【書評】「「好かれる人」のこれだけ いつも選ばれる人に変わる非認知能力のトリセツ」 白石 慶次
2026/08/19公開 更新
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【私の評価】★★★★★(92点)
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要約と感想レビュー
空気を読めていなかった自分
著者はITエンジニアとして、一生懸命に仕事をしているつもりでした。しかし、なぜか重要な仕事を任せてもらえなかったという。
そんな著者に、一人の同僚がこう言いました。「お前、マジで空気読めないよな」著者は、このひと言で初めて気づくのです。自分では「一生懸命に頑張っている」と思っていたのに、周囲からは「イライラしていて、感じが悪い人」と見られていたのです。
当時の著者は、自分に厳しく、「完璧」であることを目指していました。自分の弱みを見せることを恐れていたのです。そして、その自分への厳しさは、他人への厳しさにもつながっていました。「なんで、こんなこともできないんだ」という思いが、言葉や態度に表れていたのです。
学校では、成績のよい人が評価されます。しかし実社会では、仕事の能力だけではなく、誠実さ、協調性、気配り、コミュニケーション力といった「目に見えない力」も問われます。
ところが、大人になると、自分が周囲からどう見られているのかを率直に指摘してくれる人は、ほとんどいません。だからこそ、自分が相手にどんな印象を与えているのかに気づくことが、「好かれる人」への第一歩なのです。
私は「一生懸命に頑張っている自分」を見ていた。でもそのとき、周りの人たちは「イライラしていて、感じが悪い人」を見ていたのだ(p6)
周囲からの印象は変えられる
著者は同僚のひと言をきっかけに、自分が周囲からどう見られているのかを意識し、思考や行動のクセを変えていきました。
たとえば、著者は仕事に真剣なあまり、「冷たい」「怖そう」という印象を持たれがちでした。そこで、「ちょっと、相談なんだけど」と柔らかい言葉を添えたり、「なるほど、あなたはそう感じたんですね」と相手を認めるひと言を加えたりするようにしたのです。
それだけでも、相手の受け取り方は大きく変わったという。
さらに著者は、「完璧じゃなくていい」と、自分に対する厳しさを手放しました。すると、自分を許すことで他人も許せるようになり、むしろ周囲から「この人は飾らない」と信頼されるようになったのです。
つまり、無理に性格を変える必要はなく、自分の意図と相手が受け取る印象には「ズレ」があることに気づき、そのズレを少しずつ修正していくことが大切なのです。
著者は、こうした自身の経験をもとに「好かれる人になるための方程式」を体系化し、30歳で人に教える仕事を始めることになるのです。
自分の印象に気づけていないと、知らないうちに誤解を生んでしまう・・・真剣に話を聞いているだけなのに、「怒っている」と思われる人がいます(p49)
自分に気づき、受け入れ、与える
著者が教える「好かれる人になるための方程式」は、まず「自分に気づく」「自分を受け入れる」「自分に与える」ことから始まります。自分自身が満たされて初めて、次のステップである「他者に気づく」「他者を受け入れる」「他者に与える」ことができるという考え方です。
まず「自分に気づく」ためには、自分の感情や周囲とのズレを観察する3つのワークを紹介しています。
1つ目はズレや温度差や違和感の収集です。「冗談のつもりで言ったのに、相手は笑わなかった」「Cさんはひとりだけ表情が硬いな」「あの人、最近元気がない気がするな」といったことをメモしていくのです。
2つ目は、自分の感情に「イライラ」「不安」「ワクワク」といった名前をつけることです。「いま、私はちょっと焦っているな」と口にするだけでも、自分を落ち着かせられるという。
3つ目は、自分のタイプを知ることです。自分が「知的で頼れるタイプ」なのか「エネルギッシュなタイプ」なのか「親しみやすいタイプ」なのか自分の印象を理解することです。自分のタイプがわかれば、ひと言添えるだけで、印象が変わり誤解を受ける可能性が減るのです。
最後に「自分を受け入れる」とは、弱い自分や自信のない自分を否定せず、そのまま認めることです。本物の自信とは、「自分には弱いところがない」と思い込むことではありません。弱い自分を隠さず、それでも行動できる状態なのです。
まず自分を整えることが、人間関係を変える出発点となるのです。
