★4日本社会の最近のブログ記事

破軍の星 (集英社文庫)
北方 謙三
集英社
売り上げランキング: 165353

【私の評価】★★★★☆(82点)


■中学の歴史で学んだ南北朝時代。

 南朝は後醍醐天皇。
 北朝の足利尊氏。

 この南朝を支えた北畠顕家(あきいえ)が、
 この本の主人公です。

 東北地方を武力により支配する陸奥守として
 16歳で派遣されます。


・十六歳である。青公家が、と心の底では思っている
 諸将もいるであろう。そういう軽視も、
 打ち砕いておかなければならなかった。(p27)


■顕家は持って生まれた才能で、
 陸奥を平定すると、
 足利尊氏の反乱を鎮圧するために、
 京都まで進軍します。

 朝廷の命令に従うべき、
 という使命感。

 一方で、
 命令に従うことで兵が死に
 農民も死ぬという現実。


 国家とは、国体とは、朝廷とは
 何なのか。
 何のために国はあるのか

 顕家は考えるのです。


・国というものには、根幹が必要なのだ。
 この国では、それが主上だ。
 根幹は、長い歴史によってはじめて作られるものだ。
 武士は、ほんの短い間、その歴史を曲げているだけだ(p137)


■現在でも日本の国体は、
 天皇を支持する国民の意識で
 支えられています。

 それがあるのも、
 過去の混乱、多くの国民の死を積み重ねて、
 日本の象徴としての天皇という制度
 現代まで続いてきたのだと感じました。


 北方さん、良い本を
 ありがとうございました。


━━━━━━━━━━━━━━━━━


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・京には年貢を運ばなければならない。
 大内裏造営の課徴金も申しつけられる。
 陸奥の富が京に運ばれ、腐った公家たちの贅沢に
 費やされるだけだ、と顕家はよく考えた。(p93)


・この旗のために死のうとした者が、何人いたのか。
 そして自分は、そういう無数の死に支えられて、
 陸奥を平定してきたのではないのか。
 あまり深くは考えなかった。ここは戦場である。(p393)


・知は力。これも父に教えられた。
 いまの世で、知は力ではない。 
 武だけが、真の力だと言ってもいい。(p269)


・朝廷は飾りで、幕府が政事をする・・・
 それがいま、実現しつつある。
 朝廷があまりに障害になるようなら、
 潰すしかないだろう。
 それは、尊氏にはできないことだ。(p214)


破軍の星 (集英社文庫)
北方 謙三
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【私の評価】★★★★☆(86点)


■昨年の4月30日に発行された一冊です。

 驚くのは、この時点で原発の状況を的確に説明している点。
 (3号機の水素爆発も予測)

 さらに、柏崎刈羽原発での事故後に、

 1 複数の原子炉を同一敷地に置くのは危険。
 2 非常用電源の絶対的な確保が必要
   応急処置として、原理の異なる小型の発電機を設置。

 という提案もしている。

 電源がなければ冷却できない原子炉の弱点と、
 10台もの原子炉が集中立地するリスクは
 すでにわかっていたということです。


・東電という会社は、トップに原子炉のプラントで育った人が
 いなくなってしまった。原子力で発電量の35%を賄って
 いながら、現場を熟知した原子炉の専門家がトップにいない。
 ・・柏崎刈羽の事故で全員パージされてしまった(p53)


■そして復興への対応策も示しています。

 燃料プールの使用済み燃料は、
 シベリアか福島に埋める。

 計画停電は最悪。電力ピークのみ減らすため、
 休日をずらしたり、時間帯別電気料金で。

 期間限定の消費税増税。

 原子力は国で運営する。

 まったくその通りと、
 私も思います。


・計画停電の愚かしさについては、政府・民主党の最大の罪
 だったと思う・・・夜はピークを下回っているのに
 節電しても何の意味もない・・・電力需要のピークを
 下げることだけを集中的に考える
と、
 料金を時間帯によって変えるなど、
 アイデアは何十と出てくる。(p98)


