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2010年3月12日

「それでも日本人は「戦争」を選んだ」加藤 陽子 :加藤陽子 

それでも、日本人は「戦争」を選んだ
加藤陽子
朝日出版社
売り上げランキング: 379

【私の評価】★★★☆☆(75点)


■第二次世界大戦を中心として、
 当時の日本、そして国際関係を
 高校生に講義するという内容の一冊です。


■各国がなぜ植民地を作ったのか。

 各国はどう考えて、同盟をしたのか。
 当時の社会や民衆はどうだったのか。

 高校生に講義しているせいか、
 わかりやすいというのが印象的でした。


・日本が獲得した植民地を考えてみると、ほぼすべて
 安全保障上の利益に合致する場所と言えますね・・・
 欧米の帝国主義・・・まず重要なのは商業的なもの
 ・・・キリスト教の布教・・・国内の失業問題(p193)


■私が一番印象的だったのは、
 日本国憲法の中にリンカーンのof the people
 by the people, for the peopleが入っている
 ということ。

 こうしたちょっとした「へー」が
 歴史を面白くしてくれるのかも
 しれません。


・「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、
 その権威は国民に由来し」までが"of the people"ですね。
 「その権力は国民の代表者がこれを行使し」という部分が
 "by the people"・・・「その福利は国民がこれを享受する」、
 つまり、国民のため、が"for the people"(p32)


■特に主張があるわけではなく、
 戦争当時の歴史を学ぶ授業ですが、
 「あの戦争はなんだったのか」
 ということを考える一助となるはずです。

 加藤さん、よい本をありがとうございました。


━━━━━━━━━━━

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・そもそも国際連盟がまちがっていたのだ・・・イギリスは、
 連盟の権威をバックにして、単なる言葉や理論によってドイツ、
 イタリア、日本を抑止でいると考えるべきではなかった、と
 カーは書いています(p57)


・日清戦争が近づいてきた頃の人々・・・
 『自由燈』という、絵の間に文字がありますというような新聞を
 発行して、自由党の考え方を下層階級・民衆に広めようとしました
 ・・・このようなだらしのない人々では、日本がたとえロシアの属国
 とされてしまっても、おとなしくいうことを聞くに違いない(p116)


・英米相手の武力戦は可能なのか、この点を恐れて開戦に
 後ろ向きになる天皇を、軍はどうしても説得しなければならない
 ・・・日本の石油の備蓄量は日ごとに減ってゆく。(p340)


・41年四月十三日、松岡洋右外相がモスクワに飛んで、
 ソ連を中立条約を結んでいた・・・日本は、ドイツとすでに
 40年九月、三国同盟を結んでいる。日独伊ソというような、
 いわば四国同盟に近いものができて、やれやれ、これで
 英米などの資本主義国と対抗できるかな、と考えていた(p362)


・終戦時、満州にいた日本人・・・約200万人
 そのうちソ連侵攻後の死者数・・・約24万5400人(p393)


それでも、日本人は「戦争」を選んだ
加藤陽子
朝日出版社
売り上げランキング: 379
おすすめ度の平均: 4.0
4 頭がしなやかである
4 結局なぜだったのか・・・
5 本当におもしろい
5 近現代史の流れを知る良書
5 爆笑問題もビックリ!

【私の評価】★★★☆☆(75点)


■著者紹介・・・加藤 陽子(かとう ようこ)

 1960年生まれ。東京大学大学院教授。
 専攻は日本近現代史。


■関連書評■

a. 「超速!日本近現代史の流れ」竹内 睦泰
【私の評価】★★★☆☆


b. 「日本の敗因」小室 直樹
【私の評価】★★★★☆


c. 「日本人はなぜ戦争をしたか」猪瀬 直樹
【私の評価】★★★☆☆


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2010年2月27日

「かねは入っただけ出る」C.N.パーキンソン :C.N.パーキンソン 

パーキンソンの第2法則かねは入っただけ出る (1965年) (至誠堂新書)
C.N.パーキンソン
至誠堂
売り上げランキング: 1070525

【私の評価】★★★☆☆(79点)


■「かねは入っただけ出る」とは、
 パーキンソンの第二法則です。

 これは、あなたの財布の中身にも当てはまりますが、
 実は、国家財政と税金についての法則なのです。


・自分で勘定を払わぬ人間にとっては、節約ということは
 しっくりこないのである。(p142)


■パーキンソンさんの分析では、
 政府、役人組織というものは、
 かぎりなく膨張するものです。
 (パーキンソンの第一法則)

 そして、税金は支出の増大に従って高くなり、
 最後には支出を超え、最終的には
 国家を減衰させることになるという法則です。
 (パーキンソンの第二法則)

 今の日本にぴったりで、
 さびしくなりますね。


・仕事がどんどん増えるため時間が足りなくなって、
 役人が増員し、政府の支出は歳入に応じて増大し、
 それをこえる・・・政府機構の膨張は、国民のエネルギー、
 積極性、能力、所得を奪い去り、さらに破滅的な課税の結果、
 奪い残した富を国外に追放することとなる(p250)


■この本では、政府・官僚組織というものが
 膨張し、税金を課し、いかに国家を弱くしてしまうかを
 シニカルな口調で教えてくれます。

 根本的には、税率を20%程度まで低くすることが
 必要となりますが、それは、税金を安くすることが
 目的なのではなく、税金のがれに注がれている力を
 仕事に役立ててもらうためなのです。


・第一に取上ぐべき問題は、社会給付や防衛支出の節約いかんではなく、
 今日、徴税と税金のがれとで消耗し合っている努力と能力のすべてを、
 いかにして有効なチャンネルに切り換えるかである。(p108)


■大英帝国の知恵を、
 残念ながら、大日本帝国は学ばなかったようです。

 あまりに古い本なので、翻訳が読みにくく、
 購入はお勧めできませんが、
 内容は知っておくべきだと思います。

 図書館で借りるのが適切ではないでしょうか。

 パーキンソンさん、よい忠告をありがとうございました。


━━━━━━━━━━━

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・われわれは帝国主義的支配の野心にもえた最初の国が、
 スペイン、オランダ、フランスの三国であったことを知る。
 これらの各国があいついでその途上でつまづくと、
 重すぎる課税がその衰微に一役を買ったのであった。(p32)


・英国の税制をその植民地に拡張しようとしたため、
 アメリカという国ができた・・・アメリカ人のコーヒー好きは、
 どうやら茶税反対のアメリカ人が東インド会社の船に積んであった茶箱を、
 ボストン湾の海中にほうりこんだ時にはじまるように思われる(p48)


・移民たちから巻き上げたかねで、英国が本国を住みやすくし、
 海外移民をする気をなくさせた・・・帝国建設者などという種族は、
 すでに絶滅してしまい・・・大英帝国は過去のいかなる不滅の帝国 
 よりも、急速かつ完全に崩壊するにいたったのである(p70)


・平時の課税が国民所得の10%を超えると、資本は国外への流出を
 始め・・・25%をこえると、重大なインフレーションが生じて、
 徴収された歳入の価値を減少させる。30%をこえると・・・
 国家的な影響力の減衰が、全世界的に歴然とする(p105)


・いかなる所得にも25パーセントをこえる直接税を課してはならない。
 近年にその安全圏をこえてしまった国ぐには、
 (浪費の順に並べると)、英国、フランス、ニュージーランド、
 日本およびアメリカ合衆国である。(p108)


・国有財産をほしいままにしようとするものどもは、
 自分勝手に長官だの、事務官だの、監督だのと名乗り、
 国庫には何の利益もあげず、収益をみんなふところに入れて
 しまっていることが、会計報告をみただけでも明らかである
 (パピルス 752)(p143)


パーキンソンの第2法則かねは入っただけ出る (1965年) (至誠堂新書)
C.N.パーキンソン
至誠堂
売り上げランキング: 1070525

【私の評価】★★★☆☆(79点)


■著者紹介・・・C.N.パーキンソン

 1909年生まれ。
 1934年まで大学で学術的著作に従事。
 その後、大学で教鞭をとり、
 1957年「パーキンソンの法則」を発表。
 パーキンソン研究所を設立して、経営コンサルタント
 として活動。


■関連書評■

a. 「裏 お金の現実」岡本 吏郎
【私の評価】★★★☆☆

b. 「道路の決着」猪瀬 直樹
【私の評価】★★★★★


c. 「小泉官邸秘録」飯島 勲
【私の評価】★★★★★


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2010年2月21日

「独立外交官」カーン・ロス :カーン・ロス 

独立外交官 国際政治の闇を知りつくした男の挑戦
カーン ロス
英治出版
売り上げランキング: 191879

【私の評価】★★★☆☆(79点)


■イギリス外交官として、国連安全保障理事会で
 イラクへの攻撃に関わりながら、
 その外交の不合理さに外交官を辞し、
 外交コンサルタントとして独立した著者の一冊です。

 「独立外交官(Independent Diplomat)」というのが
 かっこいいですね。


■本場のイギリス外交官だけあって、
 リアルな外交の世界を解説してくれます。

 外交官は、ある程度独自に判断、行動し、
 間違っても責任を問われない
 というのは、本当なようです。

 どうりで太平洋戦争の宣戦布告を
 遅れさせた外務省の役人も、
 責任問題にならないわけです。


・歴史的な慣習の積み重ねで、どういうわけか、
 外交官は特別なエリートで、外部からの検証や影響を
 ほとんど受けず、説明責任も求められずに、自由に政策決定
 していいのだということが受け入れられている。(p33)


■そして、外交の判断となるのは国益。

 そして、その国益は、政治で左右されますが、
 基本的には「お金」が基準となっているようです。

 いくら現地が悲惨な状態であっても、
 人権問題があっても、虐殺があっても、
 無視される場合があるのです。

 著者は、こうした論理に
 耐えられなくなったというのが、
 独立外交官となった理由だそうです。


・「中間派」の支持獲得に効果を発揮するのは、
 決議の内容の検討ではなく、むしろ政治的な力に物を言わせて、
 非常任理事国に「われわれ」と同じ見解をもたせるよう
 働きかけることだった。・・・政治的圧力は通常、外相同士の
 非公式の電話で伝えられ、スロベニアの場合は、
 米大統領の公式訪問によって伝えられた(p223)


■テレビでしか伝わらない外交という世界の
 一端を伝えてくれる一冊でした。

 国家が国益を考えて行動するとき、
 時として弱者を捨て去るという現実を知って、
 少し怖い気持ちにもなりました。

 社会人として読んでおくべき一冊でしょう。
 本の評価としては★3つとしました。


━━━━━━━━━━━

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・外交官としての最初の数年は、僕もこうしたやり方で
 世界について語るのが好きだった。ドイツの国益は何か、
 ロシアはどう動くのか、いかにしてフランスを出しぬくか
 (イギリスにとって永遠の関心事だ)(p30)


・僕は上司や閣僚に質問をぶつけたり議論を交わしたりするのが
 好きだったが、キャリアを上り詰めるには、
 こうしたふるまいを自制する必要があった。(p29)


・ケシ栽培地帯(アフガニスタンのほぼ全域といっていい)
 の農民に金を払って、その年の収穫を土に埋めさせることが
 計画された・・・ヘロインの収穫は・・・ほぼ10倍増になった(p62)


・国連安保理が退屈なものだとは思いもしなかったが、
 実際そうなのだ。座って、メモを取り、またメモを取る。
 ・・・その日の議題は、いつもと同じ、未解決の紛争と
 人間の苦しみのリストだ。ブルンジ、イラク・・・(p190)


独立外交官 国際政治の闇を知りつくした男の挑戦
カーン ロス
英治出版
売り上げランキング: 191879
おすすめ度の平均: 4.5
5 組織とそれに属する個人で目的やその活動方針が一致しなくなった時、個人は葛藤し、そして。。。
4 国家ではなく人類のために・・・
5 新たな外交へ
5 外交官の独立請負人
4 外交交渉の携わる人たちの行動原理とは?

【私の評価】★★★☆☆(79点)


■著者紹介・・・カーン・ロス

 15年以上イギリス外務省に勤務。
 1998年から4年半国連安保理イギリス代表部。
 2004年外務省を辞め、外交コサンルティングの非営利組織
 インディペンデント・ディプロマットを設立。
 支援先は、コソボ、ソマリランド、西サハラのポリサリオ運動。


━━━━━━━━━━━

■関連書評■

a. 「外交敗戦」手嶋 龍一
【私の評価】★★★☆☆

b. 「インテリジェンス武器なき戦争」手嶋 龍一、佐藤 優
【私の評価】★★★★☆


c. 「地球を斬る」佐藤 優
【私の評価】★★★★☆


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2010年2月12日

「排出権商人」黒木 亮 :黒木亮 

排出権商人
排出権商人
posted with amazlet at 10.02.12
黒木 亮
講談社
売り上げランキング: 3098
【私の評価】★★★☆☆(72点)


■温暖化ガスの排出権取引について
 小説化した一冊です。

 実は私もこの関係の仕事をしていましたので、
 そばがゆいというか、懐かしいというか、
 不思議な感覚でした。


■京都議定書における
 日本の温暖化ガスの削減目標は
 1990年から6%の削減。

 この目標が達成できない場合、
 他国の余った排出権を購入するか、
 他国の温暖化ガス削減プロジェクトに資金提供することで
 排出権を手に入れる必要があるのです。


・ご存知のとおり、日本の電力会社や鉄鋼メーカーは、
 温室効果ガスの自主削減目標を達成するために、
 排出権を購入しなくてはなりません。(p47)


■この本では、そうした排出権獲得プロジェクトを
 海外で作り上げ、日本の電力会社や鉄鋼メーカーに
 転売してサヤを稼ぐビジネスの実情を教えてくれます。

 現実も、この小説のようなものだと
 理解して問題ないのではないでしょうか。

 というより、この本を読めば、業界の常識が
 だいたいわかると思います。


・HFC23分解プロジェクト・・・排出権は中国企業に帰属するが、
 日本側はそれを全量購入し、電力会社などに売却する。排出権一トンにつき、
 十ユーロ程度のサヤが抜ける見込みで、毎年五千八百ユーロ(約八十億円)
 が日本側三社に転がり込む。中国側にはその倍くらいの金が入り、関係者
 一同笑いが止まらないプロジェクトだ。(p36)


■この本の最後に、「地球温暖化問題は、世紀のペテン」
 というメッセージが出てきます。

 この言葉を書くために、黒木さんはこの本を
 書いたのではないかと私は感じました。

 小説としては★2つですが、
 排出権の業界を知るには良い本だと思いましたので、
 本の評価としては★3つとします。

 黒木さん、よい本をありがとうございました。


━━━━━━━━━━━

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・地球温暖化問題は、世紀のペテン・・・
 太平洋では数十年ごとに水温が上下する「太平洋十年規模運動(PDO)」
 という現象があり、太平洋の高温・低温期は、地球の温度の周期と
 ほぼ一致している。PDOは、1970年代半ばから高温期だったが、
 それが1998年で終わったと考えられ、今後、三十年くらいは、
 地球の気温が上昇しない可能性が高い(p410)


・2008年から2012年までの「第一約束期間」で
 日本が購入しなくてはならない排出権は、政府・民間合計で
 四億トンである。かりにトン当り15ユーロで買い付けるとすれば、
 約一兆円を支出しなくてはならない。(p336)


・UNFCCCは、発行される排出権量に応じて「登録料」を
 ピンはねしているので、国連諸機関のなかでは、例外的に
 財政が豊かである。そのため、職員を大幅に増やしたり、
 方法論を複雑化したりして「マフィア化」している。(p273)


排出権商人
排出権商人
posted with amazlet at 10.02.12
黒木 亮
講談社
売り上げランキング: 3098
おすすめ度の平均: 4.5
5 ドラマ仕立ての排出権取引の説明書
5 よいけど限界あり
5 アクの強い人物たちと現場が排出権相場を盛り上げる。
5 排出権取引の仕組みがよくわかります
4 CDMの欺瞞を突く

【私の評価】★★★☆☆(72点)


■著者紹介・・・黒木 亮(くろき りょう)

 1957年生まれ。
 銀行、証券会社、総合商社勤務を経て作家。
 英国在住。


■関連書評■

a. 「エコノミック・ヒットマン」ジョン・パーキンス
【私の評価】★★★★★

b. 「隷属国家 日本の岐路」北野 幸伯
【私の評価】★★★★★


c. 「交渉術」佐藤 優
【私の評価】★★★★★


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2010年1月26日

「大衝突」池上 彰 :池上彰 

大衝突―巨大国家群・対決の行方
池上 彰
集英社
売り上げランキング: 66556
【私の評価】★★★☆☆(71点)


■2008年の本ですが、
 当時までの国際関係の
 トレンドを教えてくれる一冊です。

 米ソの冷戦の終結、中国の発展と
 アメリカの経済破綻。

 そしてドルの低下により、
 ユーロ、新興国の存在感の高まり
 いったトレンドですね。


■やはり中心となるのは中国です。

 その人口の大きさから将来の発展は
 確実ですが、軍事、政治ともに
 不安な要素があります。

 一党独裁国家であることを
 忘れてはならないのでしょう。


・1988年には南沙群島で中国海軍とベトナム海軍が衝突・・・
 1995年には、フィリピンが領有権を主張する南沙群島の
 ミスチーフ環礁を中国軍が占領し、軍事施設を建設(p12)


■歴史を見ると、戦争のなかった時期は
 ありません。

 国際紛争の可能性は常にあるということを
 思い出させてくれる一冊だと思います。

 政治というものが国家の命運をも
 左右するということも確かだと思います。

 そうした感慨を持ちつつ本の評価としては
 ★3つとしました。

 池上さん、よい本をありがとうございました。


━━━━━━━━━━━

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・中国人民解放軍国防大学の朱成虎少将は、2005年7月、
 「米軍が中国領土内の目標をミサイルや精密誘導弾で攻撃すれば、
 中国は米国に核兵器を使用して反撃する用意がある。(p19)


・江沢民や胡錦濤のような、軍の出身者でない人物が
 中央軍事委員会の主席に就くようになりますと、
 党と軍の矛盾が表面化します。胡錦濤以外は軍人
 ばかりで構成される中央軍事委員会のメンバーが、
 胡錦濤に従わないという風潮が存在します(p38)


・中国では、工事を請け負う建設業者と発注する
 役人の癒着が問題になっています。工事費を安く浮かせ、
 その分を役人にワイロとして渡す。(p81)


・神奈川県の米軍座間基地には、アメリカ本土から陸軍第一軍団司令部が
 移転します。・・・司令部機能のみです・・・一方、日本の陸上自衛隊の
 中央即応集団司令部も同じ座間基地の中に移転します(p31)


・その国の経済に対する貿易額の割合を「貿易依存度」といい、
 この数字を見ると、日本は輸出も輸入もともに15%・・・
 ドイツはというと、輸出で40%弱、輸入で30%強(p260)


大衝突―巨大国家群・対決の行方
池上 彰
集英社
売り上げランキング: 66556
おすすめ度の平均: 4.0
4 わかり易いです
2 分かりやすく平易だが、結論提示が無い事が残念
5 ロシアとの対決の帰結はいかに?
4 スラスラ読めます。
5 「21世紀の覇権国」を考える上での好著

