「挑戦する経営―千本倖生の起業哲学」千本 倖生
2008/12/30公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(94点)
■DDI,イー・アクセス、イー・モバイルを
創業してきた千本社長の一冊です。
「日本の電気通信事業のために適正な競争環境が必要」
との信念でDDIを創業されたところには感動しました。
そうした信念は、若いころ米国留学しているなかで、
「独占企業は悪」というアメリカ精神を
植えつけられたとのこと。
・「民営化では不十分だ。健全な競争相手が現れてこそ、
日本の通信事業は活性化する」という
私の信念を固めた背景には、
アメリカの電気通信界で起きていた
地殻変動が大きく作用していた(p92)
■千本社長の創業時の話を聞いていると、
本当にぎりぎりの経営をしているのですが、
千本社長にいわせるとそれがベンチャーとのこと。
すべての初めての仕事ですから、
9割は困難と失敗の連続であり、
それをなんとかしていくのが経営であるというのです。
・マネジメントとは
「そのままにしておいたら危機的な事態に
際して隘路を探して成功に導くこと」である。
九割失敗しても、残る一割で断崖絶壁を
縫うようにして次のフェーズを切り開く(p282)
■千本社長は、出資者である京セラの稲盛和夫氏の
経営手法について多くの学びを得たといいます。
稲盛経営の真髄は、アメーバ経営といわれるような
きめ細かな数字の管理を基本として、
その上に精神的な経営があるのです。
・稲盛式経営の真髄は、徹底した経営管理にある。
経営管理をするためには、どういうシステムをつくるかを
徹底して追及する。いわば、きちんと兵器を整備する。
その上での精神主義なのだ。(p143)
■やはりベンチャーで成功している人の話は
すごいと感じました。
理念、経営手法、ベンチャー企業の経験と
すべてにわたって充実し、凄い本だと思います。
本の評価としては★5つとしました。
─────────────────
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・稲盛氏はこう言った。「千本よ、苦しいだろう。
だけど、事業というのは一度始めたらやめてはだめなんだ。
筋のいい事業だと信じたら、石にかじり付いてでもやり抜く。
・・・」やめた時が失敗だ(p128)
・無理なことを「無理」と答えることは、子供にもできる。
そして、「無理」だと言われて、簡単にあきらめてしまう人が
世の中には多過ぎる。(p147)
・ゴールドマン・サックスも同様だが、彼らは「人」に
投資をする。もちろん、ビジネスプランは大切な判断ファクター
だが、・・・重要なのは「誰がやるのか」なのだ(p189)
・「天は素晴らしい機会をわれわれに与えてくれた。
正直言って二千円台の料金など、
私には考えも及ばなかった。・・・
ヤフー!BBにできるなら、
われわれにできないはずがない」(p196)
・自戒を込めて言うと、日本の経営者はウエットに過ぎる。
私自身、取引先や社員から快く思われたいと
願う気持ちが心の片隅にある。・・・
感情は三番目に置かなければ
国際ゲームには参加できない(p264)
・世界の通信方式の潮流が「GSM」に向かっていたにも
かかわらず、日本だけが独自方式の「PDC」にこだわって
導入を決めた・・・技術信仰というおごりが潜んでいた
・・・他国はただの一国も採用しなかった(p242)
▼引用は、この本からです。
【私の評価】★★★★★(94点)
■著者経歴・・・千本 倖生(せんもと さちお)
1966年NTT入社。
1984年第二電電(現KDDI)を共同創業。
1996年慶應義塾大学経営大学院教授。
1999年イー・アクセス創業。
2005年イー・モバイル創業、会長兼CEO
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