■大前さんには現実と未来が見えるようです。

 そして本質的な解決策を
 提案する力をもっています。

 それが"本質的"であるからこそ、
 大前さんの提案は受け入れられないのでしょう。

 長期的な利益のために、
 短期的な痛みを受容するには、
 それを押し切れるリーダーが必要なのです。


 大前さんの期待は、橋本氏のような変人政治家。

 変人にしか現実は変えられないのです。

 大前さん、良い本を
 ありがとうございました。


━━━━━━━━━━━━━━━━━


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・国民の家計所得をみたときに、
 日本は1991年に比べて、総額で12%も減っている・・
 米・英・仏で同じく家計所得の総額をみてみると、
 それぞれ約2~2.5倍になっているのである(p9)


・地域の繁栄をもたらすための道州制・・・
 国家財政が破綻するまで赤字国債を発行して、
 では日本全体が繁栄できたかといえば、補助金という
 酸素吸入がある限りはなんとかなるけれど、
 停止した途端に突然死、というのが
 現在の自治体の状況である(p107)


・「あなたにはセカンドライフで約8万時間もの
  自由になる時間があります。一日12時間として、
  それが20年続くと8万時間。さあ、何をしますか」(p122)


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【私の評価】★★★★☆(85点)


■40代、50代となると、
 「退職」という二文字が
 より現実の問題となってきます。

 「退職」とは、
 年齢による強制的なクビのようなもの。

 その日からあなたの仕事は
 なくなるのです。

 収入は年金だけ。やる仕事もない

 その準備はできていますか?
 と問いかけてくる一冊です。


・休日が嬉しいのは、その他の日々に決まった拘束時間が
 あるからです。毎日毎日好きにしていいよということになり、
 それが3か月も半年も続けば、嬉しいばかりではないことに
 気がつくでしょう。(p52)


■この本の良いところは、
 河上さんのお友達の事例がたくさん
 紹介されているところ。

 退職してから
 「自分の好きなことをやりなさい」と言われても、
 なかなか思い浮かばないものです。

 ボランティアをしたり、
 畑を耕したり、
 起業したり。

 でも、思いつきでは、
 長続きしない可能性が高い。

 だから事前の準備が必要なのでしょう。


・新規開業しても、3年後には約5割しか
 存続していないという調査があります。
 最初の勢いだけでは続けられないということ(p88)
 

■40才以上の方に、この本をお奨めします。
 今から準備すべきことがあるはずです。

 50代ならぎりぎりですが、
 遅すぎるということはありません。

 今、何をするか。
 何を準備すべきか。

 そうしたことを考えるきっかけになる
 本だと思います。


 河上さん、良い本を
 ありがとうございました。


━━━━━━━━━━━━━━━━━


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


家事を引き受ける・・・
 外で仕事をしなくなったら、
 家事をしない大義名分は失われたのです(p194)


・親は老いてゆきます。間近に接していないと、
 親の様子がわからない、変化を察知できない、
 かなり病状が進行して初めて気付くものです(p127)


自分の葬儀を、たまにはイメージしてみませんか。(p145)


・ベランダ菜園から家庭菜園、市民農園、
 はては農地を借りての本格的耕作まで、
 自分で野菜を作る人が増えています(p134)


・ウォーキング・リーダー養成講座・・
 ウォーキングの習慣化を促すために活動できる人(p72)


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日本いまだ近代国家に非ずー国民のための法と政治と民主主義ー
小室 直樹
ビジネス社
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【私の評価】★★★★☆(88点)


■日本国は民主主義であり、議員内閣制、
 三権分立などの政治体制をとっているわけですが、
 この本では、日本は本当の民主主義ではない、
 ということを論証していきます。

 あえていえば、

 官主主義

 ということ。


・最良の官僚は、最悪の政治家である(p2)


■法律は、官僚が作っている。

 司法権も、官僚が法律を解釈して
 通達を出している。

 検察が有罪とすれば、
 ほとんど有罪となる。

 司法、行政、立法の三権分立は、
 官僚による独裁体制が
 確立しているのです。


・六法全書と言うが、これに載っている法律なんてほんの一部。
 載っていない行政に関する法律が山ほどある。それらを
 役人が勝手に操っている。・・・役人は平然と判例を無視して、
 自分の解釈が正しいと言うのである。これは役人による
 司法権の簒奪である。(p270)


