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「米国製エリートは本当にすごいのか?」佐々木 紀彦

2012/08/24公開 更新
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米国製エリートは本当にすごいのか?


【私の評価】★★★★★(90点)


■スタンフォード大学院で2年間、
 国際政治経済を専攻した佐々木さん。


 アメリカ留学により、
 何が得られるのか?
 日本と米国の違いは?
 こうした問いに答えてくれる一冊です。


 これから留学を考えている人には
 最適な一冊ではないでしょうか。


・米国の大学はインプットとアウトプットの量がとにかく多い・・・百本ノックのように、次から次に読書、レポート、プレゼンテーションの課題が降ってくる(p27)


■日米の大学の大きな違いは、
 とにかく本を読んで、レポートを書いて、
 議論するということ。


 授業一回に一冊の本を読むくらいの準備が必要で、
 一週間に4つの授業を受けているとすれば、
 一週間に4冊読む計算となります。


 これを4年間続ければ・・・
 一日一冊の読者の皆さんのように
 読書への抵抗感はなくなるのでしょう。


・大人数の講義は米国でもつまらない・・・少人数で行われるセミナー型の授業・・・これは最高の知的エンターテイメント(p29)


■中盤は、留学から感じられた
 米国人、中国人、韓国人の特性の違い。


 印象的だったのは、米国人は仕組み化、
 システム化しようという
 意識が強いということ。
 なんでもシステムにしてしまう。


 米国が儲かるルールを作り、
 ルールを通じて儲けるのです。


・米国人が国際政治を語るとき「インスティチューショナラインズ(制度化する)」という言葉が頻繁に出てきます・・・どういうふうに制度を作れば、世界がうまくまとまるとか、米国の国益を最大化できるか(p203)


■後半は、佐々木さん専攻の
 国際政治の話題となります。


 現実主義としては、
 軍事バランスを重要視する。


 軍事の裏づけのない政治は、
 金のない経営のようなもの。


 平和のために
 バランスが必要なのでしょう。


・日本人は「経済的繁栄=平和」と錯覚しがちですが、経済的な成功は必ずしも平和を保障しません・・・むしろ、経済的に栄え、軍事力が弱い国は、他国にとって格好のカモとなりかねません(p156)


■米国の大学院に留学すると
 こんな知見が広がるんだな、
 ということがよくわかりました。


 私の場合は、大学ではなく
 リゾートに留学したいです。


 佐々木さん、良い本を
 ありがとうございました。


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・アメリカは日本とさかさまでございます。偉い人が賢うございます・・勝海舟(p1)


・米国の大学は、主に資産運用から収入を得ています・・・寄付基金は、トップのハーバードを筆頭に軒並み一兆円を超えています。・・・275億ドル(2.2兆円)の寄付基金をもつハーバードは、収入の実に35%(約1000億円)を資産運用
 収入から得ています(p22)


・米国は日本以上に学歴社会である・・・ビジネス界・政界で要職にありつくには、一流大学のMBAやJD(法学博士)、もしくは、その他分野の博士号がないと厳しい(p40)


・日本人留学生の一人は、「卒業後、公務員として官庁に戻る」と話すと、クラスメイトから「イディオット(バカ者)。なぜ金融で稼がないのか」と驚かれたそうです。それくらい公務員の地位は低いのです(p78)


・精神論ではなく、純粋なお金の計算として、ベンチャーに挑戦したほうが大企業で働くよりも得。そういう社会システムをつくらない限り、本当に優秀な人間はベンチャーに惹かれないでしょう(p90)


・従軍慰安婦問題・・・「いったい誰がそういっているのか教えてくれ」と切り返したとこと「日本の偉い教授がそういっている」・・・中央大学の吉見義明教授でしょう(p133)


・歴史の失敗から学べることは「中国が領土拡大の野心を持たないような、軍事バランスを保つ」ということです(p201)


▼引用は下記の書籍からです。
米国製エリートは本当にすごいのか?
佐々木 紀彦
東洋経済新報社
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【私の評価】★★★★★(90点)



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