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「新しい世界の資源地図: エネルギー・気候変動・国家の衝突」ダニエル・ヤーギン

2022/10/23公開 更新
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【私の評価】★★★☆☆(71点)


要約と感想レビュー

 2008年にアメリカのシェール革命がアメリカの天然ガス生産量を上昇させました。アメリカはエネルギーの輸入国から輸出国となったのです。このシェール革命がアメリカに政策の自由度を与えることになったのです。


 そして中国の力が明白に強くなったと見えるかされたのが、中国が32%を出資し、議決権30%超を保有しているAIIB(アジアインフラ投資銀行)に、米国政府の反対にもかかわらず、英国が欧州の国々の中でいち早くAIIBに加盟したことなのです。


 こうした国際情勢を見てくると、中国、ロシア、イラン、サウジアラビア、北朝鮮、トルコ、ミャンマーなど自由と民主主義と正反対の独裁国家が増えてきたことがわかります。大国が国益と覇権のために、暴力に訴える恐ろしい時代になったものです。世界は分断されるのでしょう。


 エネルギーや地政学関係の事実を羅列した本でした。目新しいところがないという点で、★3としました。ヤーギンさん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・中東が抱える最大の問題は、スンニ派のサウジアラビアとシーア派のイランの覇権争いに由来する。そこへ近年、トルコがオスマン帝国に遡る正統性を持ち出して、新たに中東の盟主として名乗りを上げた(p6)


・1998年までにミッチェル・エナジーがバーネット・シェールに投じた金額は・・・およそ2.5億ドルだ(p17)


・シェールは製造業だと言われる・・従来の坑井とは違い、シェールの坑井の生産量は掘削から1年ほどで急激に低下し、その後、増えることはない(p82)


・プーチンはこのロシアの考えを次のように要約している。「ウクライナは国ですらない。ウクライナとは何か。領土の一部は東欧にかかっているが、大部分は我々からの贈り物だ」(p114)


・風力の発電量がときどき国内の電力消費量を上回るデンマークでさえ、原子力で生産された電気をスウェーデンから、水力で生産された電気をノルウェーから、石炭で生産された電気をドイツから輸入することで、電力供給の安定を維持している(p459)


・石油需要はいつピークに達するのか。IHSマークイットの「競争」のシナリオでは、2030年代半ばと予測されている(p479)


▼引用は、この本からです


【私の評価】★★★☆☆(71点)


目次

第1部 米国の新しい地図
第2部 ロシアの地図
第3部 中国の地図
第4部 中東の地図
第5部 自動車の地図
第6部 気候の地図



著者経歴

 ダニエル・ヤーギン(Daniel Yergin)・・・ 1947年生まれ。「米国で最も影響力のあるエネルギー問題の専門家」(『ニューヨーク・タイムズ』紙)、「エネルギーとその影響に関する研究の第一人者」(『フォーチュン』誌)と評される。ピューリッツァー賞受賞者。ベストセラー著者。著書に『石油の世紀――支配者たちの興亡』、『探求――エネルギーの世紀』、『砕かれた平和――冷戦の起源(Shattered Peace: The Origins of the Cold War)』、共著に『市場対国家――世界を作り変える歴史的攻防』がある。世界的な情報調査会社、IHSマークイットの副会長を務める。


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