■自由、民主主義というものは、
 イギリスなどで血の代償を払って得たもの。

 そして、
 非常に金のかかるものなのです。

 そして簡単に死んでしまうもの。

 著者は、ロッキード事件で
 デモクラシーは死んだとしています。

 免責保障された外国人の証言だけで、
 田中角栄は有罪になってしまう。

 これでは、だれでも勝手に
 有罪にすることができるではないか、
 ということです。


・デモクラシー裁判の要は手続きにある。
 結果にあるのではない。(p332)


■この本を読んで、
 日本は原則を簡単に曲げてしまう国だと
 感じました。

 尖閣諸島問題では、中国漁船船長を釈放。

 ハイジャック犯の要求どおり、赤軍を釈放。


 そして長期的には、
 何か大切なものを
 失ってしまう。

 たぶん、民主主義や自由というものを
 獲得するために、
 苦労をしなかったためかもしれません。

 小室さん、
 良い本をありがとうございました。


━━━━━━━━━━━━━━━━━


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・立憲政治の基礎・・・
 選挙公約は飽くまでも守らなくてはならない・・・
 対立政党の政策を勝手に盗んではいけない・・(p103)


・官僚の最大の動機は何か。
 「プロモーション(昇進)である・・」(マクス・ヴェーバー)
 そして次に大切なものは何かと言えば、
 部下と権限である。(p129)


・若手官僚達の話を聞いていると、「このところ通産省は
 地盤沈下だ」というような表現に出合うことがある。
 この地盤沈下とは、「有力な天下り先が減った」
 という意味である(p136)


・贈収賄は悪いに決まっている。しかし、それは畢竟、
 市民道徳に過ぎない。政治指導者(君主)の道徳は、
 これとは違う。それは、徳(生命力の発揮。英語のvirtue)
 によって国民の経済生活を確保することに尽きる(p173)


・デモクラシーという言葉は、
 「暴民政治」という意味であった。
 プラトンが理想とした政治形態は、
 哲人王による支配である。(p235)


・ヒトラーは皇帝にはならなかったが、皇帝以上の権力を
 握ってしまった。だから大統領と首相の両方を置いて、
 牽制させる。フランスの場合には、大統領と首相で、
 きちんと権限を分けている(p264)


・検事が有罪と睨んだ事件が、
 裁判所で無罪になる例は殆どなかった。・・・
 こんなことなら、日本には裁判所はない。
 ないも同然ではないか。(p313)


・アメリカは銃社会であることを失念していると、
 あなたは殺され、加害者は無罪放免になるかもしれない・・・
 もっと恐ろしいのが法律である。
 歯止めを失った法律である(p289)


・戦後、「嫌がる日本国民を、軍部が無理に戦争に引きずり込んだ」
 と言い触らされてきたが、これは、真っ赤な嘘である。・・・
 特に、朝日新聞の戦争熱中振りは、刮目されてよい(p56)


日本いまだ近代国家に非ずー国民のための法と政治と民主主義ー
小室 直樹
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政治家の殺し方
政治家の殺し方中田 宏

幻冬舎 2011-10-26
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【私の評価】★★★★☆(87点)


■横浜市長だった7年間で、
 赤字の収支を黒字とし、
 累積黒字額214億円という結果を残した
 中田さんの一冊です。

 しかし、214億円の代償は高かった。

 愛人から裁判で訴えられる。

 死ねメールをもらう。

 「殺す」電話をもらう。

 「週刊現代」で7週連続で
 スキャンダル記事を書かれることになるのです。


・2007年11月10月号から始まった「週刊現代」の
 スキャンダル記事は7週にもわたって連載され・・・
 裁判では完全勝訴している。(p5)


■中田さんが市長時代に行ったのは、
 次のようなことです。

 指名競争入札を一般競争入札にする、
 →建設業界の恨みを買う。

 公務員の数を減らし、
 手当てを見直す。
 →職員の恨みを買う。

 風俗店を摘発する。
 →暴力団の恨みを買う。

 恐ろしいグループを
 敵にまわすことに
 なってしまったのです。


・続々と届く職員からの「死ね」メール
 「おまえはバカだ」
 「おまえみたいな野郎はとっとと消えろ」
 「バカ市長、調子にのるな」
 すべて実際に送られてきたメールの文面だ(p119)


