【書評】「グローバル企業のビジネスモデルをつかむ 英文決算書の読みかた」大山 誠
2020/01/19公開 更新

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【私の評価】★★☆☆☆(68点)
要約と感想レビュー
日本と海外の会計基準の差
タイトルどおり英文決算書の読み方となっています。初心者向けのようで、当たり前の分析の解説が続きます。英文決算書では特別損益という概念がないため、「経常利益」という項目がないそうです。
例えば、イーロンマスクのTeslaの業績は・2016年は674億円、2017年は1,961億円、2018年は976億円の赤字を計上していました。Twitterも2016年はIncome from operations(営業利益)、Net income(当期利益)どちらも赤字。2017年度に営業利益は黒字だが、当期利益は赤字。2018年に営業利益、当期利益が両方とも黒字となりました。
日本の決算書では、営業利益に営業外収益を加えて、経常利益を計算します。経常利益に特別損益を加えて、ようやく税引前当期利益が計算されます。それに対して、海外では・・特別損益が計上されることはまずないため、損益計算書に経常利益という区分がありません(p14)
日本と海外の企業の差
Appleの粗利益率は38.3%と高いのですが、日本の製造業では、大企業の粗利益率が21%、中小企業でも24%が平均と低いことを説明しています。
決算書を比率で分析していくのは、日米変わりません。数字の裏に隠れている事実を見ることができるのかどうかが、勝負を決めるのでしょう。
大山さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・Amazonの成長率計算・・売上高は71.3%成長しています。さらに営業利益は196.7%成長し、2016年に比べ、3倍近い数字になっています(p118)
・fullfillment(フルフィルメント)とは、通信販売で行う業務のうち商品の受注、配送、代金回収、アフターサービス(クレーム処理を含む)という一連の業務全体を表したものです(p116)
・フルフィルメント費用がどの事業によって多く発生しているのかによって、結果は変わりますが、Online stores(オンライン店舗売上)とThird-party seller service(外部の販売者向けサービス)、Physical stores(実店舗)は2018年でも赤字になっている可能性があります(p135)
・ARPUとはAverage Revenue Per Userの略で、1ユーザーあたりの平均収益をあらわす指標です(p212)
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大山 誠、ソシム
【私の評価】★★☆☆☆(68点)
目次
第1章 英文決算書を読む前に最低限、知っておいてほしいこと
第2章 Appleはこの先も変わらず発展し続いていくのか
第3章 Teslaはこれからも未来の商品を提供できるのか
第4章 Amazonの今後の成長を期待させる要素は何か
第5章 Dow ChemicalとDuPontの合併は経営効率を上げたのか
第6章 Facebook、Twitterはどこで利益をあげているのか
著者経歴
大山 誠(おおやま まこと)・・・公認会計士・システム監査技術者・公認システム監査人(CISA)。東京大学経済学部経済学科卒業。公認会計士2次試験合格後、三興監査法人に8年、あずさ監査法人に12年勤務、現在監査法人アヴァンティアに勤務。主に玩具メーカー、証券会社、映像制作会社、リース会社等の会計監査、通信業、アミューズメント機器製造販売業、医療用医薬品、医療機器等の卸売業等のIT統制評価を担当。日本公認会計士協会「ITアシュアランス委員会」委員などを務める。
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