【私の評価】★★★☆☆(77点)
■福島第一原子力発電所の事故は、
悲惨なものでした。
多くの周辺自治体の人たちが、
国の指示で避難し、
今も多くの人が避難しています。
この本では、
今回の事故の放射線で死亡する人より、
避難のストレスで死亡した人が
多かったのではないかと
問題提起しています。
特に自分では動けないような
介護老人は避難により
多くの人が亡くなっています。
・3年半に及ぶ避難生活は、住民の心身を
ズタズタにしてきました・・直接死を上回る
3089人(2014年3月末現在)の「震災関連死」・・
体調不良や過労、自殺など(p79)
■つまり、福島では
データに基づく合理的な判断が
できていないのではないか
ということです。
なぜ、避難すると亡くなるリスクが
高い人まで避難させるのか。
なぜ、自然被ばく量が約2mSv/年で、
100mSvでガンが0.5%増える程度なのに
除染の目標が1mSv/年なのか。
なぜ、世界の原子力発電所では放流している
弱い放射線しか出さないトリチウムを含んだ
汚染水が放流できないのか。
・日本人の自然被ばく量は平均
約2.09ミリシーベルト/年・・
一方で、自ら望んで受ける「医療被ばく」は
世界一(平均3.87ミリシーベルト/年!)・・
イランの温泉保養地ラムサールには
ウラン鉱石による自然被ばくが
非常に多いところで、
1年間で260ミリシーベルト
といった場所があります(p29)
■特に放射能に関しては、
理論や統計的に間違った判断が
行われやすいのだと思いました。
なぜなら、放射能というものが見えず、
影響もすぐには出現せず、
なんとなく怖いものだからです。
現実問題として、
風評被害が出るじゃないかという
こともあると思います。
合理的な報道と
合理的な意思決定ができないのは
戦争中から今まで
変わらないのだなとも感じました。
中川さん、
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・広島・長崎のような一瞬の被ばくでは、
100ミリシーベルト以上になると・・
がん死亡が0.5%増えます(p36)
・天然の放射性物質であるポロニウムなどが
含まれる魚介類を摂取することによって、
日本人は年約1ミリシーベルト程度の
自然な内部被ばくを受けています(p19)
・肥満や運動不足、塩分の摂りすぎは
200~400ミリシーベルトの被ばくに相当します。
タバコを吸ったり、毎日3合以上のお酒を飲むと、
がん死亡率のリスクは1.6~2倍に
跳ね上がりますが、これは2000ミリシーベルトの
被ばくに相当します(p4)
・汚染水はなぜ流していいのか・・・
汚染水に残るのは水素の同位元素の
「トリチウム」という放射性物質だけです・・
トリチウムは1リットル当たり6万ベクレルまでは
海洋放出してよいと認められています・・
毎日2リットル飲んだとしても、
1年間の被ばく量は0.8ミリシーベルト程度(p18)
・飯館村の老人ホームを避難させようとした愚・・
高齢者を動かすと、むしろ亡くなる確率が
高まるというのは、
データとして出てきています(p51)
・飛行機と自家用車を比べたら、
自家用車の危険のほうが確率的には
絶対に高いわけです・・
9・11の後にものすごくアメリカで
交通事故が増えちゃった(p165)
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【私の評価】★★★☆☆(77点)
■目次
第一章 放射線のウソ・ホント
第二章 がんのウソ・ホント
第三章 避難が最大のリスクという福島の皮肉
第四章 豊かさと健康長寿は相関する
第五章 「バカの壁」で健康を損ねる人類