■米国の企業なら、
 これくらいの成果を残せば、
 10億円くらいのボーナスをもらって
 さっさと引退するでしょう。

 改革して恨まれ、
 給料は安いという政治の世界では、
 よほど変わり者でなければ
 勤まらないと感じました。

 そういう意味で
 中田さんにはご苦労さまと
 いいたいですね。


 あわせて、
 中田さんのスキャンダル記事を
 裏もほとんど取らずに掲載した
 当時の週刊現代の編集長であった
 加藤晴之さんの本も
 読んでみたいと思います。
 (フライデー編集長もしていたようです)

 中田さん、
 良い本をありがとうございました。


━━━━━━━━━━━━━━━━━


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・『私が愛人です』と名乗り出ただけで、
 全国ニュースに流される(p24)


・利権に群がるハイエナたち-1 風俗業界編
 当時の横浜には違法売春店が溢れていた。・・・
 神奈川県知事、神奈川県警察本部長、警察庁長官に
 「どうして違法行為を見逃しているのだ」と
 直談判した。(p47)


・小泉純一郎元首相から「中田さん、
 マスコミが書くことは無視するに限る。
 訴えたりしなくていい。放っておくに尽きる」
 とアドバイスしてもらったことがある。(p82)


・退職時一時昇給という"慣行"があった。
 信じられないかもしれないが、どの職員も退職する
 最後の1日だけ昇給していたのだ・・・退職金が膨らむ
 ・・・明らかにお手盛りだったので撤廃した(p118)


・特殊勤務手当の見直しによって、
 年間29億円以上もの経費を削減することができた・・・
 「職員に思いやりがないバカ市長」という
 職員からのメールが送られてきた(p132)


・議員は後援会を強固にするために、
 当選ラインを念頭に支持者名簿を整理し、
 バス旅行やゴルフコンペを催して、自分の確実な
 支持者をつくることに精を出す。・・・
 「なんでこの人が?」という人が当選する背景には
 こういう事情がある(p143)


・利益を奪われる当事者にとっては生死がかかっている。
 となれば、こちらも命がけだ。
 命がけの改革の結果、命=政治生命を狙われたとしたら、
 政治家としては本望である(p162)


政治家の殺し方
政治家の殺し方中田 宏

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自衛隊が世界一弱い38の理由―元エース潜水艦長の告発
中村 秀樹
文藝春秋
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【私の評価】★★★★☆(89点)


■戦えない軍隊として自衛隊は
 有名ですが、
 その理由を再検証する一冊です。

 北朝鮮の工作船に防衛出動が発令されたことが
 ありましたが、
 かなりの時間がかかるようです。

 中国も尖閣諸島を侵略するのなら、
 今のうちかもしれませんね。


・防衛出動が発令されるまでの流れ・・・
 「事態対処専門委員会」が対処への基本的な方針を審議・・・
 内閣総理大臣はこれを「安全保障会議」というものに諮らな・・・
 ようやく閣議にかけることができる(p39)


■自衛隊の弱さは、

 1 法令が実情に合っていない。
 2 前例踏襲の訓練と装備と配置。
 3 自衛官のサラリーマン化

 というところでしょうか。

 政府に守られた業界の
 大企業と同じような症状です。


・領空侵犯の可能性があれば戦闘機を発信させ、
 領空侵犯前に進路変更させる・・・しかし、
 武器使用の条件が極端に厳しく、正当防衛、
 緊急避難以外では攻撃できない(p131)


■自衛隊と政治家に期待はしますが、
 実際には黒船のような
 大事件が必要なのかもしれません。

 尖閣諸島の漁船衝突事件が
 危機感醸成のきっかけにでも
 なればいいのですが。


 中村さん、
 良い本をありがとうございました。


━━━━━━━━━━━━━━━━━


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・日本では、海外で生命の危険にある日本人を救出するため、
 自衛隊機や自衛艦を派遣することができない。
 物理的な能力はあるのだが、自衛隊法をはじめ、
 法的な問題でできないのだ。(p56)


・「野戦型」から脱却、市街戦を重視せよ(p106)


