「テレビ局の裏側」中川 勇樹

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テレビ局の裏側 (新潮新書)

【私の評価】★★★☆☆(74点)


■番組制作を担当するフリーの
 テレビディレクターが語る
 業界のお金の話と演出です。


 テレビ番組では
 「格差社会」を批判しますが、
 テレビ業界こそ「格差社会」。


 テレビ局・・大手制作会社・・
 中小制作会社・・派遣という
 身分制度ができている。


・テレビがいわゆる「格差社会」について
 報道することはあっても、自分たちの業界の
 ことには触れないのが暗黙のルール・・
 新人アシスタントディレクターの給与を
 比べてみよう。局の社員は・・月30万は
 軽く超える・・大手制作会社なら20~25万、
 中小や派遣になると15~18万程度(p21)


■制作会社は視聴率を取るために
 売れる演出が求められます。


 特にバラエティなら
 「画作り(えづくり)」と呼ばれる
 演出が当たり前になっている。


 街頭インタビューなら
 やらせにインタビューする。


 ディスカウントストアの
 現金買い付けは事前打ち合わせの
 お芝居のようなもの。


 ゴミ屋敷なら主人を怒らせる。


 テレビ番組はこうして作られ、
 お客様にCMとともに
 売られていくのです。


・ゴミ屋敷を撮影して「酷いですねー、
 近所の人も迷惑してます」と
 リポートするだけでは足りない。
 求められる「現象」とは、例えば
 トラブルの原因であるゴミ屋敷の主人が、
 カメラの前に出てきて、わがまま放題の
 理屈になっていない自説を展開し、
 傍若無人な振る舞いをすること・・
 現場のディレクターが、「演出の範囲」で
 様々な努力をする。この場合の基本は、
 ゴミ屋敷の主人にしつこく
 話しかけることだ(p121)


■確かにテレビ番組を作るためには、
 事前の了解やシナリオ、「画作り」
 が必要なのでしょう。


 それも視聴率という数字で
 評価されている中では、
 どんどん追い込まれてしまう
 人もいるのでしょう。


 中川さん
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・局の社員は新人でも、数カ月から1年程度で
 ADからディレクターになり、順調にいけば、
 プロデューサーやチーフディレクターに
 上っていくが、制作会社のスタッフは
 どんなに優秀でも曜日ごとの演出責任者である
 「曜日チーフ」止まりである(p20)


・「週刊ダイヤモンド」(09年9月19日号)を見ると・・
 第1位はTBS(現:東京放送ホールディングス)
 で1472万円、6位がテレビ朝日1426万円、
 7位日本テレビ放送網1321万円。(p23)


・09年6月、テレビ朝日の社長に早河洋氏が
 就任したことが業界で話題になった。
 早河氏が、同社では初めての
 プロパー社長だからだ。
 君和田正夫前社長も、広瀬道貞前々社長も
 筆頭株主である朝日新聞社の専務取締役
 にまでなった人物で、これまで歴代の
 トップは全員が朝日新聞の出身者
 というのが慣例だった(p25)


・アメリカの放送業界関係者に
 「放送作家はテレビ番組の企画やアイデアを出し、
 台本作成などを行う職業」と言ったところ、
 不思議そうな顔をされたことがある。
 「それはプロデュ―サーの仕事だろ?」
 というのだ(p47)


・駆け出しの(放送)作家で1本あたり3~5万円。
 ワイドショーや情報番組のレギュラー
 コーナーを担当する若手から中堅どころの
 作家で10~20万円程度。
 バラエティのチーフ作家で30~50万円。
 改変期のスペシャル番組のメインなどを
 手がけるベテラン有名作家になれば、
 1本100万円を超えることもある(p56)


・制作費・・広告代理店が営業経費など
 マージンを差し引いてからテレビ局に渡す。
 マージンは条件により異なるが、
 10%台から25%程度と言われる。
 さらにここからテレビ局が自社の利益や
 営業経費を差し引いたものが番組制作費となる。
 「あるある」のケースでは、
 この番組制作費が3250万円なので、
 1社提供のスポンサーである花王は、
 4500~5000万円ほどの制作費を
 支払っていたと推定できる(p131)


・もうひとつの電波料とは、コマーシャルを
 含んだ番組を放送するための料金だ・・
 波代(なみだい)とも呼ばれるこの料金は
 制作費と同程度にまでなることが多い(p131)


・「とにかく面白くしたい、視聴率を取りたい
 との思いから捏造に手を染めた」・・・
 テレビ番組「発掘!あるある大事典2」を
 制作した番組制作会社のディレクターが、
 捏造の過程を振り返ってこう語っていた(p73)


・ドキュメンタリー番組でも様々な
 「仕込み」が行われる。
 取材対象が人間や企業の場合、
 カメラが密着することは事前交渉なしに
 不可能だからだ(p105)


・08年11月に報道された「真相報道バンキシャ!」
 (日本テレビ・02年~)の岐阜県庁の
 裏金を巡る報道は、後に証言者が
 嘘をついていたことが発覚した。
 この人物も報酬目当てで、
 インターネット経由で自らを
 番組に売り込んできた(p107)


・08年には、公正取引委員会がテレビ朝日に対して
 景品表示法に違反する恐れがあると警告を発した。
 問題となったのはショッピング番組で扱われた
 健康器具「ロディオボーイ2」に関する実験。
 番組は被験者のいずれもが体重が減少したと
 紹介した・・テレビ朝日は、番組に登場した
 体験モニター16人のうち6人が健康器具以外に
 食事制限などを行っていたことを明らかにした(p186)


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■目次

第1章 決して放送しない話
第2章 なぜ必ず徹夜になるのか
第3章 捏造してでも叶えたかった
第4章 「決定的瞬間」はつくりもの
第5章 人気番組ほどつらい
第6章 お詫びの対象になります
第7章 視聴者が変わる、テレビが変わる



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