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「日本の政治報道はなぜ「嘘八百」なのか」潮 匡人

2017/10/07公開 更新
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日本の政治報道はなぜ「嘘八百」なのか (PHP新書)


【私の評価】★★★☆☆(79点)


要約と感想レビュー

問題点には触れないNHKニュース

航空自衛隊からジャーナリストとなった潮さんの一冊です。軍事のプロだけあって現在の中国の動きには、非常に危機感を持っているように感じました。中国の尖閣への侵入行動、沖縄独立への工作活動が活発化しているのです。しかし、それをサポートしているのが、日本の左翼マスコミです。マスコミの政治報道が、いかに偏向しているのか具体的に例を挙げて説明しています。


例えば、2016年6月28日の「JBプレス」で織田元空将の論文「東シナ海で一触即発の危機、ついに中国が軍事行動 中国機のミサイル攻撃を避けようと、自衛隊機が自己防御装置作動」が公開されましたが、その深刻さについてマスコミが報道しないことを批判しています。


また、よくNHKニュースでは「軍艦には領海での無害通航権が認められています」と報道していますが、この無害通航権は一般には解釈が決まっていないという点を指摘しています。つまり、山本草二著『国際法』では、「軍艦に対して無害通航権が認められるかどうかについては、今日も一般条約上の規定がなく、解釈が対立している」「国連海洋法条約でも、軍艦の無害通航権について明文の規定をおくことに合意が成立せず、問題は未解決のままである」と記載されているのです。


・(2016年12月)25日の際には「ジャンカイⅡ級フリゲートから哨戒ヘリコプターZ-9(1機)が発艦し、宮古島領空の南東約10キロから30キロの空域を飛行した」(防衛省)。NHK以下メディアは、以上の政府発表を垂れ流すだけで、その問題点には触れない・・領空侵犯される寸前だった、そういうことである(p53)


オスプレイつぶしキャンペーン

左翼マスコミは大切なことを伝えないだけでなく、中国を支援するキャンペーンのような偏向報道も行っています。例えば、2016年12月18日生放送の「サンデーモーニング」(TBS系列)では、オスプレイ墜落事故について米軍関係者が「住宅や県民に被害を与えなかったことは感謝されるべきだ」と会見で発言したことを切り取って、西崎文子(東京大学大学院教授)に「とんでもないと思うんですけど、いまに始まった話ではない。こうした姿勢はいままでにもあった」と発言させています。


司会の関口宏は、「人の家の上に落ちなかっただけでも感謝されるべきだ。この発言は、西崎さん」と西崎文子(東京大学大学院教授)に話を振って、「日本は一人も犠牲を出さないというのが大切の思われているわけですけど、アメリカは戦争をする国ですから、少々の犠牲は織り込み済みというところがある。実は。トランプ大統領になると、これが普通のことになる」と、世論へ誘導するような会話を報道しているのです。


・2016年12月13日、在沖アメリカ軍の輸送機「オスプレイ」が事故を起こした・・2016年12月14日放送の「報道ステーション」(テレビ朝日系列)は・・富川悠太MCが開口一番「在沖縄のアメリカ軍トップが『感謝されるべき』と言ったのは、ほんとに意味わかんないですし、(中略)もし住宅地に向かっていたと考えたら、ほんとに恐ろしいですね」と放言した(p148)


沖縄ヘリパッド建設つぶしキャンペーン

同じように、沖縄ヘリパッド建設に反対する左翼活動家が妨害活動をしているのに対し、大阪府警の警察官(機動隊員)が「土人」と言ったことを切り取って、野党、マスコミから批判を受け、巡査部長と巡査長は「戒告」処分を受けています。さらにマスコミは彼らの顔をテレビで全国に報道し、「処分が軽」いと批判していたのです。当時、反対派の左翼活動家が機動隊に、「お前たちの家もわかるんだぞ!」「妻子だってわかるんだ、ばか者!」という暴言については一切報道することはないのです。


こうした報道をまとめると、論文になるのではないでしょうか。潮さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・2016年、ロシア軍は新型の地対艦ミサイル・システム「バル」(射程130キロ)を国後島に展開させた・・加えて最新鋭の地対艦ミサイル・システム「バスチオン」(射程300キロ)を択捉島に実戦配備した(p133)


・公安調査庁は、平成28年(2016年)12月22日、平成29年版の「内外情勢の回顧と展望」を公表し、在日アメリカ軍基地が集中する沖縄県を巡り、中国の大学やシンクタンクが、沖縄の独立を求める団体の関係者と交流を深めているとしたうえで、「中国に有利な世論を沖縄でつくることによって日本国内の分断を図る狙いが潜んでいると見られる」と注意を喚起した(p142)


・(2016年)3月22日、安倍内閣がこう閣議決定した・・日本共産党は、現在においても、破壊活動防止法に基づく調査対象団体である・・警察庁としては、現在においても、ご指摘の日本共産党の「いわゆる敵の出方論」に立った「暴力革命の方針」に変更はないものと認識している(p206)


日本の政治報道はなぜ「嘘八百」なのか (PHP新書)
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【私の評価】★★★☆☆(79点)


目次

序章 トランプ政権誕生で「戦後」が終わる
第1章 報道されない「いま、そこにある危機」
第2章 そして政府もマスコミも信じられなくなった
第3章 なぜ中国の言い分を垂れ流すのか
第4章 「尖閣危機」より「リオ五輪」でいいのか
第5章 マスコミが伝えない北方領土の真実
第6章 そして中国がほくそ笑む
第7章 野党と自分に甘く、与党には厳しい
第8章 なぜ「二重国籍」を黙認するのか
終章 本当に「生前退位」でいいのか



著者経歴

潮匡人(うしお まさと)・・・昭和35年生まれ。早稲田大学法学部卒業。旧防衛庁・航空自衛隊に入隊。航空教育隊区隊長、第304飛行隊付幹部、大学院研修(早大法学研究科博士前期課程修了)、航空総隊司令部幕僚、長官官房勤務等を経て3等空佐で退官。財団顧問、シンクタンク研究員、クレスト社副編集長、聖学院大学専任講師、防衛庁広報誌編集長、帝京大学准教授、拓殖大学客員教授等を歴任。公益財団法人「国家基本問題研究所」客員研究員。NPO法人「岡崎研究所」特別研究員。東海大学海洋学部非常勤講師


偏向報道関連書籍

「「官僚とマスコミ」は嘘ばかり」髙橋 洋一
「TVニュースのタブー 特ダネ記者が見た報道現場の内幕」田中 周紀
「TBS「報道テロ」全記録―反日放送局の事業免許取り消しを!」
「永田町・霞が関とマスコミに巣食うクズなんてゴミ箱へ捨てろ!」ケント・ギルバート
「日本の政治報道はなぜ「嘘八百」なのか」潮 匡人
「朝日リスク 暴走する報道権力が民主主義を壊す」櫻井 よしこ、花田 紀凱


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