「神の子どもたちはみな踊る」村上 春樹

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神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫)

【私の評価】★★★☆☆(71点)


■1999年に書かれた
 「地震の後で」という副題で書かれた
 6つの短編小説です。


 地震とは1995年の阪神・淡路大震災
 なのでしょう。


 人の命、人生についての
 コメントが多い印象でした。


 でも、それぞれの小説が、
 まったく違う場所、境遇、
 不思議な空間でした。


・「小説を書いていたの?」
 淳平はうなずいた。
 「うまく行ってる?」
 「いつものとおりだよ。短編を書く。
 文芸誌に掲載される。だれも読まない」(p195)


■面白いのは、闇の力と戦って、
 地震を止めて
 東京を救ったかえるくん。


 でも、その戦いは想像の中で
 行われたのだという。


 そして、かえるくんは亡くなった。
 東京を地震から救って。


 かえる・・地震・・わからん。


 そして、ヘミングウェイ、
 トルストイやドストエフスキーが
 会話に出てくるところが、
 読書を強要している。


・ぼくらはそこで勝ち、そこで破れます。
 もちろんぼくらは誰もが限りのある存在ですし、
 結局は敗れ去ります。
 でもアーネスト・ヘミングウェイが看破したように、
 ぼくらの人生は勝ち方によってではなく
 その破れ去り方によって最終的な価値を
 定められるのです。ぼくと片桐さんは
 なんとか東京の壊滅を
 くい止めることができました(p180)


■何を言いたいのだろうか、
 と考えました。


 いや、何も伝えるつもりは
 ないのかもしれない。


 ただ、無常な自然の驚異である
 大震災のあとで、
 頭に浮かんだストーリーを
 書いたのだろうか。


 わからないというところが、
 村上ワールドなのですね。


 村上さん
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・小村はコーヒーに砂糖を少しだけ入れて、
 スプーンでかきまわした。
 そして一口飲んだ。
 コーヒーは薄くて、味がなかった。
 コーヒーは実体としてはそこになく
 記号としてそこにあった。
 俺はこんなところでいったい
 何をしているのだろう・・(p24)


・更年期という問題は、
 いたずらに寿命をのばしすぎた人間への、
 神からの皮肉な警告(あるいはいやがらせ)
 に違いないとさつきはあらためて思った(p116)


・これからあなたはゆるやかに死に向かう
 準備をなさらなくてはなりません。
 これから先、生きることだけに
 多くの力を割いてしまうと、
 うまく死ぬことができなくなります・・
 生きることと死ぬることとは、
 ある意味では等価なのです(p142)


・新宿歌舞伎町は暴力の迷宮のような場所だ。
 昔からのやくざもいるし、
 韓国系の組織暴力団もからんでいる。
 中国人のマフィアもいる。
 銃と麻薬があふれている(p159)


・ちょっと脅したんです。
 ぼくが彼らに与えたのは精神的な恐怖です。
 ジョセフ・コンラッドが書いているように、
 真の恐怖とは人間が自らの想像力に対して 
 抱く恐怖のことです(p169)


・片桐は眠りの厚い衣に包まれたかえるくんの姿を、
 長いあいだ眺めていた。病院を出たら、
 『アンナ・カレーニナ』と『白夜』を買って
 読んでみようと片桐は思った(p183)


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■目次

FOが釧路に降りる
アイロンのある風景
神の子どもたちはみな踊る
タイランド
かえるくん、東京を救う
蜂蜜パイ



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