・国産といえども、製造に必要な部品や材料の大半は
 輸入に頼っている。その部品の製造過程をたどれば、
 全部が輸入と言っていい。・・・所詮は輸入なら
 完成品を買ったほうが早い。(p124)


・日本の軍隊は昔から作戦中心で、 
 情報を軽視してきた。
 例外は戦国期くらいのものだ。(p180)


・外国では、日本のような精密な地形図は市販されていない。
 ・・・恥部は国防上の秘密だからだ。この点でも、
 我が国は安全保障感覚が世界とは違う。気象情報も同様だ(p183)


・92年の領海法で尖閣諸島を勝手に自国の領土として
 いるのだ。中国からすれば、尖閣諸島侵攻は
 侵略ではなく、領土の回復という名分がある。(p154)


・北朝鮮の工作員は、韓国に侵入する際は武装しているが、
 日本に侵入する際は武器を携行しないほうが安全だ
 といわれている・・・日本の法律と警察は、我が国の国益を
 甚だしく侵害する外国工作員も大事に扱ってくれる(p189)


・敵前で、特科(砲兵)の突撃支援射撃の間をじっと耐え、
 砲撃の最終弾着弾とともに、ガバと跳ね起きて
 銃剣をきらめかせて敵陣に突っ込む・・・
 いまだにそういう訓練をしている(p110)

<確かに、近くの駐屯地で同じような突撃訓練をしていた・・・>


・私の知る限り、余暇に戦術書を読んだり、
 戦史の勉強をしたりする自衛官は九牛の一毛である。
 それを自衛官のサラリーマン化という(p202)


・陸上自衛隊がルワンダ難民救援に派遣された・・・
 駐屯地付近で実弾が飛び交う事態が発生した。このため、
 指揮官は監視塔にいる隊員を避難させようとしたが、
 すでに勝手に避難していたという・・・
 旧陸軍刑法なら死刑に相当する罪だ。(p217)


・入庁後間もない二十代の若い内局の部員(初級の尉官相当)
 が、三十代の古参3佐(少佐)を捕まえて「下っ端の自衛官」と
 暴言を吐くのを直接耳にしたことがある(p65)


自衛隊が世界一弱い38の理由―元エース潜水艦長の告発
中村 秀樹
文藝春秋
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■韓国の哨戒船が、
 北朝鮮の魚雷または機雷で
 沈没したことがありました。

 この本を読むと「そうだよね」と
 納得できます。

 水上艦が、潜水艦の攻撃を避けるのは、
 非常に難しいのです。
 (敵国を特定するのは、さらに難しい)


・私の経験上、護衛艦のソーナー追尾ほど
 振り切るのが容易なものはない。・・・
 一番簡単なのは、(高圧)空気の放出である。・・・
 空気(泡)の陰に隠れて、高速で離隔しつつ深度変換
 (深さを変える)を併用して、変温層の向こうへ
 逃げ込めば、あっという間に失探である(p108)


■潜水艦の運用や武器としても特徴も
 技術屋として面白いのですが、
 海上自衛隊の組織の話がおもしろい。

 人事がだめ。
 前例主義。
 陸海空の組織の壁。

 自衛隊も役所の一部ですから、
 まるで、自分の会社と同じだな~
 と感じました。


・芸は身を滅ぼす・・・英語の達者な人物は、
 望む配置につく余裕がなく、渉外や調整業務を
 転々とすることが多い。そして無芸、無能な
 同期においしい配置(艦長など指揮官配置)を
 奪われる結果となっていた(p231)


■自衛隊が本当に一皮むけるためには、
 実戦経験が必要なのでしょう。

 実戦がないのは良いことなのでしょうが、
 最悪の場合にどうなるのか。

 天才的な実力幹部が
 求められているのかもしれません。

 大きな組織の難しさを感じました。


 中村さん、
 良い本をありがとうございました。


━━━━━━━━━━━━━━━━━


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・潜水艦の天敵は潜水艦なのだ。潜水艦同士なら、
 音の静かなほうが勝ちだ。原子力潜水艦と電池潜水艦は、
 電池の方が静かである。旧式と新型なら、新型の方が
 静かである。(p57)


・潜水艦が本気でやれば、対潜部隊は探知できないから
 訓練にならない。だから、訓練規定というものがある。
 潜水艦に見つかりやすいように行動しろ、という
 ハンディを与える。(p102)


