「自分を立てなおす対話」加藤 雅則
2015/04/28公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(93点)
要約と感想レビュー
著者は仕事で大きな成果を出しながらも、会社の中で孤立してしまい、不満が溜まり独立しました。しかし、その独立は失敗に終わり、コーチングを紹介する仕事から職場の問題解決に取り組むことになったのです。著者の経験談にいきなり引き込まれました。著者が若いときにこの本を読んでいれば、職場への不満から独立することはなかったのかもしれません。
この本では、自分一人で自分との本音の対話によって、自分の心の中の不満を整理する手法を紹介しています。自分の不満を吐きだしていくことで、心がほぐれていくのです。そうすると、その不満が、自分ひとりの問題ではないことに気づいたり、自分ができることに変化したりする。そうしたプロセスが、行き詰っている人には必要なのです。
・理不尽な問題がうまくほぐれていくと、「組織の中の自分」を語っているとき、ある地点から、そのストーリーが、「自分の中の組織」を語るストーリーに変わってくることがあります(p85)
人の心は不思議なもので、自分のことを語り、人に理解されることで、心が落ち着くことがあります。そうなってはじめて、不合理を受け容れ、自分の問題として向き合うことができるのです。そのためにはやはり対話のようなきっかけが必要なのでしょう。
例えば、自分の力で変えられることと、いまの自分では変えられないことを見極めることができるかもしれない。変えられることに、自らの力を集中していくことができるかもしれない。「実は自分も問題の一部だった」と認識できるかもしれないのです。
事例を読むだけでも、心が軽くなりました。加藤さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・問題をなくそう、なくそう、とするのではなく、問題でなくすること。これが般若心経の智慧です(p56)
・相手のキーワードを広げる・・そうだと、どうなるの?たとえば・・・?それって、どういうこと?何がそう思わせるの?(p106)
・「わたしには~と聴こえた」「わたしには~と観えた」と、そのまんま素直に伝える行為が、相手の物語を展開するのに、予想以上の影響を及ぼすことがよくあります(p110)
【私の評価】★★★★★(93点)
目次
1 理不尽な問題を抱えて働く
2 自分を立てなおす
3 問題をほぐす対話
4 対話による問題のほぐし方
5 自分の中の組織を語る―対話の実践
6 車座で対話を進める
7 仲間の智慧を借りる―車座の実践
8 絶対感覚×共通感覚
加藤 雅則(かとう まさのり)・・・株式会社アクション・デザイン代表。プロセス・ファシリテーター、ICF認定プロフェッショナル・コーチ、博報堂大学講師。1964 年愛知県生まれ。1987年慶應義塾大学経済学部卒業後、日本興業銀行に入行。1992 年、カリフォルニア大学バークレー校経営学修士を取得(MBA)。復帰後、投資銀行業務に従事する。1998 年、環境教育機関の立ち上げを目指し、同行を退職。その後、"コーアクティブ・コーチング"に出会い、日本における普及に取り組む。2001年より、コーチングをベースとした独自の対話プログラムを開始する。
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著者の加藤です。真意を的確に読み取っていただき、ありがとうございます。私自身、久しぶりに書いた当時を振り返る機会になりました。感謝。
こちらこそ、良い本をありがとうございました。
職場での不満や人間関係など、こうした対話をすれば解決の方向に進むものも多いんだろうなと感じながら、読ませていただきました。
ありがとうございます。