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「中国の「核」が世界を制す」伊藤 貫

2007/02/22公開 更新
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【私の評価】★★★★★(94点)


要約と感想レビュー

米国で国際政治アナリストとして活躍する伊藤さんは、現実を直視しています。その冷徹なロジックに、私は気持ちが悪くなってきました。まず、アメリカにしろ、中国にしろ、ロシアにしろ、過去から現代に至るまで、国益を最優先としている事実があります。憲法における「諸国民の公正と信義に信頼して・・・」というのは、幻想にすぎないのです。


弱肉強食の国際社会の中で、中国が経済の発展とともに核兵器を含む軍事力を強化しており、2020年にはアメリカに並ぶ力を持つ可能性があります。中国は貧富の格差、汚職による社会不安により崩壊するという予想をする人もいますが、共産党独裁体制のまま国力が増大していく可能性も捨て切れないのです。このように軍事力を強化してきた中国は、核保有国のアメリカにさえ、先制核攻撃を脅しの手段として当たり前に使っている事実があります。


・核武装国アメリカに対して、中国政府は何度も「台湾紛争に介入すれば、中国はアメリカを先制核攻撃する用意がある」というニュークリア・ブラックメールを突きつけている。(p253)


中国は、軍事力を強化しながら、アメリカ、韓国、日本国内において、反日工作、スパイ活動を行っており、その活動が成功していることは、各国での反日活動を見れば、その効果は明らかでしょう。日本人は、中露に包囲された環境で、アメリカとの安全保障を締結しているという地政学的環境に置かれているのです。


また、中国は韓国においても反日工作・反米工作を行い、「統一朝鮮」という妄想で韓国人を誘導し、統一挑戦が中華支配圏に入るように誘導しているのです。


中国が、アメリカへの先制核攻撃能力を獲得した以上、アメリカが核戦争のリスクを犯してまで日本を守るはずがありません。したがって、著者は、日本の自主防衛のために巡航ミサイルによる日本の核武装を提案しています。巡航ミサイルであれば、弾道ミサイルのように先制攻撃はできませんが、報復攻撃は十分にできるわけです。


・アメリカの政治家・外交官・軍人の大部分は、今後、アメリカが日本を守るために核武装した中国と戦争をすることはありえないことを承知している・・・しかしそこのと(その真実)を日本人の前であっさり認め、「だから日本には、自主的な核抑止力が必要なのだ」と、本当のことを言ってくれる米政治家は、そう多くない。(p125)


読んでいて吐き気がしてきましたが、今、中国が、「○○に従わなければ、大阪に核攻撃を行う。」と脅してくれば、日本が何もできないのは事実でしょう。いくら親日的なアメリカ政府でも、日中・日韓の領土紛争に軍事介入してまで、日本の味方をするつもりはないのです。日本が弱気のままでは、東シナ海の領土と資源は、中国の所有物となってしまうと著者は予想しているのです。


私の少ない経験からは、共産国家は最低の仕組みです。国民のやる気をなくさせ、自由のない社会です。ロシアに支配された歴史を持つカザフスタンで私は共産主義の悪さを実感しているのです。どうせ支配されるならば、共産国家よりも、資本主義、民主主義国家に支配されたいというのが私の考えです。


仮に、日米が「中国の台頭」を制御することに失敗すれば、アジア地域が「中華勢力圏」になってしまえば、アジアからも自由主義・法治主義・民主主義は消滅すると著者は予測しているのです。


しかし、中国によるアメリカ、韓国、日本、その他の国での反日工作は浸透しており、すでに手遅れかもしれません。今こそが、日本が普通の国となる最後のチャンスではないかという警告を発する本として、★5つとしました。


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この本で私が共感した名言

・筆者は若い頃、アメリカとヨーロッパの大学で学ぶ中国人の留学生たちとつきあったことがある。彼らの大部分は、優秀であり、勤勉であり、真剣であり、とても意志力の強い人物であった。中国を軽視し中国人の能力を過小評価する人が多いのは、危険な傾向である。(p89)


・「メコン河流域開発計画」-インドシナ半島における中国の支配権を強化するプランをファイナンスしているのはアジア開発銀行・・・アジア開銀の黒田東彦総裁は記者会見で、「中国には、この地域で覇権を狙う意図はない」と述べて・・・費用を支払うことを正当化した。(p107)


・筆者の唱える「自主的核抑止力」とは、小規模で安価な、必要最小限度の核抑止力のことである。具体的には、小型駆逐艦と小型潜水艦をベースとする核弾弾頭付き巡航ミサイルを、200~300基配置すること(p133)


▼引用は、この本からです。


【私の評価】★★★★★(94点)


目次

第1章 日本の対中外交の座標軸 
第2章 世界一の覇権国を目指す中国 
第3章 中国の軍事戦略と日本の防衛 
第4章 台湾防衛と日本の安全保障 
第5章 日本が独立国であるために



著者経歴

伊藤 貫(いとう かん)・・・1953年生まれ。東京大学卒業。コーネル大学で米国政治史、国際関係論を学ぶ。その後、ワシントンのビジネス・コンサルティング会社で国際政治・米国金融アナリストとして勤務。米国の新聞、TV番組などで外交評論、金融政策分析を解説する。


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