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「孤独のチカラ」齋藤 孝

2018/08/15公開 更新
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孤独のチカラ


【私の評価】★★★★☆(84点)


要約と感想レビュー

600もの著作がある明治大学教授の齋藤 孝さんが。孤独をテーマにまとめた一冊です。齋藤さんは一浪して東京大学に入学。この一年の留年が、相当なコンプレックスだったらしい。ただでも浪人した自分を許せないのに、入学すれば元同級生に先輩面で呼び捨てにされるのです。プライドの高い一浪東大生は人とほとんど口もきかず、孤独に本を読んでいたという。


自分はこんなものではないのだ、というプライドと自分の境遇にイライラして引きこもっていたのです。人間関係に改善の兆しがあらわれたのは、博士課程に上がってから結婚してからだという。一家の柱としての覚悟とコンプレックスを晴らすかのように、論文を書きまくったというのです。一浪というコンプレックスをパワーに変えたのですね。


・男というものは独身の身ではほとんど不まじめだが、結婚すると急に何か運命を背負わされたような覚悟ができる(p27)


いま認められていないというコンプレックスは、しかがたがないと思いながらも、中途半端な自分を受け入れるのは苦しかったという。常に『自分の存在とは何なのか』という問いに苛まれ、その解答として簡単に『自分など意味のない存在ではないか』と自分自身を追いつめてしまうらしいのです。そんなとき著者のとっておきの呪文は、「結果を出せ」でした。


著者は、良い孤独と悪い孤独があるという。良い孤独には「私は十分に生きた」という手応えがあり、悪い孤独にはないのです。孤独、つまり一人になったときに何をするかで差が生まれるのです。仮に孤独でないとしても、仕事をして、酒を飲んで、帰ったら眠るという人生は、孤独とは無縁かもしれませんが、何も残らない人生だというのです。


大学を卒業して無職となり、就職活動をしていた時期もかなり暗かったようです。ドン底で何をしているかが人生を決めるのですね。齋藤 さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・その職種の中で新しいチャレンジをし続けているか。物事に新しい意味を生み出そうとしているか。そんなふうに挑み続けるバックボーンになるのは、ここにはとどまらないぞという強さである(p68)


・"私は誰の世話にもなっていないという人ほど、人に迷惑をかけやすい"という言葉は至言だ(p74)


・自分の心の内を見つめるためのより本格的な方法として、内観法がある・・一日十数時間、三日から一週間もの間ひたすら自分自身を見つめ続ける作業をするのだ(p73)


・文学者には放浪者が多い。松尾芭蕉、小林一茶、ヘミングウェイ、ヘンリー・ミラー・・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)も放浪者だ・・・そもそも放浪し、歩くということは、 孤独のひとつの技法である(p142)


・大学入試は受験生にとってオリンピックか国体の感覚に近い。試験は年一回、一日か二日でそのためだけに日々を費やしてきた一年の成果が問われる(p16)


孤独のチカラ
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齋藤 孝
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【私の評価】★★★★☆(84点)


目次

第一章 失われた十年〈孤独と私〉
第二章 〈単独者〉として生きる
第三章 孤独の技法
第四章 ひとりぼっちの世界〈孤独の実践者たち〉
第五章 孤独のチカラ



著者経歴

斎藤孝(さいとう たかし)・・・1960年、静岡生まれ。東京大学法学部卒。同大学大学院教育学研究科博士課程を経て、明治大学文学部教授。専攻は教育学、身体論、コミュニケーション論。『宮沢賢治という身体』で宮沢賢治賞奨励賞、『身体感覚を取り戻す』で新潮学芸賞受賞。『声に出して読みたい日本語』(毎日出版文化賞特別賞)など、話題作を多数刊行


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