【私の評価】★★★☆☆(71点)


■著者紹介・・・池上 彰(いけがみ あきら)

 1950年生まれ。
 NHKで報道記者、その後キャスターを務める。
 2005年NHK退社。フリージャーナリスト。
 著書多数。


━━━━━━━━━━━


■関連書評■

a. 「隷属国家 日本の岐路」北野 幸伯
【私の評価】★★★★★

b. 「中国の「核」が世界を制す」伊藤 貫
【私の評価】★★★★★


c. 「地球を斬る」佐藤 優
【私の評価】★★★★☆


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2010年1月 9日

「たそがれゆく日米同盟」手嶋 龍一 :手嶋龍一 

たそがれゆく日米同盟―ニッポンFSXを撃て (新潮文庫)
手嶋 龍一
新潮社
売り上げランキング: 197826
【私の評価】★★★☆☆(71点)


■F2支援戦闘機といえば、
 名古屋空港で配線ミスで墜落したのが記憶にありますが、
 世界で始めて、炭素繊維強化複合材や
 フェーズドアレイレーダーを使用するなど
 意欲的な戦闘機です。

 このF2支援戦闘機開発について
 日米交渉が行われたのは、
 ちょうど日米貿易摩擦が問題となっていた頃です。


・アメリカ製戦闘機の直接購入を求めるアメリカと
 日の丸戦闘機の自主開発にこだわり続ける日本・・・
 「FSXの日米共同開発案は、ちょうど世故に長けた老人政治家が、
 足して二で割ったような妥協策として考え出したもの(p363)


■本書では、いかにしてFSXの日米交渉が
 進んで行ったのか。

 アメリカのFSX賛成派と
 反対派の戦い。

 こうした流れを見て行くことで、
 こうやって国際交渉が進んでいくんだ、
 と教えられる一冊です。

 これらはテレビを見ていても
 分からないことでしょう。


・もし日本が、独自に研究、実験、開発をおし進めていけば、
 十年後には、日本の航空機産業は、われわれの想像を超える水準に
 達する危険がある。だた、共同開発という路線を選択すれば、
 日本の飛躍を牽制することができるはずだ」ブラッドレー(p302)


■私が感じたのは、日本に技術供与し日米関係を強化
 しようとするグループと、日本はアメリカの仮想的であり、
 技術供与する必要はないとするグループの
 勢力争いがあるということです。

 これらのどちらの勢力が力を持つかで、
 二国間の関係は決まってしまうと思うと、
 それはあまりに微妙で、それこそ
 ちょっとしたことで変わっていくもののように
 感じられ、ゾッとしました。


■この本を読めば、日米交渉をテレビで見ても、
 この裏ではこんなことが行われているはず、
 と子供に言って聞かせられると思います。

 まず、ワシントンに駐在になったら、
 犬を飼いましょう。

 手嶋さん、よい本をありがとうございます。
 本の評価は、★3つとしました。


─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・ヘンリー・スタックポール司令官は「在日アメリカ軍は、
 日本の軍事大国化を抑えつける『ビンのふた』だ」という
 驚くべき本音を披歴していた(p352)


・「大統領との距離がすべてを決める」
 とういアメリカ政治の鉄則(p176)


・「ワシントンで独自の人脈を築きたければ、まず犬を飼えばいい」
 ・・・下院議員トーマス・ダウニーの夫人クリスが、
 この街に移り住む友人に贈る助言である。(p26)


・「政治は血を流さない戦争であり、
 戦争は血を流す政治である」という
 毛沢東の持久戦の思想(p17)


▼引用は、この本からです。

たそがれゆく日米同盟―ニッポンFSXを撃て (新潮文庫)
手嶋 龍一
新潮社
売り上げランキング: 197826
おすすめ度の平均: 4.5
4 日米同盟の危機
5 取材者が陥る罠に落ちなかったノンフィクション作品の金字塔

【私の評価】★★★☆☆(71点)


■著者紹介・・・手嶋 龍一(てじま りゅういち)

 1949年生まれ。
 NHK政治部記者として外交・安全保障を担当。
 ワシントン特派員。ハーヴァード大学国際問題研究所フェロー。
 ボン支局長、ワシントン支局長を歴任。
 2005年独立して外交ジャーナリスト。


─────────────────

■関連書評■

a. 「インテリジェンス武器なき戦争」手嶋 龍一、佐藤 優
【私の評価】★★★★☆


b. 「葡萄酒か、さもなくば銃弾を」手嶋 龍一
【私の評価】★★★☆☆


c. 「外交敗戦」手嶋 龍一
【私の評価】★★★☆☆


d. 「ウルトラ・ダラー」手嶋 龍一
【私の評価】★★★☆☆


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2009年11月 7日

「すべての道はローマに通ず(下)」塩野 七生 :塩野七生 

【私の評価】★★★☆☆(79点)


■ローマ時代というものは、
 非常に発達した時代であったようです。

 上水道があった。水が流しっぱなしであった。
 下水道もあったのです。

 さらに浴場もあり、そこで
 マッサージを受けることができたそうです。


・共同水槽・・・動物の頭を模した彫刻の口から四六時中水が
 流れ出ている、というつくりが多かった。ここから水を汲んで
 きて使うかぎりは、いくら汲んでもタダであったのだ(p74)


■今の日本と変わらないじゃないか・・・。

 しかし、こうした帝国も活力が失われれば、
 衰退していくものなのです。

 文明とはいかにおこり、
 そしていかに衰退するのか。
 塩野さんはローマの歴史から
 そこを探求しているような気がします。

 ローマのインフラの遺跡の写真を
 興味深く見せていただきました。
 ありがとうございました。


─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・カルダゴの都市に給水していたローマ時代の
 高架水道の遺跡を見たときは、感心するよりも呆れてしまった。
 呆れ果てて眺めている私のそばを、
 水の入った瓶を積み上げたろばの引く荷車が通り過ぎた。(p28)


・ローマ時代にはどの町にもあったこの種の公衆浴場は、
 長く混浴であったのが、ハドリアヌス帝の時代から
 男女別浴に変えられる。(p90)


▼引用は、この本からです。

ローマ人の物語〈28〉すべての道はローマに通ず〈下〉 (新潮文庫)
塩野 七生
新潮社
売り上げランキング: 8719
おすすめ度の平均: 5.0
5 2千年前とは思えないローマのインフラ整備
5 古代ローマに学ぶパブリックの精神性
5 インフラの話だけでここまで読めるとは・・・
5 社会のインフラ

【私の評価】★★★☆☆(79点)


─────────────────

■関連書評■

a.「ローマは一日にして成らず[下]」塩野 七生
【私の評価】★★★★☆


b.「ハンニバル戦記[中]4」塩野 七生
【私の評価】★★★☆☆


c. 「勝者の混迷[下]7」塩野 七生
【私の評価】★★★☆☆


d. 「危機と克服〈上〉」塩野 七生
【私の評価】★★☆☆☆


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2009年8月 5日

「ラティーノ・ラティーノ!」垣根 涼介 :垣根涼介 

ラティーノ・ラティーノ!―南米取材放浪記 (幻冬舎文庫)
【私の評価】★★★☆☆(74点)


■気鋭の小説家による南米放浪記です。
 ブラジルとコロンビアを回っています。

 日本と正反対の地にある
 ブラジル・コロンビアは、
 日本人とまったくちがう人たちが住んでいるようです。

 明るく、人なつっこく、そして、いいかげん。
 これをラテン気質と言うのでしょうか。


■わたしの友人にもブラジル留学した人がいますが、
 ブラジルから離れられなくなる日本人留学生が、
 多いそうです。

 開けっぴろげで、スタイルが良いこの国の女性に
 引っかかってしまう人が多いのです。


  ・現地の日系人に言わせると、このカリという街は、
   よほど厳しく自分を律しない限り、金を持つ者にとっては、
   とめどもなく堕ちてゆける場所なのだという
   売春宿、カジノ、宝くじ、ディスコティカ・・・(p32)


■わたしも、死ぬ前には一度
 南米を見てきたい、
 日本と全くちがう文化を持った国々を
 歩いてみたい、そう思わせてくれる一冊でした。

 本の評価としては、★3つとします。


─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


  ・このコロンビアという国は、社会法規の上に成り立った
   システムで動いているのではなく、しょせんは個人の
   ネットワークのつながりで動いている国なのだという(p53)


  ・だいたい日本人は、あまりにも気安く現地人に
   カネやモノを与えすぎだ。そうすることにより、
   その場限りのトラブルを避けようとする
   さもしい魂胆が見え見えなのだ。(p96)


▼引用は、この本からです。 

ラティーノ・ラティーノ!―南米取材放浪記 (幻冬舎文庫)
垣根 涼介
幻冬舎
売り上げランキング: 7776
おすすめ度の平均: 4.0
2 南米をぶらつく
5 「ワイルドソウル」の取材・放浪記
4 取材の成果は作者の行動力の賜物
5 まさに命がけ
5 ただの紀行エッセイではない

【私の評価】★★★☆☆(74点)


■著者紹介・・・垣根 涼介(かきね りょうすけ)

 1966年生まれ。
 2000年「午前三時のルースター」でサントリーミステリー大賞。
 04年「ワイルド・ソウル」で大藪春彦賞など受賞。
 05年「君たちに明日はない」で山本周五郎賞受賞。


─────────────────

■関連書評■

a. 「上海のMBAで出会った中国の若きエリートたちの素顔」岡本 聡子
【私の評価】★★★☆☆

b. 「万国「家計簿」博覧会」根岸 康雄
【私の評価】★★★★☆

c. 「国家の品格」藤原 正彦
【私の評価】★★★★★

d. 「台湾人と日本精神」蔡 焜燦
【私の評価】★★★★★


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2009年7月 1日

「スモールイズビューティフル」E.F.シューマッハ :E.F.シューマッハ 

スモール イズ ビューティフル―人間中心の経済学 (講談社学術文庫)

【私の評価】★★★☆☆(76点)


■1970年代にエネルギー危機を指摘した
 イギリス経済学者の一冊です。

 あまりに今を適切に予測しており、
 こういうものを学問というのだな、と
 納得しました。


■シューマッハが指摘するのは、
 石炭、石油、ウランはいずれ枯渇するという
 当たり前の事実です。

 枯渇すればエネルギーの価格が上昇し、
 そのエネルギーを買えるのは
 お金を持った国、または軍事力を持った国
 ということになります。


  ・富んだ国が経済成長を続けるから燃料への需要は厖大にふくらみ、
   その結果、貧しい国が冨と教育と工業技術と資本蓄積の力を手に
   入れて、化石燃料に代わる燃料を大規模に使えるようになるより
   はるか以前に、世界の安く使いやすい燃料は高価で稀少なものに
   なってしまうだろう(p36)


■この本では、木材や水力といった
 再生可能エネルギーを推奨するとともに、
 大量生産大量消費から節約と節制の社会を
 提唱しています。

 昨今のバイオマスを中心とした再生可能エネルギーの
 開発の動き、省エネルギーの推進などを見ると、
 やっとこの本が予測した時代が近づいてきたのでしょう。


  ・石炭、石油のような再生不能の燃料と、薪や水力のような
   再生可能な燃料との間には、本質的な違いがあるのであって、
   この違いはけっして無視できない。再生不能財は、やむを
   えない場合に限って使うべきもので、その場合でも、それを
   保全するために最善の注意と細心の配慮を払わなければならない。(p78)


■再度、じっくり読みたくなる一冊でした。

 古い本ですので、今の状況とシューマッハの予測とを
 比較しながら読むとおもしろいと思います。
 本の評価としては、★3つとしました。


─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


  ・近い将来深刻なエネルギー不足が
   起こりうることを指摘した人たちの議論は、
   反論されるのではなく、嘲笑されるか無視された(p164)


  ・過去と現在の経験は例外なく、
   基本的な資源を供給するのは自然ではなく人間であること、
   経済開発の決定要素は人間の精神であるということを教えている(p100)


  ・貧乏人や不満分子には、性急に金持ちに戦いを挑んだりすると、
   将来自分たちにも金の卵を産んでくれるはずのガチョウを、
   かえって殺すことになる、と教えればよい。一方、金持ちには、
   利口になってときどき貧乏人を助けること、
   そうすればますます金持ちになる、と教えればよい。(p31)


▼引用は、この本からです。

スモール イズ ビューティフル―人間中心の経済学 (講談社学術文庫)
E.F. シューマッハー
講談社
売り上げランキング: 27318
おすすめ度の平均: 5.0
5 そろそろ原点回帰の時がきた。
5 倫理の無い発展なんて・・・
5 『ドイツ的質実』
5 経済活動のバイブルとして
5 これを読まずに"エコ"は語れない!!

【私の評価】★★★☆☆(76点)


■著者紹介・・・E.F.シューマッハ

 1911年ドイツ生まれの経済学者。
 戦後、英国に帰化。英国石炭公社顧問として
 早くから石油危機を予言。
 1977年没。


─────────────────

■関連書評■

a. 「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」武田 邦彦
【私の評価】★★★★☆

b. 「正義で地球は救えない」池田 清彦
【私の評価】★★★★☆

c. 「グリーン革命(上)」トーマス・フリードマン
【私の評価】★★☆☆☆


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2009年6月28日

「生かされて」イマキュレー・イリバギザ :イマキュレー・イリバギザ 

生かされて。

【私の評価】★★★☆☆(71点)


■最近、アフリカでは、スーダンで虐殺が発生し、
 中国の関与を批判するニュースをよく耳にしましたが、
 1994年にもルワンダで虐殺が発生しています。

 その虐殺の中で生き残った著者の体験の記録が
 この本です。


■この本でわかるのは、虐殺の原因が、
 ルワンダ人にもあるのでしょうが、それよりも
 外からの影響が大きいということです。

 特に、アフリカを植民地として侵略した
 ヨーロッパ諸国の影響が大きいということです。


  ・ツチの王が統治していたルワンダは、何世紀ものあいだ
   平和に仲良く暮らしていたのです・・・ベルギーは、
   少数派のツチの貴族たちを重用し、支配階級にした・・・
   ベルギー人たちが人種証明カードを取り入れたために、二つの
   部族を差別するのがより簡単になり、フツとツチのあいだの溝は
   いっそう深くなっていきました(p42)


■民族の対立が、虐殺にまで発展するという事実は
 非常に怖いものがありました。

 隣国には反日教育を推進している国があるのですから、
 自らの国は自らが守らなくてはならないのでしょう。


  ・ツチのやつらは、いつも自分たちの方が優れていると
   思っているんだ。いつだってフツを見下している。
   もし今でも権力を握っていたら、彼らはすぐにでも僕たちを
   殺すとは思いませんか?
   だから、彼らを殺すのは、自己防衛なんですよ(p160)


■虐殺はどこでも起る可能性がある。 

 今は日本は安全のように思えますが、
 この安全を今後も私たちは守っていかなくてはならない
 のだと思いました。

 本の評価としては、★3つとしました。


─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


  ・私たちは、政府の大臣が、国立ラジオ局で話しているのを聞きました。
   「・・・ツチの蛇どもは我々を殺そうとたくらんでいる。
   最初に我々が彼らを殺すのだ。見つけ次第殺せ。・・・」(p166)


  ・国連は、虐殺が始まってすぐに平和部隊を引き上げることにしました。
   ・・・私たちの前の宗主国だったベルギーは、
   一番最初に兵士を引き上げたのでした。(p190)


  ・お前が自分の子どもを持ったら、イマキュレー、
   一瞬一瞬を心から楽しむことを忘れてはいけないよ。
   彼らは、あっというまにいなくなってしまうのだから(p74)


▼引用は、この本からです。

生かされて。
生かされて。
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イマキュレー・イリバギザ スティーヴ・アーウィン
PHP研究所
売り上げランキング: 11741
おすすめ度の平均: 5.0
5 生かされて
4 人間の精神面の弱さを
5 生かされて
5 衝撃的に美しい魂
5 崇高な精神

【私の評価】★★★☆☆(71点)


■著者紹介・・・イマキュレー・イリバギザ

 1994年のルワンダ大虐殺で両親と兄弟を失う。
 1998年アメリカに移住し、国連で働き始める。
 ニューヨーク在住。


─────────────────

■関連書評■

a. 「インテリジェンス武器なき戦争」手嶋 龍一、佐藤 優
【私の評価】★★★★☆

b. 「エコノミック・ヒットマン」ジョン・パーキンス
【私の評価】★★★★★

c. 「ボロボロになった覇権国家」北野 幸伯
【私の評価】★★★★★

d. 「国家情報戦略」佐藤 優、コウ・ヨンチョル
【私の評価】★★★☆☆


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2009年5月 5日

「99.9%は仮説」竹内 薫 :73点, 竹内薫 

99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方 (光文社新書)
【私の評価】★★★☆☆(73点)


■「人間とは時に大きな間違いをする」ということを
 再確認させてくれる一冊です。

 今、正しいとものとして扱われていても、
 それは「仮説」にすぎず、
 実際は間違いであったということもありえるのです。


■この本で紹介してくれる昔の例では、
 精神病の治療として脳を切除していたこと、
 地球が宇宙の中心である(天道説)と思っていたこと、
 母乳よりスキムミルクが良いと思っていたこと、
 などがあります。

 今、考えると「本当ですか?」というかんじですが、
 当時はそれがまかり通ったのです。

 そういう視点では、
 京都議定書などの地球温暖化への取り組みなども、
 30年もしたら、温暖化対策の名のもとに、
 厳しい削減目標を設定した国から、
 金を引き出す仕組みとして評価されているかもしれません。


  ・地球温暖化が起こる理由も、
   実はよくわかっていません。(p29)


■この本を読んで、世の中でどうどうと
 当たり前のこととして信じられていることは
 怖いと思いました。

 仮説にすぎないのに、それが正しいものとして、
 社会全体で動いているため、影響がどんどん
 大きくなってしまうからです。

 例えば、財政法で禁じられている赤字国債が、
 田中角栄大蔵大臣が1965年に発行してから、
 1000兆円にまで増え、今も増え続けているという現実。

 これも、ちょっとなら法律違反をして、
 赤字国債を発行してもいいだろうという
 仮説が間違っていたということでしょう。


■こうした常識を疑うきっかけを与えてくれる一冊でした。

 こうした歴史的な間違いを一覧にしてみるのも
 面白いかもしれません。

 人間の愚かさを認識させてくれる一冊として、
 ★3つとしました。


─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


  ・1960年代には、「赤ちゃんには、 
   母乳よりもスキムミルクを与えたほうがいい」
   という医学仮説が存在していました。(p128)


  ・現在かなりの数の天文学者は、
   冥王星はケレスとまったく同じ小惑星にすぎない
   という見方をしています(p118)


▼引用は、この本からです。

99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方 (光文社新書)
竹内 薫
光文社
売り上げランキング: 3751
おすすめ度の平均: 3.5
3 仮説を剥がせ
4 人によっては人生観が変わる。かも。
3 着眼点が新鮮。
3 思考を柔軟に
3 驚きの小ネタ満載の、科学エッセイ

【私の評価】★★★☆☆(73点)


■著者紹介・・・竹内 薫(たけうち かおる)