・「究極の対潜水艦対策は高速航行」というのが私の信念だ・・・
 具体的には、高速フェリーをチャーターするのだ。(p226)
 

・軍艦の主機としてガスタービンが主流になった・・・
 ガスタービンは従来のディーゼル、蒸気タービン機関より
 静粛になったため、水上艦がソーナー発信していないと、
 音で探知するのは困難になった(p81)


・ミサイルは貴重品だし、砲弾よりはるかにかさばる
 ので大量に持てない・・・この少数のミサイルを
 撃ちつくした後、どうするのだろう。・・・
 護衛艦の火砲は、豆鉄砲だし、装備数も少ない(p52)


・無能なくせに部下に任せない艦長は、最悪である。・・
 駆除せねばならぬが、そうもいかない。昔も
 「馬鹿な指揮官、敵より怖い」と言われた(p146)


・海上自衛隊の人事は問題が多い。・・・
 指揮官タイプの人間を長く幕僚をやらせ・・・
 優柔不断で責任回避しがちな連中が、 
 やたらに指揮官を歴任するのだ。
 部隊の士気が上がるわけがない(p230)


・護衛艦の航海長は、若い幹部の場合が多いので、
 艦全体の教育訓練を仕切ろうとしても、
 古い科長が言うことを聞かず、護衛艦の訓練は
 内容のない形式的なものになりがちである。(p147)


・航空部隊というのは横着で、訓練の記録は
 いい加減なものを送ってくる。訓練の現場では
 1尉あたりの青二才機長が、2佐の館長相手に
 横柄は通話をしてくることもある(p104)


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憚りながら (宝島社文庫)
後藤 忠政
宝島社 (2011-05-12)
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■広域暴力団 山口組の「武闘派」と言われ、
 裏の世界を大企業、政治家、宗教と
 かかわりながら歩いてきた
 後藤組長の一冊です。

 既に引退した身ということで、
 昔の裏話という感覚で
 面白く読めました。


・喧嘩ってのは、気合の問題なんだ。
 俺はその頃、小さな剃刀とか、 
 ドス(小刀)を必ず持っていた。
 で、喧嘩になりゃあ、まずダッと顔を切る。(p35)


■驚いたのは、創価学会との
 関係を書いているところ。

 創価学会の本山大石寺は、
 後藤の地元富士宮にあり、
 その施設の建設に関わる
 反対運動を潰すために
 動いていたという。

 また、反学会勢力に対し、
 圧力をかけたり、
 切り崩しをしていたようです。


・池田が裏で何をしてたかといったら、
 山崎やX(藤井富雄)をパイプ役にして、
 俺たちヤクザを散々利用し、仕事が終われば知らんぷりだ。
 それで俺たちがちょっとでも、もの言おうもんなら、
 今度は警察権力を使って潰しにかかる。(p114)


■実際のシノギ等に関係する暴露話は、
 少ない印象でしたが、
 あの裏ではこうした話になっていたのか、
 と楽しめる本だと思います。


 暴力団への締め付けが強くなってきてる状況では、
 今後暴力団も地下にもぐり、
 マフィア化していくことになるのでしょう。

 ヤクザ崩れや半ヤクザのような
 不良集団の増加にも警鐘を鳴らしています。

 後藤さん、
 良い本をありがとうございました。


━━━━━━━━━━━━━━━━━


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・世の中の人たちは、ヤクザの親分というのは、
 若い衆が稼いできた上がりを取ってメシを食ってると
 思っているかも分からんけど、そんなことをしていたら
 若い衆は逃げるだけだ。・・・
 自分の才覚でメシを食ってたから。(p57)


・「指詰めて始末しろ」なんて上から言われることは
 滅多にない。ヤクザ個人がそれぞれ自分の判断で、
 指を詰めるのが大半だ。(p70)


・いくら不景気だからって、必死で探せば、選り好み
 しなけりゃ必ず仕事はある。なんで周りの大人が、
 そういう若い奴に「自分のメシの種ぐらい、自分でみつけろ」
 と言わんのか、俺は不思議でしょうがないんだ。
 それより、年寄りたちを何とかすべきだろ。(p206)


