「うまくやるための強化の原理―飼いネコから配偶者まで」カレン・プライア
2006/07/28|

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【私の評価】★★★★★(90点)
●著者は、動物トレーナーのプロフェッショナルですが、
その動物を訓練する技術は、
人間にも当てはまるといいます。
イルカに技を覚えさせるのに、
電気ショックなどの悪い刺激は使いません。
使うのは、エサやホイッスルなどだけです。
では、どうやって人間に望ましい行動を
とらせることができるのでしょうか。
●基本は、望ましい行動をした直後に、
エサ(好子)を与えるということです。
好子としては、褒める、感謝する、笑顔で反応するなどです。
・行動に関する一般法則を一言で言うと、
「人間を含めた動物の行動は、その行動を行った直後の結果に影響を受ける」
ということだ。(訳者より)
●その行動の直後に、好子を与えるのです。
時間を置くと、どの行動に対してエサが与えられたのか、
わからなくなってしまいますので、注意が必要です。
・好子の提示、つまり強化は、変えようとする行動が起こったら
すぐに与えなければならない。(p17)
・タイミングが重要である。子どもを叱ったり、文句を言うときは、
言うことを聞いて望ましい行動をした瞬間に、
すぐ叱るのをやめなければならない。(p18)
●また、効果的に訓練するコツとしては、
一つのことだけについて
訓練する必要があるようです。
常にメッセージは一つということですね。
・一時に一つのことを訓練せよ。・・・
どんなに練習しても進歩が見られないときは、
たいてい、一度に二つ以上のことを
上達させようとしている。(p45)
●私は、常日頃、
自分で記録をつける、
ご褒美を与えるなどの
自分自身をコントロールする技術を試してきましたが、
やはり自分自身を行動強化することは難しいことです。
それでも、そうした技術を知っている、
知っていないでは
成果に大きな差ができるのではないでしょうか。
・私は好奇心から、禁煙、瞑想の学習、ダイエット、
お金の管理のシェイピングのプログラムを試してみた・・
自己強化の方法で、最も効果的だったのは
記録をつけること(p69)
●専門語を直訳しているようで
非常に読みにくいところがありますが、
非常に重要な内容を持った本でした。
著者の豊富な知識と、多くの実例が盛り込まれ、
実生活で活用できる
内容となっています。
・行動が生ずるたびに強化することは、
「学習」の段階で必要なだけである。
よちよち歩きの子どもにトイレのしつけをするときには、
正しい使い方をするたびにほめてやる。
しかし、その行動が学習されてしまえば、
自分でうまくやるようになる。(p24)
●会社で働いている人、
子どもを持っている人には必読の一冊です。
確信を持って★5つとしました。
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・ショーペンハウアーはかつて、
あらゆる独創的なアイディアは、
初めは笑いものにされ、次に執拗に攻撃され、
最後に当然のこととして受け入れられる
と言った。(p8)
・すべてのギャンブルは、変動強化で強化される。
スロットマシンにコインを入れるたびに当たりが出るとすれば、
すぐに興味を失ってしまう。
いつ当たりが出るかわからないから、
スロットマシンにコインを入れ続けるのである。(p26)
・トレーナーとしては、よい行動が生じたときに
訓練をやめるようにすべきである。(p54)
・人を無視するのではなく、
行動を無視することによって、
相手の不快な態度をひとりでに消去できる(p127)
▼引用は、この本からです。
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【私の評価】★★★★★(90点)
■著者紹介・・・カレン・プライア
1932年ニューヨーク生まれ。生物学博士。
ハワイの海洋水族館シーライフパークの創設者の一人。
ここでのイルカの訓練をはじめ、動物トレーナーとして
長い経験を持つ。
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