 1960年生まれ。
 猫好き科学作家。


─────────────────

■関連書評■

a. 「正義で地球は救えない」池田 清彦
【私の評価】★★★★☆

b. 「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」武田 邦彦
【私の評価】★★★★☆

c. 「エコノミック・ヒットマン」ジョン・パーキンス
【私の評価】★★★★★


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2009年3月21日

「悪いヤツほど成功する7つの法則」マーク・ルイス :74点, マーク・ルイス 

悪いヤツほど成功する7つの法則
【私の評価】★★★☆☆(74点)


■キリスト教には7つの大罪があります。

 それは、プライド、羨望、大食、肉欲、
 怒り、どん欲、怠惰です。

 著者は、これらはキリスト教が信者を
 コントロールするために作ったものだとしています。


■したがって、これらの大罪をどんどんやろう!
 そうすれば、私のように成功する!
 というわけです。


■成功哲学では、自分のなりたい姿をイメージして、
 ほしいものをリストアップしますが、
 キリスト教では「どん欲」という大罪になるようです。

 なるほど、実は成功哲学というものは、
 キリスト教から見ると、
 とんでもない異端なことなのかもしれません。


  ・これから何年か先のことを想像してほしい。
   あなたは年老いて、しわだらけになっている。
   人生を振り返り、「もし○○していたら」と思う。・・・
   夢・野心・目標・願望を、できるだけたくさん
   リストアップしてほしい。(p69)


■そうした視点で見てみると、
 こうしたキリスト教のようなもので縛らないと、
 自分の欲望のために、なんでもやってしまうのが、
 人間なのでしょう。

 キリスト教がなくとも、それなりに統制が
 とれている日本が不思議に感じられました。

 本の評価としては、新しい視点を学べたので、
 ★3つとします。


─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


  ・ビジネスの世界も、サッカーの世界と非常によく似ている。
   筆頭取締役と平取締役との間には、能力の差などはほとんどない。
   ・・違いがあるとすれば、それは地位や評価に対する欲望である。(p40)


  ・苦労して手に入れた情報には、それなりに価値がある。
   大金を稼げる情報をつかんだら、それを漏らしてはならない。
   (p64)


  ・気分が塞いでいるときは、休日の楽しさをイメージすればいい。
   すぐに落ち着き、陽気な気分になれるはずだ。(p85)


▼引用は、この本からです。

悪いヤツほど成功する7つの法則
マーク ルイス
ベストセラーズ
売り上げランキング: 699496
おすすめ度の平均: 3.5
4 悪くない、むしろ好き。
3 こうやって成功するヤツ、確かにいる

【私の評価】★★★☆☆(74点)


■著者紹介・・・マーク・ルイス

 南アフリカでコメディークラブを設立し、漫談家として活躍。
 その後、英国でインターネット企業ウェブ・マーケティング
 を設立し、発展させた同社を売却。
 現在は、コンサルタント、講演家。


─────────────────

■関連書評■
a. 「十二番目の天使」オグ・マンディーノ
【私の評価】★★★★★

b. 「脳が教える!1つの習慣」ロバート・マウラー
【私の評価】★★★★★


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2009年1月 9日

「敗者の論理 勝者の論理」増田 俊男 :73点, 増田俊男 

敗者の論理 勝者の法則

【私の評価】★★★☆☆(73点)


■国際情勢を考える上で、
 増田さんは非常に気になる存在です。

 その理由は、発言が過激であること。
 そして、将来の予測も恐れずに発言し、
 大筋ではずれることがないことです。


■増田さんの基本的な主張は、
 日本の「和」の精神の素晴らしさが
 これから国際的なスタンダードになるということです。

 これまで日本は海外から優れた技術、仕組みを
 取り入れてきましたが、この「和」の精神だけは
 守って、ここまで経済発展してきたのです。

 これからは、グローバル・スタンダードではなく、
 ジャパニーズ・スタンダードを世界に広める
 絶好の機会であるということです。


  ・日本では勝者になったとしても、アメリカのような
   高い報酬を手にすることはできない。そのかわり、
   格差がないことで犯罪の不安など、目に見えない生活
   ストレスを受けることも少ない。(p89)


■そして、将来の予測については、
 基軸通貨を持ち、世界一の軍事国家である
 アメリカを見ていく必要があります。

 国益とは、お金を稼ぐことであり、
 経済的にお金を稼ぐことができなければ、
 軍事力もその一つの手段として使われるというのが、
 増田さんの視点です。


  ・アメリカは中東、中国・台湾、さらに北朝鮮というように、
   これからしばらく戦争に関与していくことになる。戦争で
   軍事力を誇示し続けないと、アメリカという国がもたないところまで
   追い込まれているからである(p213)


■しかし、幸運にも、日本は、
 戦争をしたくても戦争をできない国家です。
 そして、人間的にも争いを好まない
 「和」を尊ぶ国民です。

 そうした日本人の良さを世界的に広めるのが、
 日本人の使命ではないのか、
 増田さんはそう言っているように感じました。

 本の評価としては★3つとします。

─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


  ・日本の田園地帯を車でドライブしていると、
   必ずといっていいほど無人の農作物売場がある。・・・
   アメリカ人の友人にこの話をしたら、
   「それはおとぎ話か?」と聞き返された。(p167)


  ・アメリカには、ほんの130年あまり前まで
   奴隷制度があった。・・・歴史的背景があるから、
   雇用関係も奴隷制がかたちを変えたものになる。(p172)


  ・ゴーン氏の手腕によって、日産は健康優良児に変貌した
   とマスコミはもて囃したが、むしろ技術面では衰退し、
   ルノーからは「金づる」にされているのが実態である。(p126)


  ・心で感じる情報に触れることが大切である・・・
   一次情報の質とは、「心のつながり」によって高められていく
   ・・・講演会でも勉強会でも何でも足を運んでみる(p210)


▼引用は、この本からです。

敗者の論理 勝者の法則
増田 俊男
プレジデント社
売り上げランキング: 486960
おすすめ度の平均: 2.5
2 イケナイ
5 日本人の本当の強さ
1 成果主義批判便乗本?

【私の評価】★★★☆☆(73点)


■著者紹介・・・増田 俊男(ますだ としお)

 1938年生まれ。東急エージェンシーを経て、独立。
 1974年に渡米し、事業を展開。
 1995年に帰国し、時事評論家。


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2008年10月22日

「葡萄酒か、さもなくば銃弾を」手嶋 龍一 :74点, 手嶋龍一 

葡萄酒か、さもなくば銃弾を

【私の評価】★★★☆☆(74点)


■政治の世界は、経営と同じように、
 絶対に正解というものはありません。

 ある政策を行うと、必ず反対する勢力がいる。
 後ろから矢を撃たれたり、足をひっぱられる。
 アメリカなら、暗殺さえ考えられるのです。


  ・コリン・パウエル・・・黒人大統領が誕生する日が
   近づいている・・・このとき、出馬に徹底して反対したのは
   パウエル夫人だった。黒人がホワイトハウスを目指せば
   暗殺されると信じていたからだ。(p18)


■そしてこれが国際政治となると、
 国家の運命さえ、左右してしまうという
 恐ろしい世界です。

 この本では、そうした政治の世界に住む人々を、
 一人の人間として描写した一冊です。


■手嶋さんは個個の政治家のエピソードに光を当てることで、
 政治の世界を表現しようとしたのでしょう。

 一人ひとりの政治家の政策、判断、そして生い立ちと深堀するなかで、
 一人の人間が政策を作り上げ、根回しをし、決断していくという
 難しさを伝えてくれます。

 私には、ジャーナリストというものは、
 ニュースを追うのではなく、
 こうしたニュースの裏側を追うのが王道なのではないか
 と感じました。
 (実際には難しいのでしょうが・・・)


  ・「重要な政治決断の背景に潜む政治家個人の体験を
   決して軽んじてはならない」
   (ピーター・ノーマン)(p145)


■ニュースだけではわからない政治の世界ですが、
 この本を読むと、政治とは研究するに値する
 深い世界だとわかります。
 本の評価としては、★3つとしました。

─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


  ・「FSX・・・日本が、独自開発に進んでいけば、
   十年後には、日本の航空機産業は飛躍的な水準に達しよう。
   だが、共同開発となれば日本の飛躍を牽制できるはずだ」
   (ビル・ブラッドレー)(p63)


  ・「国家間の問題では、力を持つものこそ正義なのである。
   弱者は悪だと指弾されないよう振る舞うのが精一杯なのだ」
   (フランスの枢機卿リシュリュー)(p281)


  ・「テロ支援国家の解除については、今後、六ヶ国協議の
   関係国ともよく協議して決めていきたい。」アメリカ国務省の
   スポークスマンはこともなげにこう語った。・・・中国が議長国を
   務める六ヶ国協議を日米同盟よりも優位に置く(p253)


▼引用は、この本からです。

葡萄酒か、さもなくば銃弾を
手嶋 龍一
講談社
売り上げランキング: 36979
おすすめ度の平均: 3.0
4 孤影に対しても時に矢を放つ必要があるということ
4 政治の世界での隠された側面を絡めた人物評として印象的
3 大げさなタイトル
2 拍子抜け
3 「渾身のルポルタージュ」は、言いすぎでは?

【私の評価】★★★☆☆(74点)


■著者紹介・・・手嶋 龍一(てしま りゅういち)

 1949年生まれ。NHK政治部記者として外交・安全保障を担当。
 その後、ワシントン特派員、ハーバード大学国際問題研究所フェロー、
 ボン支局長、ワシントン市局長。
 2005年独立して外交ジャーナリスト・作家となる。


─────────────────

■関連書評■
a. 「外交敗戦」手嶋 龍一
【私の評価】★★★☆☆

b. 「インテリジェンス武器なき戦争」手嶋 龍一、佐藤 優
【私の評価】★★★★☆


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2008年10月20日

「国家情報戦略」佐藤 優、コウ・ヨンチョル :79点, コウ・ヨンチョル, 佐藤優 

国家情報戦略 (講談社+α新書)

【私の評価】★★★☆☆(79点)


■日本、韓国で、国家によって粛清された
 インテリジェンスに深くかかわったお二人の対談です。

 情報機関、インテリジェンスの世界について、
 出せる範囲で語っているのでしょうが、
 それでも興味深い対談でした。


  ・NSAはいま、国際ビジネス、イスラムのテロリスト・グループ、
   国際的な麻薬取引、核拡散関連の情報こそを、
   優先順位の上位に置いています。(高)(p94)


■諜報機関は、国家間の活動ですので、
 テレビや新聞にはあまり出てきません。

 出てくるとしても情報操作の一環であったりするわけですから、
 こうしたお二人の話は、ニュースの裏を考えるのに
 参考となるのでしょう。


  ・アメリカの情報機関は、アンゴロサクソン五カ国を形成する
   イギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド以外は、
   同盟関係にあっても完全な友邦だとは考えません。(高)(p97)


■最終的な対談の結論は、
 日本もCIAのような情報機関を作るべきである
 ということです。

 国家の存続と安全を守るために、
 情報機関は最低限必要なのでしょう。


  ・将来、「核の帝国主義時代」が訪れる前の段階で、
   日本が取るべき国家戦略とは何でしょうか。
   それは佐藤優氏が唱えておられるように、本格的な
   インテリジェンス機関を設立することなのです。(高)(p202)


■情報機関に関係する人には、
 常識的内容なのでしょうが、
 普通の人には興味深く読めると思います。

 スパイの世界をちょっとだけ
 覗ける一冊ということで、★3つとしました。

─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


  ・不思議に思うのは、日本の大学に安全保障や国防、
   セキュリティ、エネルギー資源関連の学部・学科が
   ないことです。(高)(p125)


  ・フィリピンのルバング島から生還した元陸軍少尉、小野田寛郎さんも
   陸軍中野学校出身です・・・分校の出身なんですね・・・そこでは
   ゲリラ戦やテロ、破壊工作を専門に教育していた(佐藤)(p117)


  ・国際社会においては「国家元首は嘘をつかない」という原則があって、
   国家元首が嘘をつくと、外交ゲームがものすごく面倒くさいことになる。
   ・・・しかし、北朝鮮はこのルールを守らない。(佐藤)(p156)


▼引用は、この本からです。

国家情報戦略 (講談社+α新書)
佐藤 優 コウ・ヨンチョル
講談社
売り上げランキング: 25487
おすすめ度の平均: 4.0
5 世界の情勢を知れ
4 国際面の読み方が変わる
5 「薄味」
5 インテリジェンスの面白さと恐ろしさ
4 インテリジェンスとはこういうことなのか

【私の評価】★★★☆☆(79点)


■著者紹介・・・佐藤 優(さとう まさる)

 1960年生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了。
 外務省入省。在イギリス日本国大使館、在ロシア連邦日本国大使館に
 勤務した後、1995年より外務省国際情報局分析第1課勤務。
 2002年に背任容疑、偽計業務妨害で逮捕される。

■著者紹介・・・コウ・ヨンチョル

 1953年生まれ。元韓国海軍少佐。
 海軍士官学校、海軍大学、韓国朝鮮大学を卒業。
 艦艇高速艇隊長、海軍航空団人事課長、済州道地域司令部情報参謀、
 海軍士官学校教官等を歴任。1989年から国防省海外情報部日本担当官、
 北朝鮮担当官を務める。1993年金泳三政権の軍部粛清により、
 全斗煥、盧泰愚の元大統領らとともに禁固刑に処され除隊。

─────────────────

■関連書評■
a. 「国家の罠」佐藤 優
【私の評価】★★★★★

b. 「インテリジェンス武器なき戦争」手嶋 龍一、佐藤 優
【私の評価】★★★★☆


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2008年9月13日

「イギリス人はおかしい」高尾 慶子 :79点, 高尾慶子 

イギリス人はおかしい―日本人ハウスキーパーが見た階級社会の素顔 (文春文庫)

【私の評価】★★★☆☆(79点)


■英国の上流階級のハウスキーバーとして
 働いた高尾さんが、英国の真実の姿を教えてくれる一冊です。

 やはり、実際に暮らして、
 働いて、英国人と交際しなければ、
 本当の国家の姿を理解することはできないのでしょう。


■印象的なのは、英国の階級です。

 上流階級、中流階級、労働者階級とあるようですが、
 この本では上流階級の生活を知ることができます。

 広い家に使用人がいて、料理は料理人が作る、服はブランド、
 車はBMW、昼はビデオを見て、夜はクラブで遊ぶ。
 これで楽しいのでしょうかね?

  ・スコット氏は他の英国人同様、「家は城だ」という
   考えの持ち主で、家にはとことんこだわるが、
   着る物には無頓着だ。(p12)


■この本が面白いのは、
 高尾さんが面白いからです。
 英語を話せる日本人として、お金持ちの家を
 仕切っているところは素敵でした。

 まさに楽しいエッセイで、
 プラス英国での生活も知ることができますので、
 星の評価は★3つとしました。

─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


  ・エンジニアは携帯電話で呼び出され、普通、
   「I'll come as soon as possible.(できるだけ早く行きます)」
   というが、すぐ来たためしがない。(p38)


  ・平均的な英国人は潜在を入れたプラスティックのボールか
   流しで食器を洗い、真水ですすがず、いきなりティータオルで
   拭くのだ。・・・どこの家でもこうだったので度肝をぬかれた(p87)


  ・英国と、ロシア、インドはよく似ている。
   この三国は軍事費には金を使うが、国民の生活は
   じつに時代遅れのなかにある。(p201)


▼引用は、この本からです。

イギリス人はおかしい―日本人ハウスキーパーが見た階級社会の素顔 (文春文庫)
高尾 慶子
文藝春秋
売り上げランキング: 14355
おすすめ度の平均: 4.5
2 どうしても...
3 マークスさんとは逆の視点
5 面白かった!
5 正確でしっかりした観点
5 生活者が看破する英国というシステム・・・

【私の評価】★★★☆☆(79点)


■著者紹介・・・高尾 慶子(たかお けいこ)

─────────────────

■関連書評■
a. 「遥かなるケンブリッジ」藤原 正彦
【私の評価】★★★★★

b. 「万国「家計簿」博覧会」根岸 康雄
【私の評価】★★★★☆


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2008年8月11日

「ラテンの秘伝書」風樹 茂 :71点, 風樹茂 

ラテンの秘伝書―格差社会を生き抜く最後の切り札
【私の評価】★★★☆☆(71点)


■海外で仕事をすると、
 日本の常識は、海外の非常識であるとわかります。

 業者が、約束した時間に来ない。
 失敗は自分の責任ではない。
 商品力より、有力者とのコネで決まってしまう。

 こうしたことが、普通に起こる国がいかに多いことか・・・。


■しかし、現地の人はそれでもしっかり
 生活しています。
 思ったより、楽しく生きていたりするのです。

 自殺が3万人を超える日本より、
 人生を楽しんでいたりして・・・。


■この本では、南(ラテン)アメリカに転勤した商社マンが、
 ラテンな商社マンに成長する過程を通して、
 漫画でたのしく教えてくれる一冊です。

 ちょっとオーバーなところもあるでしょうが、
 カザフスタン駐在経験のある私も、
 「そうだよね」と思わせてくれる一冊でした。


■本当は、海外で実際に経験したほうが良いのでしょうが、
 基礎知識なしよりは、この本を読んでいたほうが、
 ショックは小さくなるでしょう。

 この本を読めば、日本は世界で異常にマジメで、親切で、頑張っている
 国であることを再確認できると思います。
 楽しく読めたので、★3つとしました。

─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


  ・失敗の責任は他の人(物)に負わせろ(p177)


  ・ラテンは自分本位です。
   まずは自分ありき!(p178)


  ・小噺で場を盛り上げろ(p178)


▼引用は、この本からです。

ラテンの秘伝書―格差社会を生き抜く最後の切り札
風樹 茂 サガー・ジロー
東洋経済新報社
売り上げランキング: 1149
おすすめ度の平均: 4.0
4 人間はどこでも一緒。
2 勝ちT
4 ラテンの「本当」が知れた
5 幸せに遠回りしていた

【私の評価】★★★☆☆(71点)


■著者紹介・・・風樹 茂(かざき しげる)

 1956年生まれ。大学卒業後、中南米専門商社を経て、
 アマゾンでの鉄道復旧工事に従事。
 その後、南米、欧州、アジアを放浪。
 帰国簿、投資・援助のコンサルタントとして30カ国現地調査。

─────────────────

■関連書評■
a. 「中国人に会う前に読もう」泉 幸男、文芸企画
【私の評価】★★★★☆

b. 「騙してもまだまだ騙せる日本人」邱 永漢、光文社
【私の評価】★★★★☆


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2008年7月10日

「「超」アメリカ整理日誌」 :72点, 野口悠紀雄 

「超」アメリカ整理日誌
【私の評価】★★★☆☆(72点)


■アメリカ生活の長い野口さんが、
 日米の比較をしながら、
 ものの見方を教えてくれる一冊です。

 「岡目八目」と言いますが、
 外に出るからこそ、わかるものがあります。


■競争の国アメリカでは能力のない人はリストラされ、
 すぐに貧困層に落下する危険があります。

 しかし、能力がある人が、レジを打っている日本は、
 能力のある人を活用していないともいえるので、
 けっして喜べないことに思えます。


  ・「驚くほどの能力の人に、日本の店で会う」と先に述べた。しかし、
   よく考えてみれば、彼らが注文取りをしたり、玄関で靴を並べたり、
   勘定係をするのは、もったいないことだ。・・・能力のムダづかいであり、
   社会全体の労働力が適切に配分されていない証拠である。(p43)


