「邂逅の森」熊谷 達也

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邂逅の森 (文春文庫)

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■大正から昭和にかけて
 秋田県の山で猟をして生きるマタギを
 主人公とした小説です。


 タイトルの「邂逅」とは、
 思いがけなく会うこと。


 山で猟をして生きるマタギが、
 獣や人と出会いながら生きていく
 意味なのでしょうか。


 若いマタギの主人公は、
 町長の娘を妊娠させてしまい、
 鉱山労働者として村を追われます。


 鉱山では、ヤクザ下りの弟子ができ、
 マタギの仕事が忘れられない主人公は、
 弟子の故郷でマタギを始めることを
 決意しました。


・マタギが猟のために山入りする際、
 守らなければならない掟や禁忌には、
 女に関するものもある。たとえば、
 山入り中には、女の話や色話を
 してはならない(p42)


■主人公は、村ではよそ者です。


 村に入る条件としては
 身売りされた過去を持つ
 弟子の姉と所帯を持つこと。


 貧乏な村を狩猟の収入で支え、
 16年後には一人娘を同じマタギ仲間に
 嫁がせることができました。


 引退を考えるなかで、
 大熊が出現し、
 主人公は大熊との
 一騎打ちに向かうのですが・・。


・マタギの身体は、半分は親がら、
 残りの半分は山がら貰ったものだからな。
 欲を出しすぎねば、必要なものは
 山の神様が授けてくれるべや(p127)


■大正の時代にも貧困のために
 娘を売ることがあったことを
 知りました。


 スカリ(頭領)、ブッパ(射手)、
 ケド(狩小屋)、コヨリ(小刀)
 といった山言葉も知りました。


 秋田の方言もよかった。


 熊谷さん、
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・軍用払い下げの村田銃が
 マタギに行き渡るようになった今でも、
 アオシシ狩りでは小長枝(コナガイ)を
 使ってヘラマタギをすることが多い。
 貴重な弾を使う必要はないということ・・
 むやみに鉄砲を撃てば、上層に積もった
 ばかりの新雪が音もなく剥がれ・・(p14)


・冬山はよ、晴れれば天国、
 吹雪けば地獄つうもんだべしゃ(p80)


・人は、歩いた数だけ山を知る。
 山のことは山に教われ、
 獣のことは獣に学べ。
 それがマタギの鉄則である(p54)


・皮を剥がされたアオシシは、
 腹を割いて内臓を抜き出したあとで
 四肢が切断された。ばらされた
 四肢をあらためて肋骨(ザル)の内部に
 納めてから麻袋に入れて万吉が担いだ(p22)


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熊谷 達也
文藝春秋
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【私の評価】★★★★☆(84点)

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■目次

第一章 寒マタギ
第二章 穴グマ猟
第三章 春山猟
第四章 友子同盟
第五章 渡り鉱夫
第六章 大雪崩
第七章 余所者
第八章 頭領
第九章 帰郷
第十章 山の神


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