・けど今じゃ、ヤクザよりむしろ堅気の社会にシャブや
 麻薬が蔓延しているよな。ヤクザの世界ではシャブは御法度、
 山口組でもシャブに手を出したら即、破門だ。・・・
 不良外国人からいつでも、誰でも簡単に買える時代になったから、
 高校生や中学生にまで広まっちまったな。(p244)


・最澄さんという偉い人の教えに「一隅を照らす これ国宝なり」
 というのがあるんだ。べつに難しいことじゃない。
 「はず自分自身が輝き、その光で周囲も照らす」ということだ。
 俺にとっちゃあ、例えばおじいちゃん、おばあちゃんが道で
 座り込んでいたら「大丈夫かい?」って声をかけることが 
 「一隅を照らす」だ。(p313)


・外務省には、池田にノーベル平和賞を取らせるためだけに働く、
 学会員の組織があるらしいじゃないか。・・・
 どんな宗教信じるかは勝手だ。しかし、その宗教のために
 国会や官僚組織に入り込むというのは、筋が違うんじゃねえか。
 特定の宗教の利益を目的とする人間が、国家権力の
 中枢にいるのはまずいよ。(p115)


憚りながら (宝島社文庫)
後藤 忠政
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日本中枢の崩壊
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【私の評価】★★★★☆(87点)


■最近テレビ出演の多い
 現役改革派官僚の古賀さんの一冊です。

 古賀さんがこれだけ捨て身に
 官僚組織の改革を主張するのは、
 大腸がんという大病をして、
 人生観が変わったからかな、
 と思っていたら違いました。


 古賀さんは以前から改革派だったのです。
 古賀さんが関わったのは次の3つ。

 持ち株会社の解禁。
 セルフ給油の解禁。
 クレジットカード偽造の罰則強化。

 こうした取り組みからわかるように、
 古賀さんは、以前から規制緩和に
 取り組んでいたのです。


・「平成の身分制度」の廃止・・・
 保護の強さの順でいえば、
 「官・農・高(高齢者)・小(中小企業経営者)」(p332)


■この本で面白いのは、
 官僚の権力維持の要諦と思考パターンが
 わかるということです。

 法律を整備し、
 予算をつけて仕事や組織を創る。

 そして、業界のために
 その規制を維持する。

 そして、天下る。


・天下りがいけないという理由は二つある。
 天下りによってそのポストを維持する、
 それによって大きな無駄が生まれる、
 無駄な予算がどんどん作られる、あるいは
 維持されるという問題が一つ、
 もう一つは、民間企業などを含めて
 そういうところと癒着が生じる(p138)


■安倍総理が作った
 天下りの斡旋を禁止するという
 「国家公務員法改正」は
 既に骨抜きになりました。

 また、公務員の定年延長も
 画策しているらしい。

 増税と合わせて、
 自分のこととなると
 準備が早いですね。


・霞ヶ関だけは過去の遺物ともいえる年功序列と
 身分保障をいまだに絶対的な規範にしている。
 国民に対して、結果を出せなければ責任を取るべきなのに、
 悪事を働かない限り降格もない。年金がなくなっても、
 歴代の社会保険庁の長官は、いまだに天下りや渡りで
 生活を保障されている(p150)


■古賀さんは、
 会社の経営者的な視点で
 考える人なのでしょう。

 そうした人が、
 ここまで言わなくてはならないくらい
 国家財政は厳しいのかもしれません。

 古賀さん、
 良い本をありがとうございました。


━━━━━━━━━━━━━━━━━


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・この人事院というのが不可思議な組織で・・・
 事務局は上から下まで全部国家公務員だ。つまり、
 第三者といいながら、実は公務員が公務員の給料などの
 待遇を決めているのである(p70)


・若者は、将来の日本の株主として税金や保険料を強制的に徴収される、
 いわば出資者である。彼らから見れば、日本が破綻して、
 IMFが乗り込んで、公務員を削減、無駄な既得権保護の
 補助金をカットし、年金の額を引き下げ、支給開始年齢を
 引き上げるなどの改革をやってもらったほうが特だ。つまり、
 本来はこれと同じことを政府がやらなければいけない(p310)


