「放射線医が語る福島で起こっている本当のこと」中川 恵一

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■福島第一原子力発電所の事故は、
 悲惨なものでした。


 多くの周辺自治体の人たちが、
 国の指示で避難し、
 今も多くの人が避難しています。


 この本では、
 今回の事故の放射線で死亡する人より、
 避難のストレスで死亡した人が
 多かったのではないかと
 問題提起しています。


 特に自分では動けないような
 介護老人は避難により
 多くの人が亡くなっています。


・3年半に及ぶ避難生活は、住民の心身を 
 ズタズタにしてきました・・直接死を上回る
 3089人(2014年3月末現在)の「震災関連死」・・
 体調不良や過労、自殺など(p79)


■つまり、福島では
 データに基づく合理的な判断が
 できていないのではないか
 ということです。


 なぜ、避難すると亡くなるリスクが
 高い人まで避難させるのか。


 なぜ、自然被ばく量が約2mSv/年で、
 100mSvでガンが0.5%増える程度なのに
 除染の目標が1mSv/年なのか。


 なぜ、世界の原子力発電所では放流している
 弱い放射線しか出さないトリチウムを含んだ
 汚染水が放流できないのか。


・日本人の自然被ばく量は平均
 約2.09ミリシーベルト/年・・
 一方で、自ら望んで受ける「医療被ばく」は
 世界一(平均3.87ミリシーベルト/年!)・・
 イランの温泉保養地ラムサールには
 ウラン鉱石による自然被ばくが
 非常に多いところで、
 1年間で260ミリシーベルト
 といった場所があります(p29)


■特に放射能に関しては、
 理論や統計的に間違った判断が
 行われやすいのだと思いました。


 なぜなら、放射能というものが見えず、
 影響もすぐには出現せず、
 なんとなく怖いものだからです。


 現実問題として、
 風評被害が出るじゃないかという
 こともあると思います。


 合理的な報道と
 合理的な意思決定ができないのは
 戦争中から今まで
 変わらないのだなとも感じました。


 中川さん、
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・広島・長崎のような一瞬の被ばくでは、
 100ミリシーベルト以上になると・・
 がん死亡が0.5%増えます(p36)


・天然の放射性物質であるポロニウムなどが
 含まれる魚介類を摂取することによって、
 日本人は年約1ミリシーベルト程度の
 自然な内部被ばくを受けています(p19)


・肥満や運動不足、塩分の摂りすぎは
 200~400ミリシーベルトの被ばくに相当します。
 タバコを吸ったり、毎日3合以上のお酒を飲むと、
 がん死亡率のリスクは1.6~2倍に
 跳ね上がりますが、これは2000ミリシーベルトの
 被ばくに相当します(p4)


・汚染水はなぜ流していいのか・・・
 汚染水に残るのは水素の同位元素の
 「トリチウム」という放射性物質だけです・・
 トリチウムは1リットル当たり6万ベクレルまでは
 海洋放出してよいと認められています・・
 毎日2リットル飲んだとしても、
 1年間の被ばく量は0.8ミリシーベルト程度(p18)


・飯館村の老人ホームを避難させようとした愚・・ 
 高齢者を動かすと、むしろ亡くなる確率が
 高まるというのは、
 データとして出てきています(p51)


・飛行機と自家用車を比べたら、
 自家用車の危険のほうが確率的には
 絶対に高いわけです・・
 9・11の後にものすごくアメリカで
 交通事故が増えちゃった(p165)


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■目次

第一章 放射線のウソ・ホント
第二章 がんのウソ・ホント
第三章 避難が最大のリスクという福島の皮肉
第四章 豊かさと健康長寿は相関する
第五章 「バカの壁」で健康を損ねる人類


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