【書評】「国債リスク 金利が上昇するとき」森田 長太郎
2025/12/21公開 更新
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【私の評価】★★☆☆☆(67点)
要約と感想レビュー
消費税率を上げると財政再建
SMBC日興証券の社員が2014年時点で、2012年のアベノミクスの金融樺の日本国債への影響を分析した一冊です。結論から言えば、アベノミクスによって日本国債がデフォルトする確率がちょっと増えたという程度です。
アベノミクスによるた「量的緩和」は、為替を下落させ、株価を上昇させる効果がありましたが、インフレを引き起こすことができなかったのです。
面白いのは、シミュレーションのパターンで消費税率が15%となる確率を80%としていることです。2020年の消費税率が10%で、財政再建が停滞する確率を10%としているのです。つまり、シミュレーションといってもこの程度なのです。
消費税率を上げることで財政再建すると定義しているとは、消費税率を上げたら税収が減ったことを忘れたのでしょうか?
「アベノミクス」が「日本国債の将来」にどのような影響を与えるか・・シミュレーション・・確率は「財政が劇的に悪化→デフォルト」が1.0%、「ハイパーインフレーション」が2.1%(p6)
なぜ日本国債はデフォルトしないのか
日本国債の発行量は1000兆円を超えていますが、国債発行量の増加が「国債暴落」を引き起こすと、1990年代から過去20年間、格付け会社も大学の先生も主張していました。
しかし、日本国債は予想を裏切って順調に発行され続けてきたのです。この本では、日本国債が発行できたのは、企業部門の過剰貯蓄が政府債務の増加を支えたと分析しています。
森田さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・2000年代後半に入って一旦プラスに転じた日本の物価は、リーマン・ショック後の2009年以降再びマイナスに陥り、日本のデフレは継続する(p7)
・銀行は「強欲な金貸し」どころか、「どうかお金を借りてください」とお願いをして回る状況にあります(p25)
・1990年後半以降、中国の供給能力が急速に拡大し・・日本の企業が生産基地を中国に置くようになって、実質的な「チープ・レイバー(安い労働力)」の輸入が起こり、国際間の生産コスト競争を通じて、日本の労働コストに下押しの圧力が生じました(p75)
・公務員に対して人件費として支払われている財政支出の比較(対GDP比)・・日本の公務員人件費の比率は一貫して最も低い水準にあります(p145)
・日本は他の先進各国よりも「低受益」であり、その低い受益水準でさえも十分にカバーできていない「超低負担」であるというのが実態なのです(p149)
・第二次世界大戦の日本において実施された「財産税」・・・個人金融資産の25~90%に課税されたものです(p167)
・日本国債のCDSは通貨がドル建てなのです・・現物の国債市場に比べて取引量が圧倒的に少ないため、国債先物市場などに比べて遥かに少ない金額で乱高下させることができます(p202)
・民間が「借金」を返済する以上に政府が「借金」をする、あるいは民間と政府の「借金」を合計すると、経済規模に対してかなりの額になるというところまでやって、初めてインフレになるのです(p223)
・日本国債暴落となったら、恐らく世界恐慌の一歩手前です・・新興国の通貨なども暴落している可能性が高い(p241)
・世界恐慌の一歩手前という状況に至ったとき、世界中の金融資産の逃避先・・・まずは米国債と金、次にスイス・フランなどの逃避通貨、そしてその次にはユーロが位置づけられることは間違いありません(p243)
▼引用は、この本からです

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【私の評価】★★☆☆☆(67点)
目次
序章 「国債暴落」は本当に起こるのか?
第1部 国債の過去から現在
第1章 日本はなるほど金余り
第2章 「個人金融資産1500兆円」の幻想
第3章 見えない徴税システム
第4章 デフレが国債を支えている
第2部 国債の未来
第5章 財政赤字は続けられるか
第6章 日本経済を巡る誤解
第7章 国はどのようにして借金を踏み倒すのか
第8章 アベノミクスは国債の将来をどう変えるのか
著者経歴
森田 長太郎(もりた ちょうたろう)・・・証券会社 金利ストラテジスト。SMBC日興証券チーフ金利ストラテジスト。1988年慶應義塾大学経済学部卒業。日興リサーチセンター、日興ソロモン・スミス・バーニー証券、ドイツ証券、バークレイズ証券を経て2013年8月から現職。主にストラテジストとして、通算20年以上にわたって日本の国債市場に関わる業務に従事。
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