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「抵抗の拠点から 朝日新聞「慰安婦報道」の核心」青木 理

2018/07/28公開 更新
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抵抗の拠点から 朝日新聞「慰安婦報道」の核心


【私の評価】★★☆☆☆(62点)


要約と感想レビュー

朝日新聞の慰安婦捏造報道

テレビ朝日の「サンデーモーニング」で青木 理という人が出演していたので、どういう背景を持った人なのか知りたくて手にした一冊です。共同通信の記者時代はソウル特派員。現在は、ジャーナリストと言いますが、フリーということでしょうか。


驚くのは朝日新聞の報道は、捏造ではなく人から聞いた話を伝えただけで問題ないと断言しています。また、朝日新聞が慰安婦報道など事実と異なるキャンペーンを張ったことも、国家権力の隠されていることを表に出そうという努力は評価すべきとしています。慰安婦報道によって日本という国家を貶めた成果は、筆者にとっては評価すべきことなのです。この文脈で推察すると、キャンペーンを張ることが本欄の仕事なのかもしれません。


・93年に河野談話が出たことによって、吉田証言の意味が薄れ、証言の真偽をとことん追求する意味がなくなっていたんですね。つまり、吉田さんの言うような奴隷狩り的な強制連行はなくても、日本軍の関与による不当な募集や、強制的な管理・運営があったことが河野談話で明かされた・・・朝日の記者が自分ででっち上げた報道ならいざ知らず、人の語った話を伝えたということですしね(p116)


朝日新聞の稚拙でひ弱な対応

著者は、朝日新聞が慰安婦報道を誤報として認め、朝鮮人女性を強制連行したと述べた吉田清治氏の証言を「虚偽」と認めたことについて、日本社会に根を広げる歴史修正主義が朝日に襲いかかったと表現しています。そして、朝日新聞も稚拙でひ弱な対応を繰り返すことで無残に膝を屈してしまった、と表現しています。


朝日新聞が『良識』を持って、慰安婦報道の間違いを正そうとすることに対し、共同通信で編集主幹などを歴任した原寿雄から「朝日の編集幹部が本気の覚悟を決めて紙面作りに立ち向かっているか。のんきなのままでは次々やられてしまいます。戦う決意を固め直すことはできると思いますが、結局は一線記者たちが声をあげること。覚悟の必要な時代です」といったメールが来たことを紹介しています。正しい報道するよりも、偏向報道する覚悟を共同通信時代から行っていたのでしょう。


また、著者は自分への批判については、バッシングとかヘイトスピーチと批判し、その一方で、自分は相手に対し、不気味な歴史修正主義者、排外主義者やネオナチ、極右とレッテル貼りをしています。こうした相手にレッテルを貼るような文章を書いていて、その論理性のなさに気付かないのでしょうか。それとも意識して書いているのでしょうか。著者が元新聞記者であることを含めて考えると、私には、意図的に書いているとしか考えられませんでした。


・日本社会にいま、妖しく根を伸ばす排他と不寛容の空気。その大本を辿れば、排外主義者やネオナチ紛いの極右と奇妙な親和性を持つ現政権に突き当たると、私は思っている(p39)


朝日新聞の稚拙でひ弱な対応

共同通信社の記者であった著者は、新聞社は権謀と嫉妬がうずまくサラリーマン組織であると断言しています。そして、かつては"ブン屋"と呼ばれていた仕事だから、どちらかといえば粗野で乱暴な物言いと振る舞いを好む風潮がいまも残っていると、自分の根拠を示さない乱暴な物言いは問題ないかのように語っています。


このような人がジャーナリストとして、また元報道機関に存在していること、堂々と書籍にしていることに驚きました。同じような考えの人はもっといるようです。意図をもってサンデーモーニングは青木さんに出演してもらっているのでしょう。青木さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・吉田調書報道に関していえば、朝日は記事化の過程で大きなミスを犯したというのだが、政府が隠している情報をいち早く入手し、世に発信しようとした姿勢と努力は認めるべきであり、こうした調査報道こそ、危機が叫ばれる新聞メディアに最も求められる仕事ではないか(p14)


・結局、慰安婦問題を否定したがる人たちって、元慰安婦の人たちとはほとんど向き合ったことがないと思うんです。おばあさんたちの肉声に直接向き合っていない。それで証言の食い違いみたいなところに固執して否定したがるのであって、すごく残念な気がする。こんなことをいくらつづけても、世界から孤立しちゃんじゃないかっていう気がしますよね(稲村隆)(p87)


・市川速水氏・・・実をいうと市川氏は、もともと社会部記者として長年にわたって戦後補償問題を取材し、慰安婦問題の報道にも深くかかわっていた。朝日の慰安婦報道をめぐっては、若手記者時代にわずか2本の記事を書いただけの植村氏がことさら激しいバッシングを浴びているが、市川氏の方がはるかに長く、深く、関連の報道に直接たずさわってきた(p161)


抵抗の拠点から 朝日新聞「慰安婦報道」の核心
抵抗の拠点から 朝日新聞「慰安婦報道」の核心
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青木 理
講談社
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【私の評価】★★☆☆☆(62点)


目次

第1章 朝日バッシングに異議あり!
第2章 歴史を破壊する者たちへ
第3章 全真相 朝日新聞「慰安婦報道」
エピローグにかえて――外岡秀俊氏との対話



著者経歴

青木 理(あおき おさむ)・・・1989年、共同通信社入社。1997年~1998年、韓国の延世大学校韓国語学堂に留学。2002年~2006年、ソウル特派員。2006年共同通信社退社。『オーマイニュース』副編集長。2011年からテレビ朝日『モーニングバード』のコメンテーターとしてレギュラー出演。


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