「TN君の伝記」なだ いなだ

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TN君の伝記 (福音館文庫 ノンフィクション)

【私の評価】★★★★☆(82点)


■明治維新をフォローしたいな、
 と思いながら手にした一冊です。


 TN君とは、明治維新後に活躍した
 土佐の思想家・政治家
 中江 兆民(なかえ ちょうみん)です。


 中江 兆民はフランス語が堪能だったことから
 岩倉使節団と共に米国、ヨーロッパを旅し、
 フランス滞在中はヨーロッパの
 歴史、法律、哲学などを学びました。


 中江 兆民はフランスで学んだ
 民主主義、共和政のルソーの思想を
 明治維新後の日本に紹介したのです。


・ルソーは・・1762年には『社会の契約』と
 『エミール』を出版した。『エミール』は、
 教育のありかたについて書いたものだが、
 当時の学校を経営していた
 教会の坊さんたちの反対で、
 出版が禁止になり逮捕状がでたので、
 フランスから逃げださねばならなかった(p106)


■中江 兆民は、『東洋自由新聞』の
 主筆として社説を書くものの
 すぐに廃刊。


 衆議院議員選挙に出馬し、
 当選するものの、
 派閥の裏切りに憤り辞職。


 北海道で林業や
 鉄道事業に投資するものの、
 借金で首が回らなくなる。


 中江 兆民は、本当に
 世渡りが下手くそな学者であった
 ということなのでしょう。


・TN君のおじいさんも、おやじさんも、
 大砲の技術者だった・・
 技術には自信があるが、
 世わたりはぜんぜん下手、
 という人間がそろっていたらしい(p20)


■歴史というものは、
 革命を進める人を殺し、
 何もしない人を生き残らせる
 のだと思いました。


 言い方を変えれば、
 世渡り下手は消え、
 世渡り上手が残るのです。


 理論だけでは世の中
 通じないところがあるという
 ことなのでしょう。


 なだ さん
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・スイスは、昔から独立心のつよい
 山の民の住むところだった・・
 村や町は、自分たちの法律をもった
 小さな独立国といってよいものだ(p103)


・学者が、どうして、危険人物になるのでしょう。
 そうだね。それは、時代のせいだ。
 学者は、ただ見たものを忠実にいう。
 いわねばならない・・
 裁判官のいうことが、
 つねに正しいなら問題はないのさ。
 しかし、そうでない時代がある。
 そのとき、学者は、危険人物になる(p120)


・吉田東洋という人も、不思議な人物だった。
 彼は、つぎつぎと藩の古いわるいところを
 変えていった。貧しいものの税を軽くし、
 金持からの税を多くとった。
 能力のあるものは身分の低いものも、
 どんどん、とりたてた・・ところが、
 不思議と人気がわかなかった・・
 新しい世の中をつくろうとあつまった
 若者たちが、ことのほか憎んだのが、
 吉田東洋だ(p35)


・歴史というものは、どうして、
 こうも夢には残酷なんだろう。
 大きな人間を殺し、
 小さな人間を生きのこらせ、
 大きな夢を目ざして動きだした世の中を、、
 小さく、つまらない、平凡なものに
 まとめあげてしまう(p64)


・たとえば、いまの総理大臣を、君はよく
 知っているような気がするだろう。
 だけど、彼が戦争中はどんなことをしていたか、
 どんなことを言っていたか、
 知っているだろうか(p12)


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■目次

第一章 少年時代
第二章 青年時代の1 高知から長崎へ
第三章 青年時代の2 江戸で
第四章 青年時代の3 ヨーロッパで
第五章 青年時代の4 フランスで
第六章 青年時代の5 日本に帰る
第七章 自由をもとめる人たち
第八章 抵抗のなかで1
第九章 抵抗のなかで2
第十章 ふまれる麦のように
第十一章 東洋自由新聞をだす
第十二章 十年先の約束
第十三章 自由のために流される血
第十四章 まだ、あきらめない
第十五章 最初の国会
第十六章 TN君、いずくにある
第十七章 いやな感じ
あとがき



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