「夕張問題」鷲田 小彌太

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「夕張問題」 (祥伝社新書)

【私の評価】★★★★☆(87点)


■10年前に北海道の夕張市が破綻しました。
 1万人くらいの町で、借金は500億円です。


 本書は夕張市の財政再建計画、つまり
 人件費削減、住民サービスのカットに対する
 著者の感想と意見となっています。


 日本の人口が1億人で、借金が1000兆円。
 現在の日本政府のほうが厳しい状況にあり、
 夕張を考えることは、
 日本を考えることになるのでしょう。


・「自治体は絶対に潰れない、人が住んで居れば
 自治体はなくなることはないんだ。
 最後は国がついているんだ」。
 これは中田市長の言葉だ
 (『夕張市長町おこし奮戦記』PHP研究所1987)(p131)


■まず、人件費カットについては、
 夕張市は同規模の自治体の2倍の人員数で
 給与も高かった。


 つまり、人件費カットはカットではなく、
 人件費を適正化したということです。


 市民税、自動車税、入湯税を上げる。
 ゴミ有料化、水道料の値上げ、
 図書館、美術館が閉鎖される。


 これらも、これまでの高いサービスを
 普通に戻すだけであり、
 元々過剰で格安のサービスだったのです。


・市役所の職員数を半減し、給与水準を
 一般職員で平均最大40%カットで臨むという。
 やっと、同じ規模の市と肩を並べたのだ。
 経常収支に占める人件費の割合が
 50%を超えていた状態から
 平常へと脱却可能になった(p47)


■夕張市の破綻は、
 国や自治体の仕事の欠点を
 すべて示唆していると感じました。


 まず、収入と支出に
 責任を持つ人がいないこと。


 逆に責任を持つ人自身が、
 収入以上の支出を推進している。


 黒字でない事業はリストラまたは
 廃止するべきなのに、
 ずるずると事業を継続してしまう。


 収入以上の支出を永遠に
 続けることはできないのです。


 鷲田さん
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・91年、松下興産が大規模なスキー場と
 リゾートホテル経営にのりだしてきた・・
 しかし、私企業である。
 将来とも、集客数の増加が見込めず、
 採算が合わないと分かると、すぐに撤退する・・
 施設を市に買い取らせる・・つまり、
 私企業が手を出さない観光事業を、
 市がはじめた・・そもそも夕張市が
 観光事業に手を出さなかったら、
 今日の破産を迎えることはなかった(p130)


・夕張の「人口千人当たり普及会計職員数(04年)は
 20.12人で類似団体10.20と比較すると
 約二倍となっている・・つまり、
 夕張市の職員に待っているのは、
 《地獄》の生活ではない。
 ごく普通の《地上》の生活ということだ。
 06年までは、まさに《極楽》の生活を
 送ってきたのである(p141)


・地方債の発行残高は、83年に107億円を超え、
 ピークの92年は220億円に達した。
 法的にいえば、夕張市はもう20~30年前から
 「破産」していたのだ(p26)


・バブルが終わったあとも、毎年200億円近い
 財政支出を続けた。夕張市の適正規模を
 2~5倍超え、この30年近く、一度も緊縮財政に
 戻ろうとする姿勢さえ見せなかった(p27)


・夕張市の税等での収入は10~20億円で、
 過半を交付税等の国費でまかない、
 不足分を起債や金融機関からの
 闇借金で補ってきたのである・・
 30年近い間、毎年50~80億円の
 実質赤字を続けていたことになる(p36)


・夕張市はこの一時借入金を用いて、01~05年まで、
 実質赤字118.8億円を帳簿上から抹消してきた・・
 不適切(不法)な財政処理法によって
 赤字を隠蔽してきたこともまた、
 膨大な赤字を生む原因になった(p60)


・夕張メロンとメロン農家、その販売と
 普及に従事している人々を中核とした「夕張」は、
 炭鉱や観光の盛衰にかかわりなく生きてきたし、
 今後も生きることができる(p90)


・美唄(びばい)は67頁の年表でも分かるように、
 閉山を正面から受けとめ、企業誘致、
 福祉行政サービス、学術都市、そして
 本来の農業振興にシフトして生きてきている(p69)


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■目次

1章 ダイヤ型=心臓の形をし、Y字形に伸びる旧石炭の町・夕張
2章 「財政破綻」か、「市破綻」か?リストラは可能か?
3章 夕張の繁栄と衰退
4章 夕張再生のシナリオ 10のテーゼ
5章 夕張、その可能性の条件=哲学



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