「生きてこそ―もう一度、"幸"つかむまで」野口誠一
2004/12/20公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(90点)
要約と感想レビュー
10年以上続く会社は、たった5%くらいだそうです。つまり、95%は10年以内に整理されてしまうわけです。その95%の社長は、債権者からの罵倒、世間の冷たい目という苦しい経験から、「自殺」という形で逃げることがあるという。
追い詰められた社長は、自分が死ぬことで得られる生命保険金を家族に残せる、借金の一部を返済できると考えてしまうのです。著者は、こうした考え方は社長の見栄を保つためであると表現しています。見栄のために死ぬ必要があるのでしょうか。
・この人は、いい夫、いい父という見栄を保つために、自分の命で保険金を買おうとしている・・・どなられても、奥さんは、言い返すことができた。「一緒に、生きてください」(p120)
年間自殺者3万人以上という数字の陰には、膨大な数の人々が苦しんでいるはずです。家族はもちろんのこと、会社の従業員や社長仲間は、社長を助けることができなかったことでショックを受けるのです。
・自殺した人の例を聞くと、「もう一日、生き抜いてくれていたら」と思うことがよくある。だから、何よりその「もう一日」を与えることが大切だ・・・何時間でもいいから、じっと聞いてあげる。それが最高の支えになる(p109)
著者は八起会という組織を作り、そうした倒産した人の相談にのっているのですが、その経験がこの本に凝縮されています。倒産しても、社長には当面生きていくためのお金くらいは残ります。そこから、再度立ち上がればよいのです。
・Sさんの保険金で、負債はすべて返済でき、自宅も残ったそうだ。だが、それがほんとうに、奥さんにとって幸せだったのだろうか。(p35)
だれでも、「もう死にたい」と思ったことはあるでしょう。ですから、この本を読んでいただきたいのです。ちょっとした考え方で人生は大きく変わるものです。生きて入れば、必ず復活するチャンスは訪れるのです。著者の努力に感銘しました。野口さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・彼らは異口同音にこうも語っている。「生きていてよかった・・・」(p19)
・私たちの仲間でも、再起できる人、再起できない人がいる。どこが違うのかというと、苦しみ方である。再起するいつも明日のことで苦しんでいる(p70)
・彼は、私の話に涙を流して喜んでくれた。・・・「人助けって、こんなにいいものなのか」と、人に分け与える楽しみがこの時分かった。(p215)
・幸せとは何だろうか、という問いに、倒産者の私はこう答える。「健康、天職、それからちょっぴりのお金。あとは人のために尽くすこと」(p245)
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【私の評価】★★★★★(90点)
著者経歴
野口誠一(のぐち せいいち)・・・昭和5年東京生まれ。日本大学卒業。現在、八起会会長。昭和31年、25歳で玩具メーカーを設立。従業員5名、月商150万円でスタートした会社が、5年後に従業員100名、年商10億円を売り上げるまでに成長。しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。昭和53年「倒産者の会」設立を呼びかけ、八起会を興す。二大テーマは「心の再起」と「自殺防止」。「倒産110番」として、再起、会社整理、人生相談まで無料奉仕を行う。
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