「人生を変える幸せの腰痛学校 ―心をワクワクさせるとカラダの痛みは消える」伊藤 かよこ

【私の評価】★★★★☆（80点）

要約と感想レビュー

　腰痛についての小説とは珍しいと手にした一冊です。海外では腰痛でもレントゲンをあまり取らないという。なぜなら、椎間板ヘルニアが腰痛の原因であることはごく少ないからです。さらには、ヘルニアがあると、私は病気なんだ・・と患者が思い込んでしまうからです。『肩こってますね』と言われると肩がこるように、ヘルニアがありますねと言われると、腰が痛くなるのです。

　腰痛の治療には、安静も、コルセットも、薬も、手術も、腰痛体操も効かないと科学的に実証されているという。あえていえば、精神的なことが原因で腰痛になることが多いらしいのです。腰痛の原因が分からないとすれば、いかに腰痛と付き合っていくのか、ということが大事になります。腰痛もいつかは治るのですから、原因がわからないことを受け入れつつ、明るく生活すること。腰が痛いからといって、自分の可能性を否定しないこと。前向きに腰痛と生きるということなのでしょう。

・先生の特別な治療法って・・動けないという思い込みに勝つ・・100％無理だと思い込んでいたことが、実際には無理じゃなかった（ｐ212）

　そしてもっとも科学的根拠の高い治療は、運動と認知行動療法だという。認知行動療法とは、腰痛のことばかり考えていると治らない。いい気分で過ごすと改善するということです。大事なことは、腰痛に関する誤った思い込みを消去し、正しい知識・情報を心底理解し、考え方・行動を変えることだという。

　特に緊急性がない腰痛について『腰の治療』は必要ない、腰痛の原因は分からないことが多いというのは意外でした。整形外科や接骨院とすれば、腰痛についての不都合な真実なのかもしれません。伊藤さん、良い本をありがとうございました。

この本で私が共感した名言

・椎間板ヘルニアは痛みの原因ではない・・日本の保険制度上、診断名をつける必要があるんです。そこで、レントゲンやＭＲＩなどの画像診断をして、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの名前をつけます（ｐ79）

・小さなヘルニアがあるけれど、これが痛みを起こしているかどうかはわかりません。でも、まあ試しに手術してみますか？（ｐ38）

・手術後の有効率は70～90％というところでしょうか。とくに痛みの強い方ほど劇的な効果が期待できます。ただね、手術してから五年、十年後の長期的な成績を見てみると、してもしなくても変わりません（ｐ135）

・できないと思い込んでいたことができた時、それは一生の自信になりますよ。今までは、強い痛みが出るたびに入院したんでしょう？また同じことを繰り返すの？（ｐ187）

【私の評価】★★★★☆（80点）

目次

1週目 腰痛を治したければ治そうと思わないこと
2週目 腰が悪いとはどういうことか?
3週目 痛みをコントロールする方法
4週目 「思い」や「考え」の影響力
5週目 共に生きる大切な仲間
6週目 勇気は連鎖する
7週目 腰痛が教えてくれたこと
8週目 世界は私を必要としている

著者経歴

　伊藤かよこ(いとう　かよこ)・・・1967年生まれ。大阪府出身。東京都在住。鍼灸師。慶応義塾大学文学部通信教育課程卒業後、リクルートフロムエーに入社。会社員時代に「椎間板ヘルニアによる腰下肢痛」との診断を受け入退院を繰り返す。2000年はり師・きゅう師免許取得後、神奈川県で鍼灸カウンセリング治療院を開業。心理学や心理療法を取り入れ、東京へ転居してからは、自宅内治療室での鍼灸施術とカウンセリングのほか、こころとからだに関する講座や教室なども行っている。日本アドラー心理学会会員。東京スキンタッチ会会員。

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