■こうした状態を変えていくためにも
 日本のサービス産業の効率化が必要です。

 より少ない人でサービスしていくことで、
 小子化対策にもなります。

 役人こそ最大のサービス産業で、
 その効率化が最大の課題なのでしょう。


  ・日本で収め続けた多額の住民税は何に使われたのか?
   治安維持やゴミ処理などの基本サービスを受けたのは事実だが、
   それ以上に特別のサービスは何も受けなかった。住民税の大部分は、
   市役所職員の給与に消えてしまったのだ。(p239)


■しかし、効率化には思い切った改革が必要となります。

 「戦争を止めることができなかった」日本には、
 改革ができないのではないか?
 というのが著者の意見で、なんとも寂しいものです。


  ・「やめる」選択肢こそ重要・・・公的年金制度の最も基本的な論点は、
   「現制度の維持がそもそも可能なのか」ということだ。すなわち、
   基本的な選択は、年金制度の廃止である。・・・年金改革はすでに
   手遅れになっている。(p139)


■考え方の幅を広げてくれる一冊でした。

 笑える話もあり、視野が広がるので、
 本の評価としては星3つとしました。


─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


  ・今をときめくインターネット検索でのリーダー企業、
   ヤフーとグーグルの創業者のうち、二人が外国生まれだ
   (ヤフーのヤンは台湾、グーグルのブリンはロシア)(p77)


  ・アメリカの医療費は・・・きわめて高額だ。西海岸の場合、
   保険でカバーされていないとすると、風邪で病院に行っても、
   また虫歯一本治療するのにも、数万円かかる。・・・
   盲腸で四日間入院すると150万円程度になる(p106)


  ・輸入制限による産業保護は、消費者が支払う価格を上昇させる
   だけではない。関連産業は保護に甘えて改革と進歩のための
   努力を怠り、衰退していく。(p180)


▼引用は、この本からです。

「超」アメリカ整理日誌
野口 悠紀雄
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 56727
おすすめ度の平均: 4.5
4 面白い
5 記念すべき「超」整理日誌10作目!
4 米国生活からふりかえる日本の政治経済システムの不幸
4 外国で暮らすことによって、分かること。
5 エコノミストがアメリカからみた日本

【私の評価】★★★☆☆(72点)


■著者紹介・・・野口 悠紀雄(のぐち ゆきお)

 1940年生まれ。64年大蔵省入省。72年エール大学留学。
 一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授などを経て、
 2005年より早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授。

─────────────────

■関連書評■
a. 「「超」発想法」野口 悠紀雄、講談社
【私の評価】★★★☆☆

b. 「「超」勉強法」野口 悠紀雄、講談社
【私の評価】★★★★☆


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2008年5月28日

「動物の値段」白輪 剛史 :78点, 白輪剛史 

動物の値段―シャチが1億円!!??
白輪 剛史
ロコモーションパブリッシング
売り上げランキング: 11134
【私の評価】★★★☆☆(78点)


■「動物の値段」を切り口にした、
 動物のトリピアを集めた一冊です。


■トリビア1:
 絶滅の危機にあるフンボルトペンギンの1割が
 日本の動物園で繁殖しており、繁殖しすぎて、
 繁殖制限している動物園がある。


  ・野生のフンボルトペンギンは、絶滅の危機に瀕しているため
   国際的に商取引が禁止されているほどなのに、なぜか日本では
   大繁殖しているのだ。・・・繁殖制限をする意味がわからない。(p75)


■トリビア2:
 カメが絶滅の危機にある。
 それは、中国でカメがガンに効くという噂で
 大量に食べられている。


  ・近年、カメは世界中で激減している。・・・
   それは中国で大量のカメが食べられているということ。(p130)


■へー、と思うトリビアが一杯でした。
 動物業界も大変なのだと思いながら、
 本の評価としては★3つとしました。

─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


  ・私が動物に興味を持ったのは幼稚園のころ。
   親に図鑑を買ってもらってからだ。(p2)


  ・(クマに)背を向けて逃げてはいけない。なぜなら
   クマには「逃げるものを追いかける」という習性があるからだ。
   しかもクマの走る速さは100メートルを7秒ほど。(p55)


  ・「ヤモリとイモリの違いってなんですか?」
   とよく質問される。答えは、
   「ヤモリが爬虫類でイモリが両生類」(p132)


  ・日本固有の鳥で国鳥に選定されているキジ。・・・
   あれが狩猟のために放鳥されているのだということを
   知っている人がどれだけいるだろうか?(p170)


  ・民間経営の園館は本当に悲惨である。・・・大胆な改革を行った
   旭山動物園の入場者が増加して話題になっている昨今だが、民間の
   施設に同じことをする金はどこにもない。公営動物園だからこそ
   できたことなのだ。・・・失敗したら税金の無駄遣い(p200)


▼引用は、この本からです。

動物の値段―シャチが1億円!!??
白輪 剛史
ロコモーションパブリッシング
売り上げランキング: 106754
おすすめ度の平均: 4.0
3 文庫でいいんじゃないの?
4 「ワシントン君」が語る笑えてためになる動物裏話
5 どうしようもなく面白いエピソードたち

【私の評価】★★★☆☆(78点)


■著者紹介・・・白輪 剛史(しらわ つよし)

 1969年生まれ。
 爬虫類輸入会社「レップジャパン」を設立。代表取締役。

─────────────────

■関連書評■
a. 「あなたのTシャツはどこから来たのか?」ペトラ・リボリ、東洋経済新報社
【私の評価】★★★☆☆

b. 「世界を見る目が変わる50の事実」ジェシカ・ウィリアムズ、草思社
【私の評価】★★★☆☆


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2008年5月27日

「母親に向かない人の子育て術」 :74点, 川口マーン 

母親に向かない人の子育て術 (文春新書 572)
【私の評価】★★★☆☆(74点)


■ドイツ人と結婚し、3人の娘をドイツで育てた
 川口さんのドイツ文化報告です。

 3人の娘を育てた苦労を通じて、
 ドイツの教育事情を垣間見ることができます。


■日本の教育には問題が多いようですが、
 ドイツにおいても教育問題はあるようです。

 ドイツの落第の制度には
 かなり否定的ですね。

 全体としては、両国とも一長一短なのでしょうが、
 こうした教育の差が、国力の差にどの程度影響するのかは
 歴史が証明してくれるのでしょう。


  ・ドイツでは、2005年、25万人の生徒が進級できなかった。
   これは、全生徒数の約3パーセント近い数字だ。・・・
   落第したからといって、心を入れ替えて勉強する子供ばかりとは
   限らないし、突然頭がよくなるわけでもない。(p114)


■私の気になったのは、性教育についてです。
 ドイツでは五年生からやっています。

 「金八先生」のように中学生で妊娠する人もいますので、
 小学生高学年になったら性教育が必要でしょう。


  ・五年生から学校で徹底して教えるのは、エイズの怖さとコンドーム
   の重要性だ。・・・女の子はボーイフレンドができれば、・・・
   必ず事前に婦人科に行き、ピルを処方してもらうようにと指導される。
   (p48)


■「隣の芝は青く見える」と言いますが、
 ドイツの文化という隣の芝を見てみるの

 本の評価としては、★3つとしました。

─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


  ・日本ではこれから早期エリート教育がますます増えそうだが、
   それが社会全体に及ぼす弊害の可能性を、もう少し真剣に考えた
   ほうがいいと思う。一部のエリートを育てても、過半数がやる気を
   失ってしまえば、社会は発展しない。(p119)


  ・「人は人、自分は自分。自分で一番いいと思ったことを
   すればいい。よく考えて決めたことなら、ママは応援してあげる」
   というのが、ひとことで言えば私の教育方針であった(p72)


  ・ドイツの教師は、休み中に学校へ行ったりは絶対にしない。
   それどころか普段も、勤務時間が終わると生徒と同時に
   まっしぐらに家へ帰る。・・・「ただ働き」はしないのである。(p21)


  ・ドイツは休暇大国である。皆たいてい年間六週間の休みを取る。
   「三週間は続けて休まないと休んだ気分にならない」という
   話もよく聞く。「そんなバカな・・・」と私は心の中で思う。(p160)


  ・プロテスタントの人の多くは、カトリックとは享楽と欺瞞が
   当たり前の二枚舌宗教だと思っているふしがある。・・・
   カトリックとプロテスタントは、つい最近まで何世紀ものあいだ、
   ほぼ間断なく争ってきたのである。(p81)


▼引用は、この本からです。

母親に向かない人の子育て術 (文春新書 572)
川口 マーン惠美
文藝春秋
売り上げランキング: 12555
おすすめ度の平均: 4.5
5 いつもながら読ませる著者の筆致には敬意を払いたい
4 「タイトルは、大失敗!ぜんぜん、合わない。」
5 手抜きはしても愛情は人一倍

【私の評価】★★★☆☆(74点)


■著者紹介・・・川口 マーン(かわぐち まーん)

 ドイツ・シュツットガルト国立音楽大学大学院ピアノ科卒業。
 シュツットガルト在住。

─────────────────

■関連書評■
a. 「遥かなるケンブリッジ」藤原 正彦、新潮社
【私の評価】★★★★★

b. 「万国「家計簿」博覧会」根岸康雄、小学館
【私の評価】★★★★☆


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2008年4月21日

「本質を見抜く「考え方」」中西 輝政、サンマーク出版 :77点, 中西輝政 

本質を見抜く「考え方」
【私の評価】★★★☆☆(77点)


■海外旅行が普通になって、海外の経験を持つ人が
 増えていることはよいことだと思います。
 海外での経験が、その人の視野を広げるからです。

 その点、著者は学者ではありますが、海外での経験も長いようで、
 視野が広いな~、というのが第一印象です。


■この本でいう「考え方」は、3つに分けられます。
 1つ目は、基本的な考え方。
 2つ目は、欧米の考え方。
 3つ目は、著者の考え方です。


■1つ目の基本的な考え方とは、
 よく私たちが間違えそうな考え方を指摘したもので、
 例えば、「正しいことと効率的なことを分けましょう」
 というようなことです。

  ・「正しいこと」と「効率のよさ」を混同しない(p112)


■2つ目の欧米の考え方とは、
 著者が欧米の経験で感じたもので、
 例えば、欧米の戦略性などです。

  ・やはりイギリスには、外交面で日本人の思考をはるかに超える戦略性が
   あることでした。真珠湾攻撃の十年以上も前から、アメリカもイギリスも、
   着々と日本包囲網をつくっていたのです。(p85)


■そして3つ目の著者の考え方とは、
 著者自身が気をつけている考え方で、
 例えば、「大きく考える」ということです。

  ・国は世の中のあり方は、ほかの誰のことでもない、「わが身」の問題と
   とらえる視点を持って、「大きく考える癖」をつけることが
   重要だということです。(p148)


■このように、海外経験の長い人だけに
 参考となる考え方がいくつかありました。
 本質ははずしていないと思いますので、★3つとします。

─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


  ・「早く」見つけ、「遅く」行動する(p180)


  ・「和」と「やさしさ」の国だから敵を作らないのではなく、
   「和」と「やさしさ」の国だからこそ、「敵」を知ってその脅威から、
   その美点を守ることを考えなければならないのです。(p24)


  ・いろいろな人とつきあうことで、「欧米人は、自分では絶対実現しない
   とわかっていながら、口では理想論を言うのだ」ということがわかって
   きたのです。彼らは、つねに理念を唱えなくてはならない社会で生きています。
   (p79)


  ・迷っている状態というのは、「将来への投資」です。・・・
   迷いは、本当の学びであり、自分を豊かにするものです。迷ったときこそ大事なとき。
   迷ったときこそ収穫のとき。迷えば迷うほど、思考は深まります。(p91)


  ・私はごく幼少期から、歴史が好きでした。戦国時代の武将の話など、
   少年向きの歴史の本をむさぼるように読みました・・・小学校ニ、三
   年生のころには、カラー刷りの絵入りの歴史物語の本を、友だちと取り合うようにして
   読んだ記憶もあります。(p68)


▼引用は、この本からです。

本質を見抜く「考え方」
中西 輝政
サンマーク出版
売り上げランキング: 3502
おすすめ度の平均: 4.5
5 私が本書から学んだこと
4 いい本と言えるが・・・未来予測は同調できない
4 本質を考えるための方法論を伝授している
4 美しい言葉を疑え
4 どのように「考える」か

【私の評価】★★★☆☆(77点)


■著者紹介・・・中西 輝政(なかにし てるまさ)

 1947年生まれ。スタンフォード大学客員研究員、
 静岡県立大学教授を経て、京都大学大学院教授。
 専攻は、国際政治学、国際関係史、文明史。

─────────────────

■関連書評■
a. 「遥かなるケンブリッジ」藤原 正彦、新潮社
【私の評価】★★★★★

b. 「インテリジェンス武器なき戦争」手嶋 龍一、佐藤 優、幻冬舎
【私の評価】★★★★☆


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2008年4月10日

「王たちの行進」落合 信彦、集英社 :73点, 落合信彦 

王たちの行進 (集英社文庫)
【私の評価】★★★☆☆(73点)


■1988年、東ドイツ。
 そこは、今のチベットのように、
 共産党に支配され、人々の移動の自由はありませんでした。

 厳重な監視体制の中、多くの人が自由を求めていました。
 そうした中で、イギリスMI6などの諜報機関は、
 ソ連崩壊を目指して様々な工作をしていたはずです。


■この本では、日本の商社マンが、MI6の諜報員と関係するうちに、
 東ドイツから3000人の亡命者をハンガリー経由で亡命させる
 工作を行うという設定になっています。

 それも、東ドイツの軍人に賄賂を渡して、
 軍の飛行機でハンガリーに亡命者を運ぶという
 ミッションです。


■ちょっとありえない~という設定でしたが、
 落合さんのことだから、本当にあった話に脚色を加えている
 のかもしれない・・・と思いながら読みきりました。

 ハリウッド映画系のどんでん返しでドキドキできるのと、
 共産主義の怖さを思い出す一冊なので、★3つとしました。

─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・ドストエフスキーがいっていますよね。
  人々に自由を与えれば彼らは自殺に走ると。
  自由というものが持つ責任に耐えられないんでしょうね。(p204)


 ・共産主義勢力と戦ってきた。ソ連国内にもぐり込んで、グルジア・マフィアや
  ロシアン・マフィアと話を付け、彼らの地下経済を援助することによって、
  ソ連経済にダメージを与えるようなこともした。(p121)


▼引用は、この本からです。

王たちの行進 (集英社文庫)
落合 信彦
集英社
売り上げランキング: 315262
おすすめ度の平均: 5.0
5 生の歴史を感じる
5 熱くなっちゃいます。
5 世紀の始まり

【私の評価】★★★☆☆(73点)


■著者紹介・・・落合 信彦(おちあい のぶひこ)

 1942年生まれ。
 国際情勢、諜報機関に関係した小説、海外作品の翻訳など。

─────────────────

■関連書評■
a. 「インテリジェンス武器なき戦争」手嶋 龍一、佐藤 優
【私の評価】★★★★☆

b. 「中国・ロシア同盟がアメリカを滅ぼす日」北野 幸伯、草思社
【私の評価】★★★★☆


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2008年3月25日

「3つに分けて人生がうまくいくイギリスの習慣」井形 慶子、新潮社 :75点, 井形慶子 

3つに分けて人生がうまくいくイギリスの習慣 (新潮文庫 い 74-4)
【私の評価】★★★☆☆(75点)


■日本にも「ハレ、ケ」という考え方がありますが、
 イギリス人は、さらにメリハリをつけているようです。


■まず、服装です。
 日本人もその場面に合わせて服を選びますが、
 イギリス人の夜の服は特に派手で、カッコイイのです。

 ・夜の予定がある人は行員から会社役員まで皆、いったん家に
  もどり、自宅やレストランで繰り広げられるパーティーや
  ディナーのため、シャワーを浴びて夜用の服に着替えるのです。(p50)


■季節は日本の4つではなく、3つに分けます。

 1~4月が「変化の時」
 5~9月が「ホリデーシーズン」
 10~12月が「パーティーシーズン」です。

 5~9月は天候がよいのですので、
 楽しめる季節なんですね。

 ・1月から4月は転職して新しい仕事に就いたり、スポーツを始める
  など・・・「変化の時」・・・5月から9月までは「ホリデーシーズン」。
  ・・・夜を中心に生活を謳歌します。・・・10月から12月までが、
  「パーティーシーズン」。


■個人的には、社員を自宅に呼ぶ習慣のところが
 興味を引きました。
 家内の協力があれば、私もやってみたいものです。

 ・イギリスの人々が自宅でのビジネスディナーで人をもてなすのは、
  たとえば会社の上司が社内で頭角を現してきた社員に昇格を
  告げる場合です。(p105)


■「イギリスから学ぶイギリス人の知恵」といった
 趣の一冊でした。

 イギリス経験の豊富な著者だからこその
 一冊ということで★3つとしました。

─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・私は講演など大勢の前に立つときは、ほとんど黒いスーツを
  選びます。・・・私にとってのこの勝負服(p48)


 ・イギリスの人々は独身、既婚を問わず、自分がたったひとりになれる
  パーソナルスペースと呼ばれる空間を持っています。・・・手入れをする
  庭、腰かけてただ風に吹かれて時を過ごす公園のベンチ(p66)


 ・スランプに陥ると、イギリス人の大学教授が語った「人の真の力は、
  物事がうまくいっている時ではなく、失敗したり挫折した時、
  どう対応するかで決まるんだ」という言葉を思い出します。(p73)


 ・世界各国に散らばる取引先の担当者が訪英するたび、一晩は必ず
  自宅ディナーに招待すると言っていました。・・・歓談しながらも
  鋭い観察眼でチェックし、この人が契約するにふさわしい相手かどうかを
  判断するのです。(p108)


 ・私も冒頭で紹介した雑誌編集長のように、社外に何人かの
  相談相手を用意して、原稿を書く時にも「セカンドオピニオン」を
  役立てています。・・・「2番目の考えが最善である」という
  ことわざまであります。(p118)


▼引用は、この本からです。

3つに分けて人生がうまくいくイギリスの習慣 (新潮文庫 い 74-4)
井形 慶子
新潮社 (2007/10)
売り上げランキング: 61246
おすすめ度の平均: 4.5
4 なるほど3つにね
5 井形さんの本はいつも示唆に富んでいます
5 目からうろこが落ちた

【私の評価】★★★☆☆(75点)


■著者紹介・・・井形 慶子(いがた けいこ)

 大学在学中から出版社でインテリア雑誌の編集に携わる。
 60カ国で流通する外国人向け情報誌「HIRAGANA TIMES」を創刊。
 28歳で出版社を立ち上げ、情報誌「ミスター・パートナー」を創刊。
 渡英経験は70回を超える。著書多数。