「自信のある自分」を目指すのではなく、「自信がなくても行動できる自分」を目指しました(p79)
他者に気づき、受け入れ、与える
自分を整えたら、次はその力を他者に向けていきます。「他者に気づく」とは、相手の表情、声のトーン、行動のちょっとした違いなど、小さな変化を察知することです。
ただし、気づきには「浅い気づき」と「深い気づき」があります。浅い気づきは、「あ、この人は怒っているな」と表面的な状態に気づくこと。
深い気づきは、その怒りの奥に「自分のことをわかってほしい」という気持ちがあるのではないか、と相手の心の中まで想像することです。こうした小さな変化に気づいてもらえると、人は「この人と一緒なら安心できる」と感じます。その積み重ねが信頼につながるのです。
次の「他者を受け入れる」とは、相手の意見を否定せず、まず耳を傾けることです。相手の意見に同意する必要はありません。反論せず、途中で遮らず、「あなたはそう考えているのですね」と受け止めればよいのです。
そして「他者に与える」とは、自分の答えを押しつけるのではなく、一緒に考えたり、相手にとってプラスになる言葉を返したりすることです。そういう人が、周囲から「また会いたい」「一緒に仕事をしたい」と思われる「好かれる人」になっていくのです。
相手の表情、声のトーン、行動のちょっとした違い、そうした変化を察知し、言葉や態度に反映できる人は、周囲から強く信頼されます(p128)
信頼ストックを積み上げる
自分に気づき、自分を受け入れることで、心に余裕が生まれます。そして、他者に気づき、受け入れ、与えることで、周囲からの信頼が少しずつ積み上がっていきます。著者は、この積み重ねを「信頼ストック」と表現しています。
信頼ストックがあれば、困ったときに人から助けてもらうことができます。仕事でも、「この人なら任せられる」「この人と一緒にやりたい」と選んでもらえるのでしょう。
そして、ここまで成長した人には、さらに次のステップが待っています。それは、あえて自分と他人を比べることです。本書では二つの方法を紹介しています。
一つ目は、自分が理想とする「好かれる人」を3人決め、その人たちをベンチマークして真似ること。二つ目は、無記名アンケートなどを使って、他者から率直なフィードバックをもらうことです。
どちらも、自分と理想との「違い」を発見し、そのズレを修正していく方法です。
もちろん、自分が思っていた自分と、他人から見た自分との違いを知れば、ショックを受けることもあるでしょう。しかし、そのショックを「怖い」と避けるのか、「自分を成長させる貴重な情報」と受け止めるのか。そこに、もう一段上の成長があるのだと思いました。
著者自身の経験と20年にわたる実績をもとに、熟成されたプログラムだと思いました。白石さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・私たちは自分の「意図」を当然わかっている7けれど、相手には私たちの「外見」や「行動」しか見えないからです(p25)
・自分のなかで経験していない感情は、相手のなかにも見えない(p41)
・余裕がある人の近くにいると、こちらも安心できます・・・余裕のない人が近くにいると、こちらも緊張します(p72)
▼引用は、この本からです

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白石 慶次 (著)、すばる舎
【私の評価】★★★★★(92点)
目次
第1部 あなたがいつも「選ばれない」理由は何か?
第2部 好かれる人が実践している3つの習慣《内向き編》
第3部 好かれる人が使っている3つの見えない力《外向き編》
第4部 自他を比べて、どう見られているかを知る
著者経歴
白石 慶次(しらいし けいじ)・・・非認知能力トレーナー。株式会社OnLine 代表取締役。大学卒業後、システムコンサルティング会社に入社。富士通ラーニングメディア認定講師として活動したのち、30歳のとき企業研修講師として独立。スキルやノウハウだけが人生や仕事の成果を決める要素ではないと「大人の非認知能力育成プログラム」を開発し、これまで5,000名以上に提供してきた。
2025年末にお笑い芸人トンツカタン森本氏と開始したポッドキャスト番組『学校では教えてくれない"見えない力"の授業 ~大人の非認知能力~』は、Apple Podcastのビジネスランキング第1位。趣味は子育て研究と野球観戦。複数のプロアスリートのメンタルトレーニングも担当している。
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