「東芝解体 電機メーカーが消える日」大西 康之

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東芝解体 電機メーカーが消える日 (講談社現代新書)

【私の評価】★★★★☆(80点)


■東芝は海外の原子力事業で
 巨額の損失を出し、
 パソコン事業等の粉飾決算が
 明らかになっています。


 他にも、NEC、パナソニック、
 ソニー、日立、富士通も
 元気がありません。


 日本の電機メーカーは
 どうしてこうなって
 しまったのでしょうか。


 著者の仮説は、
 日本の電機メーカーには
 国内に安定した収入が十分に
 確保されていたからというものです。


・アップルやサムスンは自らリスクを取って
 スマホを開発し、巨費を投じて世界規模の
 販売網とブランド力を構築したが、日本勢は
 ドコモの指示を待ち、自らリスクを取らなかった。
 競争を排除する「電電ファミリー」という名の
 社会主義が、日本メーカーから本来の
 競争力を奪ってしまったのである(p32)


■つまり、過去の日本の電機メーカーは、
 総括原価制度で守られた電力会社や、
 NTTから安定した収益を得ていた。


 ところが、通信と電力の自由化により
 その安定収入が失われることで
 その強みが弱みに変わります。


 特に東芝の場合には、
 原子力に集中投資した直後に
 東京電力の福島第一原発事故が発生。


 国策でもある原子力を
 辞めるわけにもいかないという
 ジレンマの中で粉飾決算で
 時間を確保しようとした
 ということでしょうか。


・電気料金、電話料金という名の「税金」を
 元手に電力会社とNTTが支配する
 社会主義的な構造である。一個の独立した
 産業に見えている日本の電機産業は、
 その下部構造でしかなかった(p260)


■確かに一理あると思いました。


 安定収入があることは、
 強みでもあり、
 弱みでもあるのです。


 新潟と福島に集中した原子力が
 東京電力の強みであり
 弱みでもあったのと似ていますね。


 大西さん
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・東芝の2016年3月期の連結売上構成を見てみよう・・
 5兆6687億円の売上高の半分以上を
 「電力ファミリー」「電電ファミリー」に
 関わる部分で稼いでいる。(p80)


・東芝には防衛装備部門があり、
 地対空ミサイルを開発・製造している。
 一方、原子炉は発電装置であると同時に、
 核兵器の材料となるプルトニウムの
 製造装置でもある。両方の技術を持つ東芝は
 「核ミサイルを作れる会社」だ(p76)


・電力ファミリーと政治の近さは、
 「財界総理」と呼ばれる歴代、経団連
 (経済団体連合会。現日本経済団体連合会)
 首脳の顔ぶれを見ても一目瞭然だ。
 会長は第2代の石坂泰三と第4代の土光敏夫が東芝、
 第7代の平岩外四が東電。(p39)


・NECなど「電電ファミリー」が作る
 通信機器はNTTの特注品なので、
 信頼性は高いが値段も高い。・・
 価格競争にさらされているドコモも、
 いずれは「割高なNECからノキアや
 エリクソンなど外資企業の通信機器に
 乗り換える可能性がある(p94)


・日立=ホンハイの提携を「液晶技術の
 海外流出」と捉えた経産省は、提携阻止に
 動き出す・・ホンハイと組もうとしていた
 日立を引き戻し、東芝、ソニーと組ませた。
 こうした生まれたのが前述のJDIである(p129)


・1970年代の終わり、シャープは
 韓国のサムスン電子に半導体技術を
 供与している・・このときサムスンに
 技術指導をしたシャープの元副社長、
 佐々木正は今もサムスンから「恩人」
 の扱いを受けているが、サムスンに
 苦杯をなめされられた日本の
 半導体メーカーや経産省は、
 佐々木を「国賊」と呼ぶ(p138)


・三菱電機の強さ・・構造改革とは、
 「勝てない事業から撤退し、勝てる分野に
 ヒト・モノ・カネを集中すること」だ。
 当たり前の経営だが、
 三菱電機以外の電機大手はどこも、
 その「当たり前」ができなかった(p237)


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■目次

序章 日本の電機が負け続ける「本当の理由」
1 東芝 「電力ファミリーの正妻」は解体へ
2 NEC 「電電ファミリーの長兄」も墜落寸前
3 シャープ 台湾・ホンハイ傘下で再浮上
4 ソニー 平井改革の正念場
5 パナソニック 立ちすくむ巨人
6 日立製作所 エリート野武士集団の死角
7 三菱電機 実は構造改革の優等生?
8 富士通 コンピューターの優も今は昔



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