─────────────────

■関連書評■
a. 「鷲の人、龍の人、桜の人 米中日のビジネス行動原理」キャメル・ヤマモト
【私の評価】★★★★★

b. 「ユダヤ5000年の教え」ラビ・マービン・トケイヤー、実業之日本社
【私の評価】★★★★★


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2008年2月16日

「最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか」ジェームズ・R・チャイルズ :ジェームズ・R・チャイルズ 

最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか
ジェームズ R・チャイルズ
草思社
売り上げランキング: 56025
【私の評価】★★★☆☆(75点)


■この本では、20以上の大規模事故の経過と
 その原因が説明されています。


 ・海洋石油掘削装置オーシャンレンジャー沈没事故(1982年)
 ・スペースシャトル・チャレンジャー爆発墜落事故(1986年)
 ・ハッブル宇宙望遠鏡の主鏡研磨失敗(1990年)
 ・英国航空機の操縦席窓ガラス脱落事故(1990年)
 ・北海油田掘削プラットフォーム、ハイパーアルファの爆発事故(1988年)


■この本で説明される事例を読んでわかるのは、
 起こりえないようなミスの連鎖が
 実際には起こるということです。

 また、それを指摘する人がいても、
 必ずしもその指摘が採用されることはないということです。


 ・「乗務員のうちでもっとも安全に必要なのは、ずけずけとものがいえる
  腕ききの副操縦士だ」とタロウは言う。(p363)


■技術が巨大化し、その失敗が悲惨な結果をまねいてしまう今、
 それを管理する人間は、より保守的に判断し、
 安心・安全を考えなくてはならないのだと思いました。
 ★3つとします。


─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・Oリングのゴムに作用した寒気、いいかげんな接合部分の設計、
  支柱部分へのひずみの集中、このすべてが組みあわさって、
  チャレンジャーを墜落させるような穴があいたのだ。(p132)


 ・信じがたいほどの不具合の連鎖(p31)


▼引用は、この本からです。

最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか
ジェームズ R・チャイルズ
草思社
売り上げランキング: 56025
おすすめ度の平均: 4.5
2 この本そのものが事故である
3 世に浜の真砂が尽きるとも...
5 誰がどのように引き起こし、誰がどのように食い止めたのか。
3 それでも教訓を生かせない私たち
5 事故事例と防止事例

【私の評価】★★★☆☆(75点)


■著者紹介・・・ジェームズ・R・チャイルズ

 1955年生まれ。米国の技術評論家。
 科学技術に関する記事を雑誌に寄稿している。

─────────────────

■関連書評■
a. 「工場はなぜ燃えたか?」丸田 敬、エネルギーフォーラム
【私の評価】★★☆☆☆

b. 「失敗の本質」戸部良一、中央公論社
【私の評価】★★★★★


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2008年1月29日

「となりの韓国人」黒田 福美、講談社 :78点, 黒田福美 

となりの韓国人 傾向と対策 (講談社文庫)
【私の評価】★★★☆☆(78点)


■日本人が海外で仕事をすると、
 日本の仕事のやり方を標準として考えると、
 イライラすることがよくあるはずです。

 細かな計画を立てて、それを実行していくのは
 当然と思えるかもしれませんが、
 それを普通に実行できる国は少ないのです。

 ・韓国人は取りあえず「努力して最善を尽くした」ことをもって
  良しとする。・・・しかし、いつでもいきなり百点を目指す日本人には、
  韓国人のそういうやり方はどうにも怠慢に見え・・・苛立ってしまう。(p8)


■著者は、日韓のテレビ番組や、合作ドラマなどに出演しながら、
 韓国と二十年以上にわたって係わってきました。

 実際に韓国で生活し、仕事をしてみると、
 日本と韓国の文化に違いに驚く一方、
 日本人の偏見にも気づくことがあったようです。

 ・日本では合議制で様々な手続きをふみ、各方面の了解と許可を
  とってから決定されることが、韓国ではトップにいる人の「鶴の一声」
  で決まるということがおうおうにしてある。・・・けれどもしその
  「鶴の一声」が通用しなかった場合は悲惨だ。(p31)


■この本では、著者の実体験をもとに、
 韓国人の良いところ、悪いところ(理解しにくいところ)を
 実例をもって教えてくれます。

 たとえば、分かち合うことをよしとする韓国人と日本人が一緒に住むと、
 韓国人は自分のものは相手のもの、
 相手のものは自分のものといった行動をとるということなどは、
 人から言われて理解できる範囲を超えているはずです。

 ・下宿の一部屋に韓国人と日本人の学生が相部屋で住んでいるとしよう。
  ・・・李君はしょっちゅう太郎君が買い置きしておいたものまで食べてしまう。
  ・・・「分かち合い文化圏」の李君にとっては、「君のものは僕のもの」と
  いってもいいくらい所有権の境界がぼやけているのだ。(p87)


■この本では、韓国文化の紹介が中心となっていますが、
 韓国文化の特色を教えてもらうなかで、
 日本の特殊性についても気づくきっかけになると思いました。

 海外で仕事をする可能性のある人、
 海外旅行が好きな人にお勧めします。
 ★3つとしました。

─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・彼らにとっては喧嘩さえも相手の腹の底まで理解しようとする
  「コミュニケーション手段」の一つなのだ。・・・しかし日本の
  社会では「率直に意見を述べる」とそれだけで「気が強くて難しい人」
  だと敬遠される。(p16)


 ・韓国では「冷や飯」は食べないというこだわりがある。・・・
  そんな彼らの目には、日本人がおにぎりと缶入りのお茶なんかで
  食事を済ませる姿は、超悲惨で「貧しく不健康な食事」(p43)


 ・「兵役が二十六ヵ月ってホント?」「ええ・・・」・・・
  「・・・休みってないの?」「あります。年に十日くらい」・・・
  「・・・お給料ってあるんでしょう・・・」「・・・千円くらいかなあ」
  「一日に?」「いえ、一月に」(p200)


▼引用は、この本からです。

となりの韓国人 傾向と対策 (講談社文庫)
黒田 福美
講談社 (2006/07/12)
売り上げランキング: 30350

【私の評価】★★★☆☆(78点)


■著者紹介・・・黒田 福美(くろだ ふくみ)

 1956年生まれ。大学卒業後、映画、テレビドラマなどで
 活躍する一方、芸能界きっての韓国通。
 88年ソウルオリンピックでは韓国番組を数多く企画。
 99年、02年のFIFAワールドカップでは日本組織委員会理事。

─────────────────

■関連書評■
a. 「日本人を冒険する」呉 善花、PHP研究所
【私の評価】★★★★☆

b. 「日本人 中国人 韓国人」金文学、白帝社
【私の評価】★★★☆☆


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2007年7月13日

「ナチスの発明」武田 知弘、彩図社 : 

ナチスの発明
ナチスの発明」武田 知弘、彩図社 (2006/12)¥1,470 【私の評価】★★★☆☆(71点)


■著者紹介・・・武田 知弘(たけだ ともひろ)

 1967年生まれ。大学中退後、塾講師、出版社勤務を経て、
 2000年からフリーライターとなる。
 裏ビジネス、歴史の秘密など著述活動を行っている。


─────────────────

ロケット、ジェット機、ヘリコプター、聖火リレー、
 高速道路、テレビ電話、合成ゴム、テープレコーダー・・・

 なんとこれらを開発したのは、
 「ナチス・ドイツ」です。

 ナチス時代に、数多くの科学・技術が
 開発・実用化されました。

 ・世界で最初に、一般向けの定時テレビ放送をはじめたのは
  ナチス・ドイツである。・・・現代にも通じるような
  娯楽番組が用意された。(p54)


●ナチス・ドイツは、第一次世界大戦敗戦による大不況のドイツを
 大規模公共事業と大減税により復活させます。

 また、大衆のための自動車開発、娯楽の提供、
 オリンピックの開催など、
 国民の支持を得るだけの実績を作っていました。

 ・フォルスク・ワーゲンンは、ナチスとポルシェの合作である。
  ヒトラーはもともと大衆車を作りたいと、熱望していた。(p101)


●ナチス=ユダヤ人虐殺の極悪非道という
 イメージがありますが、
 ナチスは、国民の支持を得た政党であったわけです。

 ・ユダヤ人を迫害したのは、実はナチスが最初ではない。・・・
  ユダヤ人から様々な権利を剥奪し、結婚や出産も制限する、
  これはキリスト教国の多くが行ってきたことだった。(p162)


●近代史を学びたい人、イメージだけではなく、
 歴史の事実をバランスよく知りたい人にお薦めします。
 ★3つとしました。


─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・労働者クラスの人たちは、とてもバカンスなど取れるものではない。
  しかしバカンスを、だれでも取れるようにしていた国がある。
  ナチス・ドイツである。(p106)


 ・ナチスが国民の指示を集めた理由の1つに、共産主義への恐怖がある。
  ・・・当時の共産主義は、革命のために武力、暴力を使うことを
  いとわなかったので、共産主義者による破壊活動や誘拐、殺人が
  日常茶飯事に起きていた。(p158)


 ・ローリング・ストーンズのミック・ジャガーは、党大会の模様を
  収めた映画「意志の勝利」を15回以上も見て、ヒトラーの
  パフォーマンスからファンを陶酔させる手法を学んだ(p20)


▼引用は、この本からです。

ナチスの発明
ナチスの発明
posted with amazlet on 07.07.15
武田 知弘
彩図社 (2006/12)
売り上げランキング: 9864
おすすめ度の平均: 3.5
5 ナチスが生み出した「正」の遺産
3 ナチスによる支配を成立させた時代の「ドイツ」とはどんな社会だったのか、どんな技術をもっていたのか
2 「ナチスの発明」の定義が不明

【私の評価】★★★☆☆(71点)


■関連書評■
a. 「超速!最新日本政治外交史の流れ」竹内 睦泰
【私の評価】★★★★☆

b. 「そうだったのか!現代史」 池上 彰
【私の評価】★★★☆☆


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2007年6月 7日

「日本の死体 韓国の屍体」上野 正彦、文國鎮、青春出版社 : 


日本の死体 韓国の屍体」上野 正彦、文國鎮、青春出版社(2002/05)¥1,360
【私の評価】★★★☆☆


■著者紹介・・・上野 正彦(うえの まさひこ)

 1929年生まれ。
 1959年東京都監察医務院監察医となり、1984年同院長になる。
 1989年退官後は、法医学評論家として活躍。


■著者紹介・・・文國鎮(ムーン・ゴクヂン)

 1925年生まれ。
 1955年国立科学捜査研究所法医学科医務官となり、
 1967年同科長。その後、高麗大学教授などを歴任。
 大韓法医学会名誉会長、高麗大学名誉教授。


─────────────────

●日韓における死体解剖の権威であるお二人の対談です。

 日本では病院で亡くなるような場合を除き、
 変死体ということで、検視、解剖が行われています。


●ただし、監察医が変死体を確認するのは、
 東京、横浜、名古屋、大阪、神戸であり、
 その他の地方は警察医が確認します。

 しかし、警察医は警察の近くで開業している医師なので、
 それほど能力は高くないようです。

 ・日本の地方の警察医のレベルもあまり高くありません。
  単に警察の近くで開業している医師ですから。・・・
  だから地方ではいろいろな事件の見逃しがあって、数年前の
  あの事故は実は保険がらみの殺人事件だったというようなことが
  よくあります。(上野)(p107)


●一方、韓国では、犯罪に関係すると見られる死体だけが解剖される
 ようですが、国民感情として解剖を忌み嫌うことから、
 医務官は大変な仕事のようです。

 解剖される家族、国民全員が、
 解剖に反対するような雰囲気だからです。

 ・実は、死体を解剖しようとして斧で殺されかかったことがありました。
  ・・・「死体解剖をすると二度死ぬことになる」と言ってみんなが解剖
  されるのを忌み嫌うわけです。(文)(p16)


●また、面白いのは、日本は病院で死ぬことが多いようですが、
 韓国では必ず死ぬ前に家に連れて帰るそうです。

 死が近づいたら治療をやめて家に帰るのですから、
 これは一種の安楽死なのかもしれません。

 ・日本では、病院で死ぬのが当たり前になっていると言うが、
  韓国人は、家族が病院で死ぬことを極端に忌み嫌う。(文)(p4)


●人の顔形は似ている日本と韓国ですが、
 まったく文化も考え方も違う国ということがわかりました。

 まったく知らない法医学の世界と、日本と韓国の文化の違いを
 興味深く読みました。★3つとします。


─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・韓国では、父母が死んだときに泣き声がでなければ、あの一族は
  不幸者だと言われてしまうので、涙が実際にでていなくても、
  「アイゴー、アイゴー」と声をあげて泣く。(文)(p32)


 ・韓国の場合は国民の指紋を全部とって管理していますから、
  どんな死体でも指紋さえ残っているような状況であれば
  コンピューターを使って三分以内にわかります。(文)(p46)


 ・10年前、韓国旅行から帰った人に聞いた話である。
  日本の高校生が修学旅行に来ていた。・・・先生が今日のスケジュール
  などについて話をしていたが、生徒はガヤガヤお喋りをしたりふざけてりして、
  先生の話など聞いてはいない。それを見ていた掃除のおばさんが、
  「10年後、日本は滅びるだろう」と言ったというのである。(p212)


▼引用は、この本からです。

日本の死体 韓国の屍体
上野 正彦 文 国鎭
青春出版社 (2002/05)
売り上げランキング: 49975
おすすめ度の平均: 4.5
4 韓国の検死事情について学ぶところが大きい
5 日韓の死生観を興味深く比較することができた。

【私の評価】★★★☆☆


■関連書評■
a. 「これだけは知っておきたい日本・中国・韓国の歴史と問題点80」竹内 睦泰
【私の評価】★★★★★


b. 「日本人 中国人 韓国人」金文学
【私の評価】★★★☆☆


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2007年4月30日

「あなたのTシャツはどこから来たのか?」 :77点, ペトラ・リボリ 

あなたのTシャツはどこから来たのか?―誰も書かなかったグローバリゼーションの真実
ピエトラ リボリ Pietra Rivoli 雨宮 寛 今井 章子
東洋経済新報社 (2006/12)
売り上げランキング: 3409
おすすめ度の平均: 5.0
5 先進国発展の歴史を知る一冊
5 切り口がすばらしい!
4 自由貿易と雇用維持
【私の評価】★★★☆☆77点


■著者紹介・・・ペトラ・リボリ

 米国ジョージタウン大学マクドナウ・ビジネススクール教授。
 国際ビジネスにおけるビジネス倫理や社会公正問題が専門。


─────────────────

●6年ほど前、スイスのジュネーブに滞在しているとき、
 WTOに反対する学生がデモをしていました。

 グローバル化、自由貿易に反対していたようですが
 なぜ反対するのか?当時はわかりませんでした。

 この本では、その疑問に答える形で、
 アメリカで25セントで販売されるTシャツの
 製造の過程をたどっていきます。


 ・ウォルマートは、まず仕入れ値を圧縮して国内の供給元を倒産に
  追い込み、中国へ向かう。その中国でも原価を押さえ込むため、
  中国のサプライヤーは自らの仕入先原価や搾取工場の賃金をさらに
  引き下げることになる。この圧縮の連鎖によって、われわれは
  Tシャツを25セント足らずで買うことができる。(p219)


●まず、綿の原料となる綿花は、なんとアメリカで作られています。
 米国は、綿の生産高、輸出高など世界一を続けてきました。

 そのアメリカの綿産業の強さは、徹底した機械化による省力化、
 優れた生産方法と生産技術によるものもありますが、
 国の膨大な補助金も影響しています。


 ・米国政府が支出している綿関連の補助金総額(2000年は約40億ドル)は、
  世界最貧の綿産国数ヶ国の国民総生産(GNP)を上回るばかりか、
  米国国際開発庁(USAID)のアフリカ関連予算よりも多い。(p73)


●そして、綿は中国に移動し、糸に紡がれ、布となり、裁断され
 Tシャツとなります。

 たしかに中国では農村から出稼ぎにでてきた女性たちが、
 低賃金で働いています。

 しかし、歴史的に見れば、日本もそうだったように、
 発展途上国においては、低賃金で仕事を請け負い、
 国として発展の基礎を作っているのは事実なのでしょう。


 ・先進国の生産者も途上国の生産者もともに、自由市場からの保護、
  特に中国の脅威からの保護を求めている。しかも中国の脅威とは、
  産業保護政策(国営企業、戸籍制度、補助金、通貨管理制度)
  によるものであることから、市場の脅威ではなく政治の脅威なので
  ある。(p318)


●中国で製造されたTシャツは、アメリカに戻ろうとしますが、
 そこでは輸入規制という壁があります。

 輸入品の数量制限、関税など政治により決められた規制で
 輸入量は決まっています。

 これらは、輸入制限を求める製造団体と、
 輸入の自由を求める小売業界との戦いのように見えました。


●こうしてTシャツの流れを見てくると、
 そこには自由貿易というようよりは、
 政治による規制の世界が見えてきます。

 つまり、いかに他国と貿易するかというのは、
 政治で決まるものであり、
 国民間の利害調整の結果ということです。


●この本を読んで、国際貿易の実体が少しだけ見えてきました。
 貿易についての実体を学ぶための良書として★3つとします。


─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・彼ら(学生)にとっては、企業も、グローバル化も、国際通貨基金(IMF)
  も世界貿易機関(WTO)も、すべて労働者の尊厳と生活を
  容赦なく踏みにじる悪者なのであった。(p6)


 ・いつの時代にも市場と貿易によって若い女性たちが搾取工場に
  縛り付けられたが、彼女たちはむしろ自由になったということ、
  そして、農民は農村にいることこそ一番と決めつける前に、
  もう一度よく考えた方がいいと。(p322)


 ・インドのアンドラ・プラデシュ州では、作物を害虫に食い尽くされた
  綿生産者500人以上が自殺をした。害虫が綿を食い荒らす音は
  農民の耳にも届き、その不気味な音で村民は一睡もできなかったという。
  (p81)


▼引用は、この本からです。
あなたのTシャツはどこから来たのか?」ペトラ・リボリ、東洋経済新報社
(2006/12)¥2,100
【私の評価】★★★☆☆77点


■関連書評■
a. 「冒険投資家 ジム・ロジャーズ世界大発見
【私の評価】★★★★★

b. 「万国「家計簿」博覧会」根岸康雄
【私の評価】★★★★☆

2007年4月17日

「大仏破壊」高木 徹、文藝春秋 : 

大仏破壊―ビンラディン、9・11へのプレリュード
高木 徹
文藝春秋 (2007/04)
売り上げランキング: 20694

【私の評価】★★★☆☆


■著者紹介・・・高木 徹(たかぎ とおる)

 1965年生まれ。大学卒業後、NHKに入局。
 福岡放送局を経て、報道局勤務。
 NHKスペシャル「民族浄化 ユーゴ・情報戦の内幕」
 「バーミアン 大仏はなぜ破壊されたのか」などを担当。


─────────────────

●旧ソ連のアフガニスタン侵攻に対し、
 アフガニスタンはアメリカの支援を受けて戦いました。

 旧ソ連撤退後、無政府状態となったアフガニスタンに
 秩序を取り戻したのはタリバンだったのです。

 ・ならずものに襲われる恐怖なしに、国内を旅行したり、商売をしたり、
  店をかまえたりする。そんな当たり前のことがタリバンのおかげで
  再びできるようになったのです。(パキスタン内務大臣)(p27)