・国税庁はその気になれば、普通に暮らしている人を
 脱税で摘発し、刑事被告人として告訴できるのだ・・・
 財務省にとって、この懐刀が、
 いざというときにものをいうのだ(p198)


・通産省と電力会社の癒着ぶりは目に余るものがあり、
 特に東京電力に睨まれたら出世はできない、などという
 話を聞いたことがある。(p258)


・危機管理の要諦はいくつかある・・・ 
 まず、現場に総理直結のスタッフが真っ先に飛ぶ。
 実際にはその代わりに総理自らが原発に飛んだ(p26)


・霞ヶ関言葉で「積極的に」は、基本的に「やる」
 という意味だ・・・「○×等」と「等」を入れた場合、
 後で拡大解釈するための布石だし、「前向きに」は「やる」、
 「慎重に」は「やらない」という意味だ(p244)


日本中枢の崩壊
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「談合業務課」 現場から見た官民癒着
鬼島 紘一
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【私の評価】★★★★☆(84点)


■大林組が海外で大きな損失を出している
 との情報を見て、検索して出てきたのが
 この本でした。

 著者が担当者だったので当然ですが、
 ここまではっきりと、
 談合のやり方を見せてくれた本ははじめてです。


・どこのゼネコンが入札に参加するかを把握することは
 談合の第一歩であり、記憶力との勝負になる。(p287)


■最近は規制が厳しくなって
 「天の声」はなくなったようですが、
 天下りがなくならないということは、
 不正が続いているということ。

 それは、予定価格を聞き出したり、
 大規模プロジェクトの情報を
 引き出すことができるからです。


・入札保証金と入札価格の関係を調べておけば、今後の入札で、
 事前に入札保証金の額を入手できた場合に、どの会社なら入札
 価格はいくらくらいということをより正確に把握できる・・・
 大林組の資料に公然と残されている(p204)


■国鉄にしろ、日本航空にしろ、
 役人が大量に天下りするような組織が、
 破綻する原因の一端がわかりました。

 普通の会社は稼ぐ組織。
 役所はお金をばら撒く組織。

 役人が天下るようになると
 そこからさらに天下り先を作り出し、
 その組織は役所のように
 お金を浪費するようになっていくのです。


・大林組は、東京停車場以来、旧国鉄に最も強いゼネコンだった。
 そして、旧国鉄が発注した工事のほとんどが、やはりこうした
 癒着の中で落札されてきたのである。国民は、旧国鉄の二十数兆円
 という膨大な債務を負担することになった・・・その債務膨張の
 原因の一端をここに垣間見ることが出来るのである(p243)


■良いものを見せていただきました。

 鬼島さん
 良い本をありがとうございました。


━━━━━━━━━━━━━━━━━


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・公益通報者保護法・・・この法律は通報者の人権を尊重し
 保護するように装っているが、企業が漏れてはまずい違法行為が
 外部、中でもとくに官憲に対して発覚する前に通報者をあらかじめ
 補足し、葬り去るために作られた法であると言って良い。
 それは、一種の罠である。(p41)


・この頃はバブル絶頂期で、政府の土地価格高騰抑制策で
 事業団の土地売却が制限されていた・・・値段の高騰を
 沈静化させるには物の供給を増やすというのが、古くからの
 経済学の常識であり、高騰を抑えるために物の供給を制限する 
 というのは常識に反していた(p90)


・当時は、バブル崩壊後で大林組では女子社員の採用は
 縁故採用のみに限られていた。工事発注が見込まれる
 大会社の役員の娘が縁故採用で入って来る話は、何度も
 聞いたことがあったが、役人についてもそうだった(p270)


・発注担当者がこうして情報を漏らすのには、
 役所側の事情がある。それは予算が余っては困る  
 ということである・・・予算が余るということは、
 それだけ税金が使われないということだから、国民に 
 とっては歓迎すべきことなのだが、当の役所には歓迎
 されない。担当者の見積りが甘かったということで、
 その技量を問われる・・・次の年度からの予算を
 余った分だけ削られかねない(p281)


・談合ルール・・・その物件の工事を主張するに有利な材料
 (これを業界では「条件」と呼んでいる)を
 揃えたところが受注できることになる。(p274)


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