「大相撲新世紀 2005-2011」坪内 祐三

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大相撲新世紀 2005-2011 (PHP新書)

【私の評価】★★★★☆(82点)


■大相撲ファンの作家による
 大相撲の解説です。


 貴乃花親方の問題を考えるため
 この本を手にしました。


 大相撲はスポーツなのか
 興行なのか。


 枡席で大相撲を楽しむ著者は、
 どちらかといえば、
 伝統の大相撲を愛する
 ファンなのでしょう。


・明治の末に相撲を国技と名づけたのは
 当時の大衆作家江見水蔭であるが
 (だから実は相撲は国技となってから
 百年しか経っていない)。
 確かに相撲は日本に特有な興行だと思う
 (私は相撲を単なるスポーツとは
 考えていない)(p191)


■まず、八百長については、
 いろいろな種類があるとしています。


 まず、暴力団や賭博が関係する
 八百長があるが、これは犯罪。


 一方で、幕下に落ちそうな一番を
 買うというのがあるが、
 金がからめば八百長だが、
 もし金がからまなければ?


 さらに、2001年夏場所、
 膝を亜脱臼していた貴乃花に
 負けた武蔵丸は八百長なのか。


 著者は、
 「気合いが入らなかった」
 という武蔵丸が好きだという。


 小泉首相がも八百長に
 「感動した!」らしい。


・ここで彼が負け越したら(あるいは大負けしたら)
 幕下に落ちてしまうちう取組の時にいつもと違う
 動きをしてしまう力士がいることも知っている。
 それに金がからんでいれば八百長といえるが、
 そうでない場合もある。つまり人間の情である。
 そうゆう情を持った力士が私は嫌いではない(p264)


■また、日本相撲協会については
 その判断、力士の処分について
 いろいろと文句があるようです。


 日本相撲協会の尿検査で
 大麻陽性反応が出た露鵬と白露山は
 警察での取り調べではシロだったのに
 解雇された。


 職務放棄を続けていた朝青龍を
 日本相撲協会は放置しておきながら、
 モンゴルでサッカーをしていたら
 いきなり謹慎処分をくらった。


 蒼国来と星風は、八百長への関与を認めた
 2人の証言だけで解雇を勧告された。
 (その後、裁判で勝利し、お相撲へ復帰)


 つまり、一貫性と透明性が
 ないということですね。


・日本相撲協会の内部調査委員会の抜き打ち尿検査で、
 露鵬は(そして彼の弟の白露山も)陽性反応を示した。
 しかし不思議なことに、そのまま連行された警察での
 取り調べではシロで、すぐに行われた家宅捜索でも、
 大麻吸引を示す証拠品はいっさい発見されなかった。
 つまり彼らは何の犯罪も犯していなかった。
 なのに日本相撲協会から解雇されたのだ。
 メディアはそれに異をとなるどころか、
 彼ら二人を強く批判した(p188)


■最近のメディアというか
 バラエティ番組も
 批判しています。


 暴力団、八百長との関係を
 テレビは批判しますが、
 某大手芸能プロダクションは
 きわめてヤクザに近い筋と
 言われているではないか。


 そのプロダクションのタレントの
 スキャンダルがテレビで
 報じられることはない。


 いつかブーメランが飛んでくるのだろう
 というのです。
 どうなんでしょうね。


 坪内さん
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・朝青龍問題について・・
 横綱という職務をサボって、
 しかもケガの治療という名目のもとに帰国しながら
 サッカーをしていたのが問題なのだ・・
 しかし実は、周知のように(?)、朝青龍が
 このような職務放棄をしてしまったのは
 今回が初めてではない・・
 ところがそれに対して、日本相撲協会は・・
 何のおとがめも与えなかった(p98)