●しかし、タリバンの支配するアフガニスタンに
 ビンラディンがやってきてから歯車が狂いはじめました。

 ビンラディンは客としてアフガニスタンにやってきましたが、
 資金にものを言わせて、アフガニスタンに軍事キャンプなどを
 作っていきます。

 ・「ビンラディンがいなかったら、タリバンは今もつづいていたはずだ」
  元タリバン政権の内務次官ハクサルは、悔しさをこめてそう言っている。
  (p166)


●さらに悪いことに、タリバン政府から
 女性が抑圧されていることが、CNNなどのメディアで
 報道されました。

 これで、タリバン=悪、というイメージが、
 欧米社会で定着してしまったのです。

 ・ホタクがアメリカで学んできたことの一つは、
  海外のメディアの力の大きさと、それを利用することである。(p182)


●タリバン内では、ビンラディンの思想が広まるにつれて、
 権力闘争がおこりますが、
 最終的にはビンラディンがタリバン内で影響力を強め、
 バーミヤンの大仏破壊につながっていきます。


●タリバンが悪者になっていき、
 最後にはアメリカに叩き潰されるのを見ていると、
 大戦時の日本とイメージが重なってしました。

 どこかで歯車が狂ってしうことで、
 ひとつの国家が叩き潰されてしまうのです。

 ・アルカイダの軍事キャンプは、「クラスター爆弾」はもちろん、
  「バンカーバスター」や「気化爆弾」など、核兵器と通常兵器の
  中間にあるとまで言われるありとあらゆる兵器で、さながらその
  実験場のような凄まじい攻撃を受けたのだ。(p316)


●国際関係におけるメディア対策の重要性と、
 ひとつの国家を簡単に崩壊させる国際関係というものの重要性を
 感じながら、★3つとしました。


─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・デュプレは、徹底的に現地での活動を行いながら、
  同時に各国の外交官を動かし、国連や学者やさまざまな他の
  NGOにも声をかけ、それぞれ必ずしも仲がよいとは限らない者たちが、
  必要とあれば同じ目的のために協調できる体制をつくりあげていた。(p76)


 ・民主主義は堕落をもたらします。西洋の国々で、お金、性、
  道徳、あらゆる面でどのような腐敗した状況になっているか・・・
  かつて異教徒が押しつけてくる共産主義と戦い勝利しました。
  今、再び異教徒が押しつけてくる民主主義という悪と戦うのが、
  タリバン運動の中核です。(p275)


 ・ビンラディンは優れたPR戦略家である。それは、若き日に、
  対ソ連聖戦時代にやってきたパキスタンで世界各地からイスラム
  聖戦士を呼び集めるときから培われた、年季のはいったものである。
  (p327)


 ・私たちの世界が直面する最も大きな危機は、彼らの次の巨大な攻撃である。
  そこに核をはじめとする大量破壊兵器が使われることの現実的な危険性を、
  国連やアメリカやそのほかさまざまな機関や国は真剣に心配していること
  を隠していない。(p337)


▼引用は、この本からです。
大仏破壊」高木 徹、文藝春秋(2007/04)¥730
【私の評価】★★★☆☆

■関連書評■
a. 「外交敗戦」手嶋 龍一、新潮社
【私の評価】★★★☆☆
http://1book-day.com/blog/2007/03/06/

b. 「CIAは何をしていた?」ロバート・ベア、新潮社
【私の評価】★★★☆☆
http://1book-day.com/blog/2007/01/22/


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2007年3月27日

「大地の咆哮」杉本 信行、PHP研究所 :76点, 杉本信行 

大地の咆哮 元上海総領事が見た中国
杉本 信行
PHP研究所 (2006/06/22)
売り上げランキング: 4375
おすすめ度の平均: 4.0
4 読み物としては面白いですが・・・・
5 一人の外交官の視点からのリアルな中国。
4 中国の実像を知る
【私の評価】★★★☆☆76点


■著者紹介・・・杉本 信行(すぎもと のぶゆき)

 1949年生まれ。1973年外務省入省。
 1981年経済協力局技術協力第一課主席事務官。
 1983年在中華人民共和国日本国大使館一等書記官。
 1986年在フランス日本国大使館一等書記官。
 1991年経済協力局国際機構課長
 1993年交流協会総務部長(台湾)
 1996年欧州連合日本政府代表公使。
 1998年在中華人民共和国日本国大使館公使。
 2001年在上海日本国総領事館総領事。
 2005年日本国際問題研究所主任研究員。
 2006年8月肺がんにて永眠。

 ・2004年春、上海の日本総領事館で、一人の館員が、
  このままでは国を売らない限り出国できなくなるとの遺書を
  残して死んだ。私は、そのときの総領事であった。(p6)


─────────────────

●著者は外務省において中国スクールの一員として、
 中国に深く関わってきたキャリア官僚です。

 2005年に、著者が総領事であった上海の日本総領事館で
 館員が中国の諜報活動により自殺したことが発覚し、

 さらには自ら末期ガンであることがわかり、闘病生活の中で
 この本を執筆しています。
 外交官の本音が書かれてあると考えて良いでしょう。


●これまで日本は、日中友好の名のもとに、
 一貫して中国の経済発展のために金を出し、
 国際的にも中国を擁護してきました。

 そして実際に中国が経済発展した根底に
 日本のODAが貢献したことは明らかなようです。

 ・89年6月、天安門事件が起こった。事件後、ヨーロッパ各国は
  手のひらを返すように、対中姿勢を硬化させて経済制裁に踏み切り、
  ココムに関してもより厳しさを増した。・・四面楚歌に陥った
  中国を逆に擁護する立場をとったのは日本だった。(p101)


●また、中国の経済発展にともない民間企業が
 中国に進出しているようですが、
 進出している企業がトラブルにあうことが多いようです。

 それについての記述は、やや他人事のように感じましたが、
 それは外交官には普通の感覚なのでしょう。

 ・大使館に持ち込まれるさまざまな苦情・・・中国企業側が
  判決を履行しない・・・工場を建設していざ操業という段階
  になって、日本企業が移転を迫られた・・・労務管理や売掛金
  回収のトラブルで、日本人が換金されるケース(p165)


●中国が国家として進めてきた反日教育、
 極悪非道な日本人というイメージは中国全土に浸透しており、

 すでに共産党でもコントロールできないくらい
 大きなものとなっているようです。

 さらには、そうした反日教育のために、
 中国指導部は日本に対し、強固な対日政策をとらざるをえない
 状況にもなっているわけです。

 ・日常的にTVドラマや記録映画を通じて、極悪非道な日本人の
  イメージが定着している。・・・そうしたイメージづくりは、
  これまではすべて共産党宣伝部が横断的に行ってきたわけである
  (p223)

 ・中国指導部としては、組織的あるいは偶発的な反日運動が、
  社会の各層に鬱積した不満のはけ口として一般大衆を巻き込んだ
  かたちで発展した場合には、これらのエネルギーが直接党あるいは
  政府批判に向かわないように、強固な対日政策を取る危険性が
  きわめて高まっていると指摘せざるを得ない。(p236)


●日本という国が、経済援助により共産党独裁国家を崩壊させ、
 民主的な国家へ導く深遠な戦略を成功させた国家となるのか、

 それとも、経済援助により敵国を発展させ、
 その国に滅ぼされる愚かな国家となるのか、

 中国へ行ったことがない私は判断できませんが、
 その判断は歴史が示してくれるのでしょう。


─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・文化大革命末期の体験を含む長年の中国勤務を通じ、
  正直「中国に生まれなくてよかった」と思うこともあった。
  (p7)


 ・金を人に貸すならば、あげたつもりで貸さねばならない。
  借りた金は返さないのが原則なのに、返すとは馬鹿げている、
  といった風潮が少なからずある。(p262)


 ・実際、中国の党幹部や役人はすさまじい特権を享受している。
  日本でもマスコミが伝えてはいるが、日本人にはなかなかイメージ
  できないかもしれない。(p220)


 ・胡耀邦は胡錦濤の恩人である。その恩人であり最も親日的であった
  胡耀邦が、個人的な信頼関係を築いたとされる中曽根総理の靖国
  神社参拝問題で批判を受け、その後失脚してしまった。それ以来、
  靖国神社問題は中国の指導者にとり、いわば鬼門となった感がある(p244)


▼引用は、この本からです。
大地の咆哮」杉本 信行、PHP研究所(2006/06)¥1,785
【私の評価】★★★☆☆76点


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2007年3月 9日

「ウルトラ・ダラー」手嶋 龍一 :79点, 手嶋龍一 

ウルトラ・ダラー (新潮文庫)
【私の評価】★★★☆☆79点


●北朝鮮が、拉致をしていたこと、百ドル紙幣を偽造していること、
 核兵器を持っていること、ミサイル技術・巡航ミサイルを開発して
 いることは、外交上の常識のようです。

 本書はフィクション・サスペンス小説仕立てですが、
 こうした外交の常識を織り込んで、どんどん読ませてくれます。


 ・「北の独裁国家は、これほど精巧な紙幣を作り上げ、その資金を
  いったい何に使おうとしているのでしょうか」・・・
  「核弾頭を運ぶ長距離ミサイル。そう、人類を破滅に導きかねない
  大量破壊兵器を手にする資金に充てようとしている-私は
  そう確信しています。(p100)


●精密な偽百ドル札が発見されたことを発端に、
 その製造者を特定するため、各国の諜報機関が動き出します。

 そして、巡航ミサイルを東欧から入手しようとする
 北朝鮮と、それを阻止しようとする西側各国の諜報機関。


●本書が発行されたのが18年3月、北朝鮮ミサイル発射が18年7月、
 北朝鮮が核実験を実施したのが18年10月ということを考えれば、

 本書がいかに正確に状況を把握して書かれているか
 ということが分かります。


 ・北朝鮮に精巧を極めた偽札を刷らせて、核弾頭を搭載できる
  巡航ミサイルを持たせる。それによって日本への抑止力とする-
  こうしたシナリオの背後には中国の意志があったというのですか
  (p314)


●サスペンス小説としては力不足ですが、
 ノンフィクションとして外交・諜報の世界を見ることができました。

 国民には知らされない事実が、
 外交にはあることを実感しながら、★3つとしました。


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・「これじゃ新札だ。どこにも瑕なんかありやしない」・・・
  北回りルートで初めて姿を見せた「百ドル紙幣」は、
  その巧緻を極めた出来栄えから「ウルトラ・ダラー」と
  呼び慣わされるようになる。(p39)


 ・北の独裁国家は、もう三十年も前に、印刷熟練工を何人も
  日本から拉致していた。・・・敵国の紙幣を偽造させるために
  拉致したんだ。(p115)


 ・アメリカは、もう三十年も前に金との交換を停止してしまっている。
  こうしてドルと銘打った紙切れが増産されている現場にいると、
  アメリカこそ壮大な紙幣乱造国家だという気がしてくるな(p110)


▼引用は、この本からです。

ウルトラ・ダラー (新潮文庫)
手嶋 龍一
新潮社
売り上げランキング: 33503
おすすめ度の平均: 3.0
3 興味深いけど面白味は...
4 ジャーナリストが外交問題にふみこんだ小説
1 何が書きたいのか
3 盛り上がりや危機感がない
5 知的な駆け引きが楽しめる

【私の評価】★★★☆☆79点


■著者紹介・・・手嶋 龍一(てしま りゅういち)

 1949年生まれ。NHK政治部記者として外交・安全保障を担当。
 その後、ワシントン特派員、ハーバード大学国際問題研究所フェロー、
 ボン支局長、ワシントン市局長。
 2005年独立して外交ジャーナリスト・作家となる。


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2007年3月 6日

「外交敗戦」手嶋 龍一 :75点, 手嶋龍一 

外交敗戦―130億ドルは砂に消えた (新潮文庫)
【私の評価】★★★☆☆75点


●1990年8月、イラク軍がクウェート侵攻を開始しました。

 それは、石油を中東に依存する国々にとって
 中東の石油資源をイラクに握られるという許しがたい暴挙でした。

 この本は、1991年の湾岸戦争において、
 アメリカが、そして日本がどう動いたかを記録した
 ドキュメントです。


 ・「大統領、つい先ほど、イラク軍がクウェートに侵攻しました」
  ・・・「特別声明」が用意され、大統領の決裁を得る。
  スコウクロフトはブッシュに「長期戦になりますから」と仮眠を
  とるよう促し、自分はアメリカ国内にあるイラクとクウェートの
  資産を凍結するための措置にとりかかった。(p56)


●「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、
 われらの安全と生存を保持しようと決意した」国にとって、

 クウェートが侵略されるというケースは想定外であり、
 自衛隊を派兵することなど、法的にも政治的にも不可能でした。

 日本の外交には、選択肢があまりにもなかったのです。


 ・アメリカ国民・・・やり場がない怒りをホワイトハウスに突きつけた。
  「クウェートの王族のために、なぜわれわれの息子が砂漠で戦い、
  血を流さなければならないのか」・・・アメリカの政府と議会は、
  中東の石油に最も依存する日本に同じ憤懣を投げ返した。
  「日本は、原油輸入の実に七割を中東に頼っており、・・・なぜ、
  他の経済大国のために血を流さなければならないのか・・・」(p20)


●また、それに拍車をかけるように、
 外務省、運輸省、大蔵省など関係省庁間の情報共有もうまくいかず、

 輸送協力では、それぞれの担当者が努力するものの、
 かならずしもアメリカの要望に的確に対応はできなかったようです。


 ・アメリカから輸送協力の要請を受けながら、日本政府は、法律の
  規定がないこともあって、国としてこれに直接応じることが
  できなかった。このため、官僚たちが個人のつてをたどって
  内航船主に頼み込み、かろうじて日の丸輸送船を仕立て上げている。
  海上自衛隊や海上保安庁の船こそ、こうした危機に国を背負って
  赴くべきではないのか・・・(p158)


●湾岸戦争において日本は130億ドル(約1.5兆円)もの
 資金協力をアメリカに行いましたが、

 ここでも、外務省・大蔵省という組織がばらばらに交渉することで、
 支払い条件が不明確であったりして、
 アメリカからは感謝どころか、不満の声が出ていたようです。


 ・のちにクリントン政権で国防長官の要職につくことになる
  レス・アスピン下院軍事委員長は、・・・日本を名指しで
  非難した。「日本は特別な批判を受けてしかるべきだ。
  もてる財力を思えば、不承不承、仕方なく財布を開いたと
  言えないか。日本に拠出を呑ませるためにわれわれはどれほど
  大変な思いをしたことか。ようやく金を出すことになったと
  思ったら、もったいぶってなかなか渡そうとしない。(p377)


●そして、戦後には、130億ドルもの資金を投じながら、
 クウェートにさえ感謝されない日本という結果が残りました。

 ・在ワシントンのクウェート大使館は・・・全米の有力紙に派手な
  全面広告を掲載した。・・・<ありがとう、アメリカ。そして
  グローバル・ファミリーの国々>・・・なぜかJAPANの文字は
  見えない。(p400)


●湾岸戦争においては、それぞれ個人は、それぞれのポジションで
 ベストを尽くしたのでしょう。

 しかし、歴史としてこうした結果が残ったとすれば、
 官邸、官僚組織が仕組みとして何かがおかしい
 ということの証明なのかもしれません。


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・戦争は同盟の墓場だ・・・英国外交官にして詩人でもある友人が
  語った言葉を私はいまも忘れない。・・・アメリカが持てる国力の
  すべてを注ぎ込んで遂行する戦いに、同盟国日本が消極的な姿勢しか
  見せないことに、アメリカの世論は苛立ち、議会やメディアでは日毎、
  対日攻撃が棘々しさを増していた。(p412)


 ・その頃、イギリスのヒース元首相や日本の中曽根首相、ドイツの
  ブラント元首相が相次いでバグダッドを訪問し、人質の解放を
  求める動きに出ていたことに、アメリカは苛立っていた。
  ホワイトハウスは「報道官声明」の形で、これらの人質救出外交は
  「イラク側の術中にはまる恐れがある」と警告している。(p42)


 ・「一度目は騙すほうが悪い。が、二度騙されるのは騙される奴が悪い」
  ・・・フセインの次なる獲物は我がサウジアラビアではないのか・・・。
  (p59)


 ・国連安保理は、多国籍軍によるイラクへの武力行使を事実上認めた
  「決議678」を圧倒的多数で可決した。・・・反対はキューバと
  イエメンの二カ国。中国は棄権した。・・・その二日後、ブッシュ
  政権は、イエメン政府に対して七千万ドルの経済援助の中止を通告
  した。(p75)


 ・松永には、軍靴に霞ヶ関外交を蹂躙されながら、毅然とした
  抵抗を試みようとしなかった戦前の外務省への根深い批判があった。
  ・・・戦後、統帥権という名の権力機構は消滅したが、大蔵省は、
  予算編成権を通じて、各省庁の頂点に立っていた。その強大な
  支配力のゆえに、大蔵省の持つ政治権力は「財政統帥権」とすら
  呼ばれることがある。(p395)


▼引用は、この本からです。

外交敗戦―130億ドルは砂に消えた (新潮文庫)
手嶋 龍一
新潮社
売り上げランキング: 109650
おすすめ度の平均: 4.0
4 専門家の目を通してだからこそ見える全体像
5 ジャーナリズムの真骨頂
4 "敗戦"に思わず涙する本
3 手嶋氏の国籍はアメリカなのか ?
2 何故に☆2つなのか・・・

【私の評価】★★★☆☆75点


■著者紹介・・・手嶋 龍一(てしま りゅういち)

 1949年生まれ。NHK政治部記者として外交・安全保障を担当。
 その後、ワシントン特派員、ハーバード大学国際問題研究所フェロー、
 ボン支局長、ワシントン市局長。
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2007年2月28日

「戦争広告代理店」高木 徹、講談社(2005/06)¥650 : 

ドキュメント 戦争広告代理店
高木 徹
講談社 (2005/06/15)
売り上げランキング: 22494
おすすめ度の平均: 4.5
4 イメージの管理
4 社会人としての「実用書」
5 戦争と企業 モスレム

【私の評価】★★★☆☆

■著者紹介・・・高木 徹
 
 1965年生まれ。大学卒業後、NHKに入局。現在報道局勤務。
 2000年放送のNHKスペシャル「民族浄化~ユーゴ・情報戦の内幕」
 をもとに本書を執筆。講談社ノンフィクション賞・新潮ドキュメント賞
 を受賞。



●旧ユーゴスラビアで勃発したボスニア紛争は、
 世界各地で起きている民族間の紛争の一つでした

 しかし、PR戦略により、セルビア人は極悪人、
 ボスニア・ヘルツゴビナは被害者という
 世論が形成されました。

 ボスニア・ヘルツェゴビナ側が、
 セルビア側を民族浄化という言葉を用いて非難することで
 セルビア=民族浄化主義というイメージが定着したのです。

 ・「民族浄化」という言葉がなければ、ボスニア紛争の結末は
  まったく別のものになっていたに違いない。・・・
  ミロシェビッチ元大統領が、ハーグの監獄で失意の日々を
  送ることもなかっただろう。(p110)


