「大世界史 現代を生きぬく最強の教科書」池上 彰、佐藤 優

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大世界史 現代を生きぬく最強の教科書 (文春新書)

【私の評価】★★★★☆(88点)


■現代社会の国際関係について
 ジャーナリスト池上さんと
 元外務省職員の佐藤さんの対談です。


 3年間の本ですので、
 トランプ大統領も予想できないし、
 北朝鮮も核兵器の開発を
 完了していません。


 しかし、テレビを見ているだけでは
 わからないことがある、
 ということを教えてくれる一冊でした。


・東ドイツには、自由ドイツ青年団という
 社会主義統一党の青年組織がありました。
 そこには通常、牧師の子供は入らない。
 しかし、メルケルは入りました・・・
 アメリカのCIAからすると、メルケルは、
 共産主義者で、「加入戦術」を
 やっているようにも見える・・・
 単にドイツの首相だから盗聴したのではなく、
 米国は、メルケル個人の来歴に疑念を
 抱いていると思います(佐藤)(p123)


■当時の混乱の中心は中東であり、
 現在も中東で多くの戦乱と
 衝突が起きています。


 中東からの難民問題で
 EUが揺れはじめた時期なのです。


 本書が予想しているのは、
 いずれ核兵器が拡散するということ。


 そして、中国が「明王朝」、
 イランが「ペルシャ帝国」、
 トルコが「オスマン帝国」の
 再興を目指して膨張して
 いくであろうことです。


・いずれNPT(核拡散防止条約)体制は
 崩れると思います。イランの核保有をきっかけに
 数年後には核拡散が起きるでしょう。
 大きいのは、サウジアラビアとパキスタンの
 秘密協定の存在です(佐藤)・・・
 イランが核兵器を持った場合には、
 可及的速やかにパキスタン内の核弾頭の
 いくつかをサウジアラビア領内に移す、
 という秘密協定が結ばれた、と
 されているわけですね(池上)(p184)


■イスラエル、ロシアの情報機関と
 近い佐藤さんは、ある意味、
 心の中が読めない怖さがあります。


 そして佐藤さんのインテリジェンスに
 付いていけるジャーナリストは
 池上くらいの実力がないと
 厳しいな、と感じました。


 池上さん、佐藤さん
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・「イスラム国」による日本人人質事件について、
 積極的平和主義を掲げる安倍晋三首相が
 中東を歴訪したことが原因であると
 批判する人がいましたが、これは間違っています。
 「イスラム国」の狙いは、アッラー(神)が
 唯一であることに対応して、地上においても
 シャリーア(イスラム法)のみが適用される
 単一のカリフ帝国(イスラム帝国)を
 建設することです(佐藤)(p46)


・私が注目しているのは、
 トルコのエルドアン大統領です。
 いまやほとんど独裁者になりつつある・・・
 エルドアンが建てさせた大統領公邸は、
 総工費700億円・・政府批判をした
 新聞記者を次々に捕まえてしまう・・・
 軍のクーデターを恐れている(池上)(p54)


・タジキスタン治安警察の司令官が、
 「イスラム国」への参加を表明・・・
 タジキスタンは、事実上の破綻国家で、
 国内におけるイスラム原理主義過激派の
 策動を封じ込めることができていない・・・
 キルギスも破綻しているし、ウズベキスタンも、
 タジキスタン、キルギスと国境を接する
 フェルガナ盆地を実効支配できていない
 (佐藤)(p70)


・イエメン情勢・・・
 フーシの背後にイランがいる・・
 イラン対サウジアラビアの直接対決が
 イエメンで起きていることが重要なのだ。
 これがシーア派とスンニ派の本格的な
 宗教戦争に拡大する危険性は高い
 (イスラエル情報機関の元幹部)(p36)


・イランには「ペルシャ帝国」、
 トルコには「オスマン帝国」という、
 それぞれかつての「帝国」としての
 記憶があります。
 トルコのエルドアン大統領は、まさに
 「オスマン帝国よ再び」という
 動きを見せています(p49)


・二年前、スーダンを支援していたのはイランで、
 スーダン経由でパレスチナのガザ地区に
 兵器と資金が大量に流れ込んでいました。
 そのためイスラエルは、
 公式には絶対に認めませんが、
 スーダン船を攻撃して沈めています
 (佐藤)(p48)


・トルコがなぜシリアのアサド政権を潰さなければ
 ならないのか・・・イランの傀儡として
 アサド政権がシリアにあるとすれば、
 「ペルシャ帝国」の版図がそこまで
 及んでいることになる。これは当然、
 トルコとしては認められないから、
 潰さなければならないのです(佐藤)(p59)


・ギリシャ人の働き方というのは、
 精神的に近い民族である
 ロシア人の働き方と極めて近い・・・
 たとえば、ロシアの出版社の始業時間が
 10時だとします。すると、編集者は、
 10時に家を出る・・・10時半に就く。
 ロッカーの前で身繕いして、
 お茶を飲んで、前日のテレビ番組の話を皆でして、
 だいたい12時になる。すると、
 12時から午後2時までは昼休みです・・・
 仕事が終わるのは5時・・
 そして年に二カ月の休みを取る(佐藤)(p112)


・プーチンの核発言は、単なる失言ではありません。
 その証拠に・・ロシアのワーニン駐デンマーク大使が、
 デンマークの新聞にこんな「警告」を寄稿しています。
 欧州ミサイル防衛(MD)計画にデンマークが
 参加した場合、デンマークの艦船がロシアの
 核攻撃の対象になる、と。(佐藤)(p137)


・ユーロ危機で、ダメージが大きかった国は、
 イタリア、スペイン、ポルトガル、アイルランドなど、
 カトリック系ばかりです。やはり、プロテスタントの
 勤勉と資本主義を結びつけて論じた
 マックス・ウェーバーは正しかった(池上)(p199)


・ヨーロッパの大学では、リベラルアーツと
 呼ばれる七科目が学問の基本だとされました。
 文法、修辞学、論理学、算術、幾何学、
 天文学、音楽の七科です(池上)・・・
 池上さんは、現代のリベラルアーツとして、
 「宗教」「宇宙」「人類の旅路」「人間と病気」
 「経済学」「歴史」「日本と日本人」の
 七つを挙げていますね(佐藤)(p224)


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■目次

1 なぜ、いま、大世界史か
2 中東こそ大転換の震源地
3 オスマン帝国の逆襲
4 習近平の中国は明王朝
5 ドイツ帝国の復活が問題だ
6 「アメリカvs.ロシア」の地政学
7 「右」も「左」も沖縄を知らない
8 「イスラム国」が核をもつ日
9 ウェストファリア条約から始まる
10 ビリギャルの世界史的意義
11 最強の世界史勉強法



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