「ビジネスに日本流、アメリカ流はない」中村建一
2006/06/09公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(92点)
要約と感想レビュー
日本の製造業は、円高の進行、海外市場の拡大に伴い、海外に工場や販売会社を設立しています。それに伴って好むと好まざるとにかかわらず、外国人と仕事をする機会が増えているようです。
著者の勤めた【コマツ】は、海外での売上げが約三分の二、世界市場で15%のシェアを持つグローバル建設機械メーカーとなっています。この本は、著者が米国で仕事を進めながら、失敗や実体験から米国人と仕事をするコツをまとめたものです。
「ビジネスに日本流、アメリカ流はない」と言っていますが、それはゴールが同じであるということであり、実際の文化は大違いというのが、本当のところでしょう。
・アメリカ人は指摘された問題を解決するのは上司の役割と考え、日本人の場合は部下が率先して必要と思われる解決策を提案して上司の意見を聞くのが通常である。(p173)
米国で仕事をするのであれば、郷に入れば郷に従うしかありません。米国人に合った方法で、自分の意見を伝える努力をし、自らを変えていくしかないのです。
私も海外で勤務したとき、同じような問題に直面しています。文化の差はあまりに大きいものの、相手のプライドを傷つけてはいけないし、さりとてビジネスですから、結果が求められます。
海外で仕事をする人にとっては、著者の25年間苦労して獲得した失敗談、成功談は非常に参考となるはずです。
・アメリカ人に何か問題はないかと聞くと、必ずノープロブレム (No problem)という答えが返ってくる。(p104)
はっきり言って、私でも一日で消化しきれないくらいの充実した内容の一冊でした。今後も読み返して、自分の業務の改善に役立てたいと思います。
海外とビジネスをする可能性のある人には必読の一冊です。★5つとしました。
この本で私が共感した名言
・私はだれよりも一番に発言する気構えを持つことが大切だと思っている。今だから明かすが、私は会議で最初に発言する ために、家内をその日の会議のメンバーに仕立てて、冒頭の切り出し方を練習していた。(p179)
・プロブレムは何かと聞かずに、裏返してopportunity(好機)は何かと聞くと、問題点を話し始めることがある。(p106)
・私はよく代理店に言っていた。「100%話を聞くが、90%以上に対してはノー。残りはイエス。ただし私のノーはイエスに変ることはないし、イエスがノーに変わることもありません。」(p153)
・活動計画を作らせて、それを本人といっしょになってレビューする。このことは彼らの成長を促すだけではなく、実績の上がらない人、やる気のない人を、今で言うリストラするためにも重要なポイントになった。(p10)
・アメリカには日本人が及びもしないような超優秀な人が多数いて、この大きな国でだれもが簡単に働けるようなシステムを作って国を動かしていることを理解すべきである。(p80)
▼引用は、この本からです。
東洋経済新報社
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【私の評価】★★★★★(92点)
著者経歴
中村 建一・・・1942年生まれ。大学卒業後、小松製作所(現コマツ)入社。国内営業を6年間経験。1975年コマツアメリカ。営業部・販売促進部マネージャー、支店長などを兼任し1886年帰国。1990年コマツドレッサー(合弁会社)の業務担当副社長として渡米。1995年コマツアメリカインターナショナルカンパニー業務担当副社長。1997年小型建機のコマツユーティリティ社長。2001年コマツアメリカインターナショナルカンパニー社長。2004年退職。現在シカゴ在住で、コンサルタントとして活動。
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