●その後、NATOのコソボ空爆から
 ミロシェビッチが国際戦犯法廷で裁かれるまで
 セルビア側に不利な状況が続くこととなります。

 (国際戦犯法廷では、セルビア人虐殺の罪で、クロアチア人も逮捕されています)

 ・セルビア側は、経済制裁と、初動の遅れによって優秀な
  PR企業を雇って対抗することができなくなってしまった。
  もし彼らが有能なプロの助けを借りることができていれば、
  たとえばモスレム側が作っていた「収容所」を発掘し、
  問題を拡大してオマルスカ「強制収容所」のダメージを
  相殺することもできたかもしれないのだ。(p381)


●欧米の世論を日本の味方とするために、PR会社、ロビー活動を
 一抱えにしてしまえという人もいますが、
 そこまでしなくても、ある程度の国家としてのPR活動は重要でしょう。

 ・私はタトワイラー報道官を通じて、シライジッチ外相に、
  西側の主要なメディアを使って欧米の世論を味方につけることが
  重要だと強調した(ベーカー長官)(p33)


●日本の周辺では、
 「ザ・レイプ・オブ・南京」の書籍出版と映画化の動き、
 米国連邦議会における「従軍慰安婦問題で日本政府に謝罪を求める決議案」
 など、

 日本の評判を落とそうとする勢力が、
 活発にPR活動をしているように感じるのは私だけでしょうか。

 ・どんな人間であっても、その人の評判を落とすのは簡単なんです。
  根拠があろうとなかろうと、悪い評判をひたすら繰り返せばよいのです。
  ・・・たとえ事実でなくとも、詳しい事情を知らないテレビの
  視聴者や新聞の読者は信じてしまいますからね。(ハーフ)(p345)


●日本がセルビアのようにならないために、
 重要な警鐘を鳴らす一冊ということで★3つとしました。


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・ハーフは、・・・いったんクロアチアと契約をかわすと、・・・
  プロのPR技術を駆使してクロアチア独立戦争がいかに正当な
  ものか、セルビア人がいかに汚い連中であるかを世界にアピール
  していた。(p23)


 ・当時はまだ電子メールがない時代でしたから、ファックスが最も
  効率的な方法でした・・・そのすべてに、担当者の個人名が記載され、
  送ったファックスが必ず特定の誰かの目に留まるように配慮されている。
  (p56)


 ・ワシントンは三角形でできています。その三つの頂点にあるのは、
  大統領に率いられる政権、連邦議会、そしてメディアです。・・・
  この中にある一つを動かしたければ、他の二つを動かせばいいのです。
  (ジム・マザレラ)(p82)


 ・(米国では)政権が代わるごとに主要スタッフや高級官僚が
  入れ替わり、優秀な人材が民間と役所を往復する、という
  日本では考えられないやり方は、彼らがPRのセンスを磨く
  という意味でプラスに作用しているのは間違いない。(p138)


 ・「セルビア人の残虐行為」の情報の中には、根拠のない、
  荒唐無稽なものお多かった。・・・迫撃砲をわざと病院の
  脇に設置するのです。こちらが撃てば当然敵が反撃してきて、
  ・・・砲弾がとなりにある病院の小児科病棟にも落ちます。・・・
  国際世論をひきつけるために、自分の国民を犠牲にするやり方ですよ。
  (p263)


 ・中国・韓国では、戦後六十年を経ていまだに日本への反感が
  忘れられるどころか、逆に燃え盛っているように見える。
  ・・・日本の国家的なPR戦略の欠如を、一つの、しかし
  大きな要因として指摘せざると得ない。(p390)


▼引用は、この本からです。
戦争広告代理店」高木 徹、講談社(2005/06)¥650
【私の評価】★★★☆☆


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2007年2月 9日

「為替がわかれば世界がわかる」榊原 英資、文藝春秋(2002/12)¥500 : 

為替がわかれば世界がわかる
榊原 英資
文藝春秋
売り上げランキング: 2956
おすすめ度の平均: 4.0
3 ミスター円と呼ばれた男
4 読みやすいです
4 為替を通じて情報戦の基礎を学ぶ

【私の評価】★★★☆☆

■著者紹介・・・榊原 英資(さかきばら えいすけ)

 1941年生まれ。東京大学、同大学院卒業後、大蔵省に入省。
 ミシガン大学で経済学博士号取得。97~99年財務官を務める。
 現在、慶應義塾大学教授。


●「ミスター円」と呼ばれた著者が、為替市場での経験を通して、
 自分の思いを語る一冊です。


●為替という世界を表現すれば、
 ( 予測 )ができないということです。

 予測ができないにしろ、その時、その時で
 市場は動いていくわけですから、
 その市場参加者の動きを予想することが勝負となります。

 ・大切なことは、何が「正しい」のかを当てることではなく、
  市場参加者の多くがどう判断し、どう行動するかを当てる
  ことなのです。(p140)


●国際的に認知される著者から見ると、
 日本の仕組みには不満のあるところも多いようです。
 その点を一番書きたかった言いたかったのかもしれません。

 ・日本では「記者クラブ加盟各社に公平に」という談合ルールが
  できていて、総理大臣が戦略的にメディアを選んで登場する
  ことすら、不可能な仕組みになっているのです。
  日本のマスメディア業界は、・・・もっとも規制が強く、
  カルテル的体質が強い業界の一つです。(p74)


●最近、FXやらデイトレードなどを煽る人が多いようですが、
 世の中に確実に儲かるものはないという事実がある以上、
 何か危ういものを感じるのは私だけでしょうか。

 ・名財務長官といわれたロバート・ルービンが「世の中に確かなもの
  など決して存在せず、すべての現象は確率論的なものである」
  という哲学を持っている(p214)


●為替を魚にして、「ミスター円」と呼ばれた高級官僚の
 世の中の見方が垣間見れる一冊でした。★3つとします。


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・情報ほど価値の高いものはないなずなのに、多くの日本人は
  情報を水と同じようにみんなタダだと思っているふしがあります。
  為替の世界は、五分間で何百億円も設けるということが可能な世界です。
  ・・・市場では情報をいかに多く掴んでいたのかと尊敬のまなざしで
  見られるのです。(p53)


 ・不良債権処理ビジネスは、本来なら、日本の銀行や証券会社
  がやるべきことなのです。ところが彼らは自分でリスクを
  取ろうとしません。・・・外資だけを「ハゲタカ・ファンド」
  と悪玉扱いするのはフェアな議論とは言えません。(p91)


 ・面白いのは、アメリカの政府関係者は、電話で話すときと
  対面して一対一で話すときでは、話し方にかなり落差がある
  ことです。・・・彼らは盗聴を恐れていたのです。(p165)


 ・私の場合、書店に山と並ぶ新刊書の中から、どういう方法で
  読みたい本を選んでいるか。まず、「この人は本物だ」
  「この人が書くものは信頼できる」という筆者を各ジャンルに
  見つけておき、その人からたどって読む本の幅を広げていく
  方法を取っています。(p173)


▼引用は、この本からです。
為替がわかれば世界がわかる」榊原 英資、文藝春秋(2002/12)¥500
【私の評価】★★★☆☆


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2007年1月22日

「CIAは何をしていた?」ロバート・ベア、新潮社(2005/12)¥860 : 

CIAは何をしていた?
CIAは何をしていた?
posted with amazlet on 07.01.25
ロバート ベア Robert Baer 佐々田 雅子
新潮社
売り上げランキング: 11491
おすすめ度の平均: 4.5
4 見ざる言わざる聞かざる
5 その工作員は情熱溢れる営業マンだった
5 リアルスパイストーリー

【私の評価】★★★☆☆

■著者紹介・・・ロバート・ベア

 1953年ロス生まれ。大学卒業後、1976年CIA入局。
 主に工作本部対テロ部門のケースオフィサーとして勤務。
 インド、レバノン、タジキスタン、イランで勤務。
 1997年CIAから辞任。
 1998年、CIAキャリアインテリジェンスメダルを受賞。



●著者は、中東を中心に活躍した元CIA工作本部の一員であり、
 この本は、その工作活動を赤裸々に記した一冊です。

 著者は、スパイを運営するケースオフィサーであり、
 スパイの獲得から運営までの活動内容を暴露しています。

 ・ケースオフィサーというのはエージェントを指揮するCIAの
  幹部局員だ。・・・ケースオフィサーの指示で、エージェントは
  機密、計画、文書、コンピューターのテープ、その他何でも盗みだす。
  (p55)


●フセイン大統領時代のイラクでの活動では、
 現在のイラク大統領タラバニ氏とのクーデター計画など、
 著者は、CIAの活動の中心となっていました。


●著者の不満は、1990年代、ソ連の崩壊に伴い、CIAが
 スパイからの情報収集よりも、盗聴、衛星写真、電子盗聴など
 人を頼らない活動に重点を置くようになったということです。

 そのために、2001年9月11日に発生した同時多発テロを
 未然に防ぐことができず、その後の実行組織の捜査も
 難しくしていると断言しています。

 ・当時も、今も、将来でさえも、写真が建物の内側、あるいは
  建物に居住している人間の頭の中で何が起きているかを
  教えてくれるということはあり得ない。それを知るには、
  人間の情報源が必要だ。(p160)


●平成16年5月に、上海の日本領事館で、一人の電信官が
 「自分はどうしても国を売ることはできない」という遺書を残して
 自殺しましたが、

 この本と同じような活動が、日本でも行われていると考えるのが
 妥当でしょう。

 情報機関の活動を知ることのできる一冊ということで、
 ★3つとしました。



■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・自分のエージェントの命以上に大切なものはない、ということだ。
  ・・・エージェントを守ってくれないという噂がひろまれば、再び
  CIAのためにスパイしようというものはいなくなってしまう。(p99)


 ・深く探れば探るほど、カスピ海諸国のオイルマネーがワシントン
  中に撒き散らされているのがわかった。カスピ海諸国の大使館の
  ファックス専用線は、ホワイトハウスへのアクセスを売り込む
  ロビイストや法律事務所からの提案で焼きついていた。(p471)



▼引用は、この本からです。
CIAは何をしていた?」ロバート・ベア、新潮社(2005/12)¥860
【私の評価】★★★☆☆


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2007年1月17日

「中国「反日」の末路」長谷川 慶太郎、東洋経済新報社(2005/5)¥1,575 : 

中国「反日」の末路
中国「反日」の末路
posted with amazlet on 07.01.18
長谷川 慶太郎
東洋経済新報社
売り上げランキング: 189364
おすすめ度の平均: 3.5
3 手際よくまとめているが、客観データは乏しいか・・・
2 中国についての将来予測は難しい
5 「反日デモ」の意味と、日本と中国・北朝鮮の今後もよく分かりました

【私の評価】★★★☆☆

■著者紹介・・・長谷川 慶太郎(はせがわ けいたろう)

 1927年生まれ。新聞記者、証券アナリストを経て、
 国際派エコノミスト。著書多数。


●中国共産党の崩壊を予言した一冊です。


●著書の考えでは、米国とソ連が対立した「冷戦」はソビエト共産党の
 崩壊で幕を閉じたように、

 中国と日本が対立する「冷戦」も中国共産党の崩壊で
 幕を閉じると結論付けています。

 ・東アジアでは、まだ「冷たい戦争」が続行している。その一方の相手、
  すなわち東側陣営の中核としての中華人民共和国が存在し、それに
  対抗する西側陣営の一員としての日本との間に一連の「対立関係」
  が発生している(p4)


●これは、中国共産党は崩壊するか、しないかではなく、
 「いつ崩壊するのか」という認識です。


●その根拠としては、
 現在でも中央政府が地方をコントロールできていないこと。

 ・発電所の新設工事をめぐって、今や中央政府の認可を得ず、
  一方的に、かつまた一種の「やみ」の形で、大型の発電所の建設工事が
  中国全土の至るところで展開し始めている。(p169)


●中国共産党の最高幹部ですら、資産を海外に逃避させていること。

 ・中国共産党の最高幹部の家族ですら、自分たちの権限を
  利用して自分の家族の資産を海外で保有しようとする。
  すなわち米ドル、日本の10万円金貨であり、人民元ではない。(p190)


●携帯電話の普及で、中国共産党が制御できないデモが発生する
 可能性があることなどです。


●私自身、中国に行ったことがなく、
 評価が難しいことから、★3つとしました。

 実際に、中国共産党が崩壊したとき、★5つになる本です。



■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・中国共産党の一党独裁体制が消滅した後の国家権力を掌握する組織は
  「人民解放軍」であって、現在おそらく人民解放軍の管理体制と
  なっている七大軍区がそれぞれ独立国家として中国を分割し、
  統治するという事態を想定するのが最も妥当であろう(p37)


 ・台湾で一番大きい問題になっているのは俗に言う「越南者」の大量
  発生である。例えば台湾のどの漁港においても、大量の「中国人漁民」が
  のった老朽化した漁船の群れが係留されたままで
  動けないままにつながれている。(p61)



▼引用は、この本からです。
中国「反日」の末路」長谷川 慶太郎、東洋経済新報社(2005/5)¥1,575
【私の評価】★★★☆☆


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2006年11月30日

「小室直樹の中国原論」小室 直樹 :78点, 小室直樹 

小室直樹の中国原論
【私の評価】★★★☆☆78点


●私は中国で暮らしたことがないので、
 この本を評価する立場にないのかもしれませんが、

 この本に書かれた中国は、私の関係したカザフスタンに
 よく似ているという印象を持ちました。


●まず、人脈を大切にするというところ。

 カザフスタンでは親族が権力のある地位にあると、
 仕事が非常に進みやすいようです。

 中国も同じようですが、逆に言うと、人脈がないと
 なかなか仕事が進まないということになります。

 
 ・人間関係の深さに応じて、相手はこちらの要求をきいてくれる
  ようになっていく。深い人間関係には大きな要求。浅い人間関係には
  小さな要求。人間関係がなければ、要求は少しも通らない。(p74)


●そして、会計の知識が乏しいというところ。

 カザフスタンも中国も元は共産国家ですから、複式簿記の考え方は
 希薄なはずです。

 たとえば、減価償却という概念はありませんから、
 古い設備は、古いまま。

 カザフスタンでは、新しい設備に更新する資金を内部留保するような考え方を
 している人はかなり少ないという印象でした。(中国ではどうなのでしょう?)


 ・いまの中国には、経済援助よりも経済学援助が必要なのである。・・・
  中国にとって大切な経済学の道具の一つが複式簿記と言える。(p345)


●最後に、契約は守られない傾向があります。

 カザフスタンでは、契約書を読まずに、
 自信満々に交渉する人が多かったように記憶しています。

 中国でも、契約は簡単に変更可能だと考えているようですね。


 ・中国では、契約は交渉の始まりである。「これから一緒に仕事をしましょう。
  そのための交渉を本気になってやりましょう」。そのための意思表示なのである。
  ・・・中国人は「契約が結ばれた直後ですら変更が可能だと思っている」
  という資本主義の住人にとっては驚倒すべき命題も、まかりとおる。(p352)


●日本の常識は世界の非常識ということもありますので、
 海外で仕事をする場合には、
 その土地の文化を学んでおきたいものです。

 中国に関係する仕事をされている方にお勧めします。
 ★3つとしました。


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・こんなとき、アメリカならどうする
  科学者を集めて学問的に研究する。
  第二次世界大戦のとき、アメリカは戦争に勝つために、
  あらゆる分野の学者を集めて研究させた。
  このとき日本はどうしていた。(p4)


 ・これらの本から、「中国人とのつきあい方」や「中国的交際術」に
  ついての情報を得るのはよい。・・・とくに大切なことは、中国人と
  つきあう場合のタブーを知ることである。しかし、・・・「こうすれば
  必ず中国人の信頼が得られる」という確実な方法がない(p135)


 ・アメリカでは政府と企業の争いは裁判所が決定する。日本では、
  そういった争いは殆ど裁判所には持ち込まれない。行政指導なんて
  法術の発想なのだ。しかし、その本家は中国だ。だから、
  中国に進出した日本企業はどんどんやられてしまう。(p209)


 ・法は王(政治権力)のためにある。したがって役人(権力者)は、
  これをどう解釈してもよろしい。この考え方が根底にある。だから、
  表面上は欧米資本主義の法律のように見えたとしても、中国の法律は、
  役人の勝手な解釈を許す。(p248)


▼引用は、この本からです。

小室直樹の中国原論
小室直樹の中国原論
posted with amazlet at 09.06.08
小室 直樹
徳間書店
売り上げランキング: 21140
おすすめ度の平均: 5.0
5 小室さんの中国理解を基本に
5 世界は日本ほど甘くはない!
5 最良の指南書
5 中国理解の最良のテキスト
5 該博な知識、読みやすい内容

【私の評価】★★★☆☆78点


■著者紹介・・・小室 直樹

 1932年生まれ。大学卒業後、フルブライト留学生となり渡米。
 マサチューセッツ工科大学、ミシガン大学、ハーバード大学で、
 経済学、心理学、社会学、統計学を学ぶ。その後、東京大学
 大学院法学政治学研究科修了、法学博士。
 社会、政治、経済について評論家として活躍。著書多数。


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2006年11月20日

「私はいかにして「日本信徒」となったか」呉 善花、PHP研究所 :呉善花 

私はいかにして「日本信徒」となったか (PHP文庫)
【私の評価】★★★☆☆


●私は、仕事の関係で、カザフスタン人、
 韓国人、台湾人、ロシア人と仕事をすることがあります。

 海外の人と仕事をするならば、
 やはりその文化について事前に学ぶ必要があるでしょう。


 ・日本では「親しき仲にも礼儀あり」を重んじるが、
  韓国では逆に「親しき仲には礼儀なし」を重んじる。(p46)


●この本を読むと、韓国から日本に留学した呉 善花さんが、
 最初は日本の良さに気づき、
 そして日本人の冷たさに傷つき、
 そしてより両国の文化の違いを学んだ経緯がわかります。

 そうした誤解や悩みは、やはり文化の違う国であれば、
 しかたがないことではありますが、
 文化の違いを消化するためには時間が必要なようです。


 ・韓国で聞かされていた日本のイメージが好転するのが一年目。
  日本とぶつかり合うのがニ、三年目。
  日本のよさも悪さも、韓国のよさも悪さも、客観的に見えてくるのが
  五年目。(p76)


●たとえば、韓国では、仲良くなると女性同士で手をつなぐ
 ことがあるようですが、日本では普通ではありません。
 (カザフスタンでも腕を組んでいるのをよく見ます!)