・大相撲の大切な行事に地方巡業がある。
 勧進元と呼ばれる地元の有力者たち
 (かつてはその多くがヤクザだったと
 テレビである関取経験者 実名を挙げれば
 龍虎 は語っていた)が興行権を買い、
 彼らがチケットをさばいてくれるのだ。
 ところが若貴を中心とした相撲ブームの時・・
 直接自分たちで興行したほうが儲かると
 日本相撲協会は考え、
 地方巡業を自主興行制とした・・
 しかし、ブームは去った・・
 それが地方場所不振の理由なのだ(p26)


・2007年初めの『週刊現代』の八百長報道と
 2011年初めの「八百長」の実態は
 その内容が全然異なっている・・
 だいいち、その八百長批判キャンペーンの中心にいた
 武田頼政というノンフィクションライターの
 言説は・・かなりデタラメが目立った(p57)


・2001年夏場所、武蔵丸との優勝決定戦で、
 貴乃花が前日に膝を亜脱臼していたんだけれど
 負けた武蔵丸(現振分親方)のインタビューが
 すごくよかった。武蔵丸は、無気力という
 言葉は使わなくて、「気合いが入らなかった」
 とだけ言ったんです。あの、小泉首相が
 「感動した!」と言った一番なんですがね(p225)


・だいいち不思議なのは、警視庁が捜索していたのは
 野球賭博事件だ。その件のウラを取るために
 力士たちの携帯電話を押収した。
 そこで知りえた秘密をすべて第三者に
 明かしてしまってよいのだろうか・・
 それをわざわざ新聞記者にばらしてしまう(p252)


・メディアはこの「事件」を暴力団
 (山口組系の暴力団)と
 結びつけて論じたがっていた・・
 結局、その筋は見つけられなかった。
 つまりあくまで身内の中だけの賭博だった
 (それなのに解雇されてしまった哀れな琴光喜!)
 (p260)


・「追加調査の2力士 八百長認定の方針」・・
 その「2力士」が蒼国来と星風
 (これまた私の好きなガチンコ力士)・・
 八百長への関与を認めた元春日錦、元千代白鵬、元恵那司の
 3人のうち2人以上から蒼国来と星風の八百長について
 改めて証言を得た・・しかし、
 「3人のうち2人以上」の証言だけで何故
 「それらが信用に足ると判断」できるのだろう・・
 誰にでも八百長のレッテルが貼れる・・
 あまりに杜撰な調査だ・・このあと日本相撲協会は、
 えっ、それはまたデタラメな、という懐柔策を持ち出す。
 つまり解雇になっても退職金は支払うというのだ
 (それでは先に八百長を認めた力士たちが可哀相だ)。
 しかし蒼国来はそれを拒絶した(p279)


・私はいつも、デパ地下で買った
 日本酒と幕の内弁当を持って、
 それを枡席に広げて、
 国技館で相撲を楽しむ・・(p84)


・同じ値段の席で、東側や西側の席はもっと
 下まで空いていても、正面や向正面の
 席ばかりが売られていく・・
 あることに気が付いた。つまりテレビに
 よく映る関から埋められていくのではないか、と・・
 実際、テレビで見ているだけでは、
 最近の両国国技館の大相撲の
 そこまでのガラガラぶりは伝わってこない・・
 私はむしろ、テレビで、その空席を
 もっと映してしまえば、と思っている。
 その空席を見て、逆に、あっ、
 当日でも余裕で入れるんだと思って、
 館内に足を運ぶ一般の相撲ファンが
 増えるのではないだろうか。
 そこそこ入ってるように演出する方が
 時代遅れではないか(p34)


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■目次

「大相撲」と「プロ野球」が終わりゆくマゾヒスティックな快感
空席と季節感
幕下の幕内以上に味わい深い世界を知る
なぜ時津風部屋事件は起きたのか
大阪府立体育会館で私は二日続けて座布団が飛び交う姿を見た
相撲のおかげ
朝青龍問題について知っておくべきこと
時津風部屋問題について
白露山と露鵬のこと
六本木に向かうグルジアの力士とロシアの力士



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