「好きになってしまいました。」三浦しをん
2023/11/08公開 更新河西祐子 [PR]
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【私の評価】★★★★★(--点)
要約と感想レビュー
はじめに
この書籍は、2012年から2022年の間に、色々な雑誌・新聞で三浦しをんさんが書いた連載だったり、単発であったりのエッセイです。それでは、なぜ、このタイトルになったのか疑問に思ったのでかなり主観的ですが、考えてみました。
5W1Hで考えるとどうなる?
When(いつから)? 幼少期から今まで・・・。
Where(どこで)? 旅先でも自宅でもどこでも・・・。
Who(誰が)? 三浦しをんさん自身が・・・。
What(何を)? 友人・家族・旅行中のその土地で出会った人々・苦手な虫・鳥・観葉植物など・・・。
Why(なぜ)? 体験した(見たり・聞いたり・感じたりした)こと全てが自分ごとが出来てしまうので・・・。
How(どのように)? 昔から好きだったもの(観葉植物など)もあるし、苦手なもの(蟻、ナメクジなど)でも時間の経過とともに嫌いと言いながらも仲良くなっていくような感じで・・・。
ポイント1「蟻とナメクジとわたし」
特におもしろかったポイント(理由)は、蟻たちが家中あちこち歩きまわるところ(著者の家のベランダの鉢植えなど)。
ナメクジたちも参戦するところをおもしろく上手に(中国の戦国時代に例えて)書いているところがおもしろい。
・ナメクジが参戦した。群雄割拠する春秋戦国時代といった様相を呈し出した。なぜそんなに拙宅が好きなのか、虫たちをとくと問いつめたい。(p74)
ポイント2「ハリウッドの大女優とバラの花びら風呂とわたし」
特におもしろかったポイント(理由)は、バラの花びらを風呂に散らすと、なぜハリウッドの大女優となる?
ハリウッドの大女優と思っていても「私はいったいなにを・・・」と我に返るところがおもしろい。
・いろいろ試してみて思うのは、入浴剤で大事なのは「香り」ではないかということだ。どぎつくなく、湯気とともにほんわりと立ちのぼる甘い香りが、心身をリラックスさせ、大女優気分へとひとを導いてくれる気がする。バラの花びらはきれいなのだが、咲いているときのような香りは立ちのぼらないので、没入度が低いというか、「ハリウッドの大女優でもないくせに、私はいったいなにを・・・」と我に返ってしまったのだと思われる。(p86)
ポイント3「ロボコップが指圧師さんに骨抜きにされてしまう?!」
特におもしろかったポイント(理由)は、著者自身をロボコップに例えているところ。揉みほぐし上手な指圧師さんとようやく出会えて、その指圧師さんに身も心も預けた描写がとてもおもしろい。
・だが、ロボコップは諦めなかった。ガシーンガシーンと歩きつづけ、とうとう、岩盤のごとき肉体をうまく揉んでくれる指圧師さんと出会ったのだ。施術台にうつぶせに寝たロボコップは、ぐいぐい揉まれる心地よき痛みに、「ぐおおお」と吼えずにはいられなかった。十分ぐらいで吼え疲れ、ロボコップがぐったりしたので、驚いた指圧師さんが、「ちょっとお客さま、大丈夫ですか?!事切れてませんか」と声をかけてきた。ロボコップは頑丈なので、問題ない。容赦なくつづけてくれたまえ。(p203)
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評価のまとめ
やっぱりおもしろい。特に追記がおもしろい。期待した通りのおもしろさだ。文章が主観的で考えが独特なのでおもしろいのだろう。たくさんの書物を読み、一首だけだが、吟行して短歌を作ったところもすごい。旅行が好き。そこの土地の人と仲良くなるのが上手い。
ポインセチアなどの植物も「グーグル先生」で調べて育てたり、蟻と戦う様子、ナメクジと戦う様子、ヒヨドリなどの鳥たちと戦う様子がホントにおなかを抱えて笑ってしまう、涙を流して笑ってしまう、おもしろさだと思う。
おすすめしたい人
この本をこんな人におすすめしたい!!というのを考えました。
・生活(人生)がつまらない人。
・ここ最近、思いっきり笑っていない人。
・人間関係に疲れている人。
・友達のあまりいない人。
などなど、ネガティブな人ほどぜひ思いっきり笑っていただきたい!!
【私の評価】★★★★★(--点)
目次
1章 美と愛はあちこちに宿る
2章 あなたと旅をするならば
3章 活字沼でひとやすみ
4章 悩めるときも旅するときも
5章 ささやかすぎる幸福と不幸
著者経歴
三浦しをん(みうら しをん)・・・1976年東京都生まれ。2000年、長編小説『格闘する者に』でデビュー。2006年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞、2012年『舟を編む』で本屋大賞、2015年『あの家に暮らす四人の女』で織田作之助賞、『のの花通信』で2018年島清恋愛文学賞、2019年河合隼雄物語賞を受賞。2019年『愛なき世界』で日本植物学会賞特別賞を受賞。
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