 そうしたちょっとした文化の差が、
 相互理解を妨げるのです。


 ・私はずっと不安な気持ちを抱えていた。
  たとえば、韓国では仲のよい友人とは腕を組んだり
  手をつないだりして歩くことが多いものだが、
  私がそうしようとすると、スッと逃げられてしまう。(p44)


●韓国人と仕事をしようという人には、
 両国の文化の差を学ぶのに最適の本だと思います。

 今後も日本と韓国の相互理解が進むことを祈念して、
 ★3つとしました。


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・日帝時代を頑迷に反省しない日本人-それは許さないという
  反日意識を強くもっていた私は、どこへ行っても優しく親切な
  日本人、どこへ行っても整然としてきれいな日本の街並みに触れて、
  何か肩透かしをくわされた感じがした。(p16)


 ・韓国では、物をつくる人、物を売る人を一段下に見て蔑視する
  風潮がある。また、つくる人や売る人のほうにも、いい加減な
  ものを平気でつくったり売ったりする傾向が強い。(p36)


 ・一般的な韓国知識人にとっての日本に対する姿勢は、本当は
  反日というよりは、優劣の問題なのである。ようするに
  自民族優位主義(エスノセントリズム)が韓国知識人の支柱
  なのである。(p169)


▼引用は、この本からです。

私はいかにして「日本信徒」となったか (PHP文庫)
呉 善花
PHP研究所
売り上げランキング: 164198
おすすめ度の平均: 4.5
5 ・・「日本信徒」には 引くが・・
5 これはこれで興味深いが・・・
4 筆者の半生を通して語られる日韓文化比較
5 精神的葛藤の上で日本の良さを知る
5 個性と運命がもたらした「日本教」との出会い

【私の評価】★★★☆☆


■著者紹介・・・呉 善花(お そんふぁ)

 1956年生まれ。韓国女子軍隊経験を持つ。
 1883年に来日、大東文化大学英語学専攻。
 東京外国語大学大学院修士課程修了。
 現在、拓殖大学日本文化研究所客員教授。


【関連図書】

「日本人 中国人 韓国人」金文学、白帝社
「日本人を冒険する」呉 善花、PHP研究所
「韓国人につけるクスリ」中岡 龍馬、オークラ出版
「スカートの風」呉 善花(お そんふぁ)角川書店


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2006年11月 5日

「世界の日本人 ジョーク集」早坂 隆 :早坂隆 

世界の日本人ジョーク集 (中公新書ラクレ)
【私の評価】★★★☆☆


●私もカザフスタンに1年半ほど滞在していましたが、現地の人からは
 日本人に対して一種の尊敬に似た感情があるように感じました。

 そして、外国人はジョークが好きですから、
 そうしたホンネがジョークからわかることがあるのです。


●本書では、ジョークを紹介しながら、世界の人々が
 日本と日本人をどのように見ているのか、紹介した一冊です。

 
 ・ルーマニア人は自分たちの国に対して『貧しい国』『東欧の小国』っていう
  自虐的なイメージを持っている。『あの豊かで優秀な日本人が、こんな
  ルーマニアなんかに来るはずがない。中国人に違いない』って思うんだよ。
  (p23)


●著者は東欧、中東からヨーロッパの滞在が長く、
 日本から遠い国々では、日本はお金持ち、勤勉、無口、
 高品質、先進的な技術という印象があるようです。


●外国の人はジョークが好きですから、
 ひとつでも覚えておいて、飲み会でのネタに使ってみては
 どうでしょうか。★3つとしました。


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・新製品が世に流通するまでには、全部で四つの段階がある。
  まず、アメリカの企業が新製品の開発をする。
  次にロシア人が、「自分たちは同じものを、もうすでに30年前に考え出していた」
  と主張する。
  そして、日本人がアメリカ製以上のクオリティのものを造り、輸出し始める。
  最後に、中国人が日本製のものに似せた偽物を造る。(p46)


 ・国際会議において有能な議長とはどういう者か。
  それはインド人を黙らせ、日本人を喋らせる者である。(p118)


 ・世界最強の軍隊とは?
  アメリカの将軍 ドイツ人の参謀 日本人の兵
  では世界最弱の軍隊とは?
  中国人の将軍 日本人の参謀 イタリア人の兵(p178)


▼引用は、この本からです。

世界の日本人ジョーク集 (中公新書ラクレ)
早坂 隆
中央公論新社
売り上げランキング: 4714
おすすめ度の平均: 4.0
3 知性あってのジョークなればこそ!
1 著者はジョークを理解していない
4 ジョークの中では比較的少ない日本ネタを集めたことを評価
4 期待しすぎないように読むべき本。
5 面白いです。

【私の評価】★★★☆☆


■著者紹介・・・早坂 隆(はやさか たかし)

 1973年生まれ。旅行雑誌の編集を経て、フリーのライターとなる。
 現地に密着したルポから旅行エッセイ、スポーツエッセイなどを手掛ける。
 2001年から2003年ルーマニアに居住。


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2006年10月11日

「中国人を黙らせる50の方法」宮崎 正弘、徳間書店(2006/7)¥1,680 : 


【私の評価】★★★☆☆

■著者紹介・・・宮崎 正弘

 1946年生まれ。学生時代、日学同の機関紙である「日本学生新聞」編集長。
 大学中退後、雑誌『浪漫』企画室長を経て、貿易会社を経営。
 「もうひとつの資源戦争」「日米先端特許戦争」「軍事ロボット戦」
 「中国、次の10年」「中国大分裂」「人民元大暴落」など著書多数。


●中国についてマスコミから多くの情報が流れていますが、
 現実とかけななれた報道が多いようです。

 これは、中国共産党宣伝部が、
 組織的にマスコミの統制を行っているからです。


 ・瀋陽領事館事件・・・いたいけな幼児を無慈悲に拘束する武装警官の
  現場をビデオに収め世界に配信した共同通信社に対して中国は
  ビザの継続などで散々な嫌がらせをかけた。(p115)


●そうした情報統制のなかで、この本は、
 中国のマイナス面を教えてくれる一冊です。

 中国には、日本とかけ離れた商習慣、民度の低さ、パートナ―の裏切り、
 共産党からの嫌がらせ・脅迫、台湾(米国、日本)との戦争など
 多くの危険が存在します。


 ・割り箸は2008年北京オリンピックの年から中国製は入ってこなくなる。
  理由は森林資源保護ということだが、ホンネは国内需要が間に合わなく
  なったからだ。いつでも「約束を破る癖」が身についている中国人に
  とっては、もっともらしい理由をつけて契約を破棄することなど
  なんでもないことなのである。(p24)


●それでも、将来、中国共産党が崩壊し、
 民主化される可能性もあり、
 そうなれば中国は未開の巨大市場となるわけです。

 つまり、そうした混乱をも考慮した長期的視野を持った
 中国投資が必要なわけです。


●中国についてのプラスの情報が溢れるなかで、
 現場のマイナス情報を得ることのできる一冊です。

 より現実を知るために読む価値があると考え、
 ★3つとしました。


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・1970年代から80年代にかけて中国は南シナ海を実効支配に及んだ。
  とくに南沙および西沙諸島をめぐってベトナム、マレーシア、ブルネイ、
  フィリピンなどと軍事的に小競り合いもあったが、岩礁に軍事施設を
  電光石火の早業で建設し、「ここは昔から、中国の領土、文句あっか」と
  居座る。(p104)


 ・中国を相手にするには、人質に取られ泥沼に入り込まないよう入念な
  警戒が常に必要である。戦前、日本人が中国で何をされたか?
  上海事件、南京事件、済南事件、そして通州事件から通化事件まで。
  いずれも日本人居住区が襲われ、多くが惨殺され、婦女子は強姦された
  うえ局部に棒を突っ込まれ、内臓が飛び出した遺体も多かった。(p97)


 ・中国の経済を牛耳る地下人脈を語るとき、出身地別の仕分けが必要である。
  ・・・いまも「上海閥」が政治ばかりか、中国のビジネス中枢を動かしている。
  ・・・胡錦濤は安徽省出身、トウ小平は四川省、毛沢東は湖南省出身。(p133)


▼引用は、この本からです。
中国人を黙らせる50の方法」宮崎 正弘、徳間書店(2006/7)¥1,680
【私の評価】★★★☆☆
(Amazonの評価: http://www.1bk.biz/chugoku.html


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2006年10月 3日



「中国よ、「反日」ありがとう!」宮崎 正弘、清流出版(2005/6)¥1,470 : 

中国よ、「反日」ありがとう!―これで日本も普通の国になれる
宮崎 正弘
清流出版
売り上げランキング: 42,990


【私の評価】★★★☆☆


■著者紹介・・・宮崎 正弘(みやざき まさひろ)

 1946年生まれ。学生時代、日学同の機関紙である「日本学生新聞」編集長。
 大学中退後、雑誌『浪漫』企画室長を経て、貿易会社を経営。
 「もうひとつの資源戦争」「日米先端特許戦争」「軍事ロボット戦」
 「中国、次の10年」「中国大分裂」「人民元大暴落」など著書多数。


●今、隣国ではどのようなことが行われているのか、
 この本が教えてくれます。


 日韓ワールドカップでの、韓国人の日本チームへの態度。
 中国での大使館や日系企業に対する反日デモ。


 そこに異常なものを感じた人は多いでしょう。


 ・日本が精一杯の善意でODAなどを通じて行ってきた経済援助が、
  中国から感謝されていないばかりか、過去の行為さえ
  踏みにじられたと認識する日本人が急増した。(p4)


●度重なる中国による靖国参拝批判、歴史認識批判の背後には、
 中国共産党による指導があります。


 反日教育から反日記念館まで、
 それは党の方針として、国家戦略として行われているのです。


 ・93年から江沢民前国家主席が開始した反日キャンペーン
  は全土203ヶ所に「反日記念館」をつくった。
  歴史の歪曲、改竄は朝飯前の国だけに展示は「反日一色」を
  機軸とする支離滅裂な内容(p76)


●こうした中国の事実を知ることは大切ではありますが、
 それを批判しても何も変わらないでしょう。


 反日が国益になるからこそ、政治的に反日を推進しているのであり、
 謝罪しても、金を出しても何も変わらないのです。


 今後、日本国民の一人として、どのような行動をとるべきか、
 冷静に考えていきたいものです。


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・十数年前に「中国侵略を『進出』と書き換えた教科書がある」
  と報道したメディアが多かったが、それが嘘とわかって訂正した
  新聞は産経だけだった。朝日新聞ほかは、誤報の訂正をしていない
  ため、いまも中国や韓国では「侵略」を「進出」と書き換えたと
  信じ込んでいる人が山のようにいるのだ。(p233)


 ・北朝鮮は核兵器を保有した(p112)


 ・言論の自由がない中国ではインターネットも
  24時間公安の監視下にある。(p146)


 ・ところで中国には「平和主義者」は不在である。
  中国で平和を叫んだりすれば、敵の五列と判断され、逮捕される。
  (p234)


▼引用は、この本からです。
中国よ、「反日」ありがとう!」宮崎 正弘、清流出版(2005/6)¥1,470
【私の評価】★★★☆☆
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2006年9月15日

「台湾論」小林 よしのり、小学館(2000/10)¥1,260 : 

新・ゴーマニズム宣言SPECIAL 台湾論
小林 よしのり
小学館 (2000/10)
売り上げランキング: 572
おすすめ度の平均: 3.92
5 This is a great book that everyone should read.
1 台湾美化しすぎだろ、これ
5 日本精神が残る「もう一つの隣国」

【私の評価】★★★☆☆

■著者紹介・・・小林 よしのり

 1953年生まれ。75年にマンガ「東大一直線」でデビュー。
 現在は雑誌「SAPIO」で「新・ゴーマニズム宣言」を連載中。

●一度、台湾に行きたいな~と思いつつ、
 台湾の歴史がマンガで気軽に読めそうなので、
 本書を手に取りました。


●1895年、日本は日清戦争に勝利し、
 清国より台湾と遼東半島の割譲を受けます。

 その後、台湾の原住民の抵抗にあいながらも、
 日本は台湾の近代化に努めました。

 ・もともと清は台湾を「化外の地」で
  絶対に根絶できない「四害」があると思っていた
  「四害」とは アヘン 匪賊 風土病 原住民であり
  どうせ「教化の及ばない所」だからと考え日本にくれてやったのである
  ところが日本はこの台湾を内地と同じかそれ以上の情熱を注いで
  近代化し始めたのである(p78)

●共通言語がなく識字率が低いことから教育に力を入れ、
 風土病の撲滅のため上下水道を整備しました。

 また、アヘンは国の専売にして闇の供給ルートを撲滅。
 農業の振興のためダムと水路を建設したのです。

 ・列強の植民地政策は3種類あった
  スペイン等が南米で行った「略奪型」
  イギリス等がインド等で行った
  原料を安く買い製品に加工して高く売りつける「搾取型」
  そして日本が台湾・朝鮮で行った「投資経営型」である(p146)

●しかし、1945年に日本は敗戦し、
 中国本土から国民党の残党がやってきます。

 しかし、中国国民党が持ってきたものは、
 略奪、横領、詐欺、無法、疫病だったのです。

 ・台湾に入ってきた国民党の軍隊や支那人たちは
  日本人に比べてあまりにみすぼらしく規範意識のない
  レベルの低い連中だった(p18)

●1947年には、そうした台湾人の不満が暴動に発展します。

 国民党の台湾行政長官 陳儀は話し合いをするとみせかけて
 時間を稼ぎ、大陸から軍隊を派遣してもらい、
 虐殺を開始。死者は3万人にも達したといいます。

●このように、オランダ、清、日本、国民党と外来者に支配されてきた
 台湾人が、自らの国家としての独立を果たせるのか、それとも、
 また隣国から支配されることになるのか、
 ますます、台湾に行きたくなってきました。
 ★3つとします。

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・今の日本人は昔の日本人に対して
  大変申し訳ないことをしていると私は思いますよ
  日教組の教育がよほど悪かったのか
  昔の日本人の偉業を一切教えず
  昔はただ悪かったと責めることばかりしている(許文龍)(p230)

▼引用は、この本からです。
台湾論」小林 よしのり、小学館(2000/10)¥1,260
【私の評価】★★★☆☆



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2006年9月13日

「ハゲタカは飛んでゆく」ラリー・S・ジュニア、実業之日本社(2003/1)¥900 : 

ハゲタカは飛んでゆく
ラリー・S. ジュニア Larry S. Junior 高木 ハジメ
実業之日本社 (2003/01)
売り上げランキング: 30,503
おすすめ度の平均: 4.56
3 いわゆる寓話的日米関係論か。
4 全てを鵜呑みにするのは危険。
5 要はこれをどう読むかでしょう。

【私の評価】★★★☆☆

■著者紹介・・・ラリー・S・ジュニア

 1953年、アメリカ生まれ。大学では経済学を学び、日本留学経験あり。
 アメリカ政府系のシンクタンク勤務を経て、現在は、アジア経済などを
 研究するフリーのストラテジスト(国家戦略専門家)

●2001年の同時多発テロから1年後に発行された一冊です。

 ちょうど、アメリカのアフガニスタン侵攻が終わり、
 アメリカのイラク進攻があるか、どうかと議論されている時期ですが、
 本書では、数ヶ月後にはじまるイラク戦争を予見しています。

 ・アメリカは次なる大戦争を始めようとしているからね(p136)

●この本を読むと、アメリカという国が、
 お金儲けという国益のために
 戦略を持って行動していることがわかります。

 ・日本の徳川時代に、将軍が言ったという言葉があるでしょう。
  『農民は生かさず、殺さず』。日米の関係も同じことです。(p25)

●例えば、邦銀を叩き潰すためには、
 自己資本比率8%以下の銀行は、国際業務ができないという
 新しい国際ルールを作ったりするわけです。

●こうした米国の戦略は、それ自体、良い悪いということではなく、
 そうした国家であることを認識する必要があるということでしょう。

 批判をする前に、
 いかに対応するかを考える必要があるということです。

 ・アメリカという新帝国の強みは、情報メディアをしっかりと
  握っていることだよ。そこから日本人を惑わすいろんな経済情報や
  分析結果が流れていく。(p126)

●米国のストラテジスト(国家戦略専門家)が教えてくれる
 アメリカ人の頭の中はすごいものでした。

 アメリカに叩き潰されないことを祈りつつ、★3つとしました。

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・本当のことを言えば、日本経済をこれだけ低迷させても
  まだ円にしがみつく日本を、欧米の金融機関や機関投資家は
  攻めあぐねている。つまり、日本人の円にしがみつく習性こそが、
  日本を守る最後の砦になっているんだ(p128)


 ・【1】大幅な円安容認
  【2】米国債の自由な売買
  【3】ゼロ金利の解除
  「この3つの政策を実行するだけで、日本経済の成長が始まる。(p134)

▼引用は、この本からです。
ハゲタカは飛んでゆく」ラリー・S・ジュニア、実業之日本社(2003/1)¥900
【私の評価】★★★☆☆




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2006年7月12日

「天晴れ!筑紫哲也NEWS23」中宮 崇、文藝春秋(2006/2)¥840 : 

天晴れ!筑紫哲也NEWS23  文春新書 (494)
中宮 崇
文藝春秋 (2006/02/20)

【私の評価】★★★☆☆:社会人として読むべき一冊です


■著者紹介・・・中宮 崇(なかみやたかし)

 1970年生まれ。「プロ2ちゃんねらー」と自称。

●北朝鮮の工作員が日本で活動しているように、
 アメリカの工作員も、各国で活動しており、
 敵国における工作活動は、国際社会の常識といえるものでしょう。

 それはスパイの獲得、活動家・過激派の育成から、
 政府組織、政党、マスコミへの浸透まで幅広いものと思われます。

●この本では、TBSと「NEWS23」に焦点をあてて、
 その報道傾向について分析しています。

 分析してみると、「NEWS23」にはある報道傾向がある
 ことは明らかでしょう。

 ・小泉訪朝以後約一年間のNEWS23における、
  在日社会の取り上げ方は、異常といえる。特に在日差別問題が
  出てこない月は無く、なんでもかんでも在日問題に早変わり。
  終戦の日特集がいつの間にか在日問題にスライドしてしまうのは
  まだ良いほうで、阪神大震災特集も筑紫にかかっては、
  在日差別問題特集に大変身。(p81)

●また、その報道手法としては、自らコメントするのではなく、
 識者や市民の声を放映させるというものがあります。

 つまり、市民として職業的活動家へのインタビュー
 を報道するといった手法です。

 ・「プロ市民」とは、普通の市民を装っているがその実、
  過激派や職業的活動家である人々を指す言葉であり、
  NEWS23に登場する「市民団体」の多くが、こうした
  「プロ市民」である。(p34)

●筑紫哲也は、基本的に表の顔であり、
 背後でNEWS23を統制している組織的についての分析が
 足りないと感じましたが、
 そこまで調べるのは公安の仕事でしょう。

●批判的な文体にがっかりしましたが、
 報道の現実を直視するために、読むべき本と判断しました。
 ★3つとします。

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・「週刊金曜日」といえば、一貫して北朝鮮による拉致被害者
  に対して冷淡であり・・・曽我ひとみの北朝鮮帰還を促す、
  北朝鮮当局のプロパガンダそのままの記事を掲載し、
  拉致家族を動揺させ、世間の顰蹙を買ったことでも有名である。
  ・・・筑紫は、自らがその雑誌の編集委員である(p50)


 ・NEWS23による「北朝鮮潜入取材」は、小泉訪朝以前から
  繰り返し行われ、北朝鮮がいかに「地上の楽園」であるかと
  いうことを一貫して伝えてきた。(p86)

▼引用は、この本からです。
「天晴れ!筑紫哲也NEWS23」
中宮 崇、文藝春秋(2006/2)¥840
【私の評価】★★★☆☆:社会人として読むべき一冊です


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2006年6月27日

「日本人 中国人 韓国人」金文学、白帝社(2003/11)¥1,470 :