップした案を別のマスに書く・・・4人でやったら12分で4つの洗練されたアイデアが出ます(p78)
・「常識を疑う」・・・その業界で常識となっていることを列挙していきます・・・ステップ1で列挙した要素を、否定してひっくり返していきます・・・イギリスのライフスタイル誌「MONOCLE」は、1回ごろに購入するより定期購読の値段を高く設定して成功した例です・・読者イベントなどに参加できるといった特典を付けたところ好評・・(p84)
・デロリアン・・・今から10年後のスマートフォンを考えてみよう。20年後のテレビを考えてみようという感じで、未来はどうなっているのかを空想してみる。タイムマシン的な思考法です(p85)
・UberやWeWorkのように、サービスのスタート時は赤字を許容しながら、ユーザー獲得のために割引クーポンをたくさん配るというビジネスモデルにするのも一つの方法です(p41)
・(荷物受取所)に荷物が出てくるまで10分以上待たされるので、乗客からの苦情が絶えないという問題・・・わざと遠回りするように・・・通路をデザインしました。人は歩いている時間は「待たされている」とは感じないからです。その結果、乗客は・・2分待つだけで荷物が出てくるようになり、苦情はほぼゼロになったそうです(p21)
【私の評価】★★★★☆(84点)
目次
はじめに デザインスクールのプログラムへのご招待
第1講義 「ビジネス×デザイン」マインドセット――Mindset
第2講義 強烈なアウトプットを生む思考法――Output
第3講義 創造性を高めるインプットの技法――Input
第4講義 相手の右脳と左脳を動かす伝え方――Presentation
第5講義 〝売れる〟の確度を上げる――Marketing
最終講義 「ビジネス×デザイン」人材こそ最強の生存戦略
著者経歴
佐々木 康裕(ささき やすひろ)・・・Takramディレクター&ビジネスデザイナー。早稲田大学政治経済学部卒業。イリノイ工科大学デザイン大学院(Institute of Design)修士課程(Master of Design Method)修了。グロービス経営大学院客員講師(デザイン経営)。総合商社でベンチャー企業との新規事業立ち上げ等を担当後、経済産業省でBig DataやIoT等に関するイノベーション政策の立案を担当。2014年、デザインコンサルティングファームTakram に参画。
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